今年もマリノスにシャーレを 2020

シャーレを掲げることは難しく、守ることはさらに難しい。連覇に挑む2020年、アウトサイダーではなく本命として、今年もシャーレを掲げよう。座右の銘はシャーレです。

あの日と同じ飢えで戦えるか【J1第4節・FC東京戦展望】

日産スタジアムに観客が戻ってくる。上限5,000名の超厳戒モードだが、また一歩、関係者のたゆまぬ努力によってステージが進もうとしている。前夜、等々力の川崎対柏を映像で見た。拍手。ただひたすら拍手の音だけがスタンドからピッチに降り注いでいた。川崎がシュートを放った時はもちろんボールを奪った時、川崎ボールでアウトオププレーになった時、たとえ柏ボールになっても自軍の選手が相手の攻撃を遅らせた時。声出し、歌、タオル振り、手拍子によるリズムといった、通常のあらゆる応援手段が禁止された中で、残された拍手というツール。

拍手は奥が深い。強さ、リズム、叩く回数でその意味が変わってくるのだ。家長の得点時には5千人なのに「万雷」の拍手が鳴り響いた。この拍手は、今宵の日産スタジアムでも、マリノスの選手にとって大きな励ましとなり、相手選手には厄介な存在になることだろう。

リモートマッチ、有観客だが制限付きの試合、それぞれに特徴がある。この状況下ならではの発見と言えるだろう。

至高の瞬間から7ヶ月

12月7日、昨年のリーグ最終節。同じ日産スタジアムで、マリノスはFC東京を退けて、15年ぶりのリーグ優勝を決めた。マリノスにとっては至高の瞬間だった。それはすなわち2位という最終結果となった相手側からすれば逆の意味で忘れられないものである。あの日以来の日産スタジアムとなる東京側のモチベーションは高いに違いない。
そこに東京側の事情が重なる。前節の川崎戦で0-4という予想外の大敗を喫してしまう。さらには主力選手である橋本拳人の移籍が発表されている。リスタートというよりは、モチベーション高く。マリノスを踏み台にしてやりたい、そう思ってくるのではないだろうか。

FC東京のフォーメーションは?

開幕前に遡ると、アダイウトンとレアンドロの獲得が大きな話題になり、Dオリヴェイラと合わせて3枚を最前線で並べて使うというのが2020年の東京のベースとなるものだと刷り込まれていた。実際、開幕ではアダイウトンではなく田川だったが、レアンドロ、Dオリヴェイラ、田川が最前線に陣取る「4-3-3」が使われていた。

2節・柏戦では4-4-2。
    アダ  オリ
レア  安部  高萩  東  というスタートだった。

3節・川崎戦ではこれが4-2-3-1だった。
      オリ
  レア  安部  東
    高萩  シルバ    システムそのものが悪かったかどうかはともかく、川崎戦で見られたのは攻守の切り替えの遅さだった。特にレアンドロのちょっとした寄せの遅さ、目の前にいたのが家長だったということもあり、その「ちょっと」が呆気ない失点を産んでいた。レアンドロの存在は諸刃なのかも知れない。長谷川監督、東ともに1点、2点と失った段階で冷静さを失ってしまったと振り返っている。「入りは悪くなかった」とも。確かに裏を取る動き、縦に速い攻撃は(少なくとも失点まで)意識されていた。

東京は絶対に先制点を取られたくない(マリノスはもちろん先制したい)。前節の記憶を払拭する意味でも、元は固い守備がベースのチームだ。相当に後ろ足に重心をかけてくるつもりではないだろうか。どっちみちローテーションは必要なのだから、リスク管理を考えるならばレアンドロを控えに回して、紺野の先発起用ではないだろうか。高萩のところに橋本拳人(前節もベンチ入りしているので移籍=ベンチ外ということはなさそう)もセットで使うと、まずは安定しそう。川崎戦の後半、橋本が入ってから安定した事実は見逃せない。

ということで、Dオリヴェイラ、紺野、安部、東の先発。右DFは室屋成が先発復帰を予想。ということでどうだろうか。

喜田拓也のところは和田拓也?天野純?

