今年もマリノスにシャーレを 2020

シャーレを掲げることは難しく、守ることはさらに難しい。連覇に挑む2020年、アウトサイダーではなく本命として、今年もシャーレを掲げよう。座右の銘はシャーレです。

松原健のスライディングに関する考察

三協フロンテア柏で行われた柏レイソル対横浜F・マリノスの両チームが球際で激しくしのぎを削り、スピーディでハイテンポな好ゲームとなった。マリノスは3-1で、勝利し今季初の4連勝を挙げた。しかしながら前半34分、マリノスのペナルティエリア(PA)内で起きた松原健のスライディングにより、柏MF戸嶋祥郎選手が左足(首?)を骨折という痛ましい負傷が発生してしまい、後味の悪さが残ったことは否めない。

戸嶋は試合前日に25歳になり、筑波大学からプロ入り3年目でこの夏にJ1デビューした気鋭のMFで、ネルシーニョ監督に託されたのは3−4−2−1の4の左だ。8月はサブスタートが多かったが、9月はほぼ全試合で先発しフル出場を果たしている。この日、左シャドウには攻撃の柱、江坂任がいるがWBは攻守に大変忙しい。一方の松原健は、2試合ぶりの先発で、3CBの右に入った。4バックの時も本職の右SBを務めるのはもちろん、2CBの片方に入った時も堅守を見せた。右WBもやる。在籍時期は違うものの二人とも前所属がアルビレックス新潟という共通項がある。

なぜ起こったか

エリア角付近で、江坂が大きなサイドチェンジを受けたのを合図に柏は先制点を取るべく、グッとギアを上げた。江坂に対峙するのは古巣対戦の小池龍太だ。その小池の意表をつくように、江坂は横に小池を釣り出しつつ、追い越してきた戸嶋に縦方向にヒールでパスを出す。これで1人で2人の対応を迫られた小池の反応がわずかに遅れたことを見逃さず、戸嶋は小池を交わしてエンドラインぎりぎりのところに蹴り出した。そして中央にいる味方にパスを供給したかった。

そこに走り込んできた松原健は両足を使ってスライディングを行い、パスを阻止しようとした。だが、戸嶋の方がボールへのプレーが早かったため「アフター」となり、戸嶋の左足と、松原の右足裏が全速力で正面衝突する形となってしまい、その瞬間鈍くて大きな音が響いた。そのまま戸嶋はうずくまったまま、プレー続行不可能となってしまった。

ご覧の通り、マリノスサポーターによる文章なので、あえて松原を擁護することはしない。怪我をさせる気はなかったはずだ、などとサポーターが言っても説得力はない。なので、感情に走らず、ファクトにこだわって考察してみたい。少なくとも誹謗したり、憎悪を膨らませることはしたくないし、逆に少しでも真実を考える一助になればいい。

ラフプレーという事実とノーファウルという判定

このプレーのタイミングは、ボールが戸嶋から離れた後なので、「アフター」に該当するが、松原が触るか戸嶋が先か際どいタイミングだった。ただしそうだとしても、松原は足をたたむなどして衝突のショックを和らげることができたかもしれない。相手に怪我をさせない配慮や注意がなくてもファウルとなる。(警告や退場といった懲戒はない)そして不幸にも大怪我を負わせてしまった。結果からみれば、危険なプレイ、ラフプレイだった。それはよくない。
今はただ戸嶋選手の1日も早い回復、復帰を願うばかり。それは松原も同じ気持ちだろうと勝手ながら思う。

柏サイドから見れば、怒りを一層掻き立てるのは、これがノーファウルという判定結果だからだろう。ご存知の通り、今季のVARはない。正確に言うとなくなった。そのため、繰り返しビデオで見ればはっきりとアフターの、かなり危険なプレーであることが明らかとなるが、主審が見た一発で判定は決まるのである。

リプレーを見ると、上田主審は両選手の接触を15m程度の距離でしっかり見ている。視線でも接触を捉えた上で、直後に江坂のシュートがマリノス・喜田の伸ばした足に当たり枠外に外れたのを確認すると、ファーサイドのコーナーキックを指示している。角度的には破綻なく視界に捉えられていた可能性が高い。私のような素人審判だと、ボールの動きを目で追ってしまい、直前のプレーの「後」つまりアフターを見切ってしまうことは多い。だが上田主審は少なくとも視界に捉えていたように見える。あれだけの音がDAZNからでも聞こえてくるので信じがたいが、あの瞬間は主審は正当なコンタクトだと思ったのではないか。また視覚情報としては接触を確認できていたとしても、江坂がシュートチャンスを迎えている以上、瞬間的にPKを取りづらい精神状態になったということも考えられる。

何れにしても、主審がPKとしなかった時、(わずかなアドバンテージの気持ちはあったかもしれないが)ノーファウルという判定であり、松原に警告や退場が出ることはない。だが、無謀に=警告相当、過剰な力で=退場処分 のいずれかであったことは、リプレイを見る限りは明白だ。正しい判定であったとは言い難い。

悪質性をどう捉えるか

何度見ても、衝突のシーンは辛い。松原のプレーは批判されて、非難されて然るべきだ。起きてしまったことは覆らないし、また真剣勝負である以上、怪我のリスクを排除できるわけがない。だけれども、少しでも減らしていきたい事故である。ただ故意なのではないか、をはじめとして、行き過ぎた批判や人格に対する嫌悪や誹謗中傷も少なくないようだ。

もしそうならば、柏の選手はどうなっていただろう。主将・大谷秀和を始め、黙っていなかったに違いない。松原を取り囲み、報復しようとする者もいたかのではないか。だが、戸嶋の状態を心配しながらも、そのように激昂する動きはなかった。松原も倒れ込んだ戸嶋に直接、言葉をかけている。謝罪もあったのかもしれない。


松原がハーフタイムで交代したのは、彼自身が負傷したから、とポステコグルー監督は説明した。「負傷させてしまったから」ではないようだが、球際の強さ、アグレッシブさが損なわれないでほしい。

繰り返しになるが、戸嶋選手の早い回復を願います。再びピッチで活躍できる日を、サッカーファンの一人として待っています。