湘南戦は逆転勝利したとはいえ、後半開始早々の屈辱的先制点を見るにつけても、本来は絶対に先制点取りたいマリノス。
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劣勢でも、キャプテンの声がけをベースに団結を高めて… という舩木さんのルポ、良かった。
で、その喜田も、さすがに全試合出すわけにはいかないとアンジェ・ポステコグルー監督が湘南戦後に言っている。額面通りに受け取るなら、ここは天野純をスタートで起用するか。ただし、そうなると天野、扇原貴宏とのセットは本当にいいのか。共に左利きで、役割もかぶりそう。シンプルにやるなら、和田拓也。あの最終節以来のスタメンとなるが、十分にやれることは実証済みである。しれっと、喜田先発で遅くても60分で交代というやり繰りもあるけれどもね。

攻撃陣のチョイスもいろいろありそうだけれど、ほぼ確実なのは前節ベンチ外だった遠藤渓太の左ウィングでの先発復帰だろう。元気一杯で通算100試合出場へ。「マリノスだけで100試合出場できるとは予想していなかった(遠藤)」というが、去年の最終ゴールで私たちを歓喜させたあの輝き、まだ今年は見せていない。カットインのタイミング、DFラインとの駆け引き、相当に渓太も対策されている。同じ左のティーラトンも1試合間を開けて先発復帰するだろう。左のコンビネーションで攻略したい。

高さとロングボールと、それより大事な飢餓感

大敗してしまった後の瓦斯、相当に強い勢いで入ってくるだろう。瓦斯さんになにしてくれてんねん川崎という考え方もある。
肉弾戦で来られると、昨夏の味スタ、その前年の味スタの悪夢の記憶がかすめる。
それでも辛抱強く跳ね返すしかないだろう。瓦斯の堅い守備と強い攻撃に根負けしてはいけない。あの最終節前のような「俺たちはまだなにも成し遂げていない、優勝をこの手で決めるんだあ」という強い飢餓感をこの日も持って戦いたい。

先制点を奪って焦らすんだ。不安定だった攻守切り替えで勝負だ。
・リスタートは早く
・左右圧縮の守備ブロックは大きくずらしながら
・サイドチェンジばんばん?
・球際で勝つぞ

5千人の日産スタジアム、観客数はまだまだ少なくても、ゼロとは違う。独特の雰囲気の中で、ホームらしく勝ちたい。

もう少し私は現地観戦は我慢。
熱くDAZNで応援します。

天野純という個、湘南という組織【J1第3節湘南戦◯3-2】

天野純はほんの少し誇らしげだった。いつもと同じく淡々としたインタビューへの受け答えに見えるが、2点目のゴールを振り返って自身の成長について語ったときの口調に、僕たちなら気付くことができる。それは、僕たちがずっと新加入の天野純を応援してきたからだ。

 

恩返しの強い気持ちをもって

63分ピッチへ、66分には同点ゴールを左足で放り込んだ。そして、77分のこと。オナイウ阿道から天野へ、エジガルジュニオから再び天野へ。小気味よいショートパスのやり取りで天野はボックス内に侵入し、DFの股下を引っ掛けながらも前進して抜くと、最後のDFは右足の切り返しで交わす。狙うはGK富居の股の間だ。閉じる足よりも天野のシュートが強くて速かった。個人技で奪った2点目。リモートの観客はもちろん、記者席からも思わず声が漏れてしまう技だった。

 

良い意味で天野らしからぬゴールだった。とくにベルギーに移籍する直前は、元来のポジションよりも下がり目で、ボランチの横で攻撃の組み立てに関与することが増えていた。ただ浦和戦で見せた変化=成長は、ゴールまでより近い位置でのプレー、得点に直結する動きだった。そこに彼の覚悟を感じないわけにはいかない。

天野純の浦和戦のヒートマップ。(湘南戦のものはまだアップされていないようだ)

 

確かに凱旋という表現は使いにくい。「不甲斐ない形でマリノスに帰ってきて」と本人は言う。所属クラブの経営破綻については彼には何の責もない。だから彼のマリノスへの恩返しの気持ちを持ってという言葉はスッと受け入れられる。元来、言葉が先行する男ではない。プレーで結果を示す。実際に示した。1点目の後の「単独高速ゆりかごダンス」を見かねたのか、逆転ゴール後には10人ほどの選手が参加して微笑ましいゆりかごダンスが披露された。

 

天野純の独壇場だった。カッコ良かった。そして3点目を取れそうなのに足がもつれてしまったシーンも。与えた怖さは十分だった。おかえり、天野純。また一緒に戦えてうれしいよ。

 

 

湘南の組織にやられる

という見出しをつけながら、湘南で最初に触れたいのは鈴木冬一である。トイチの名前の通り、10日に1割のペースで成長している感がある。こりゃいい選手だ。まずは仲川輝人対策がすごい。テルへの寄せが速くて強い。本当にやりづらそうだった我らのMVP。球際も強いし、アップダウンも多い。上述のゆりかごの直後にトイチに同点ゴールを許すわけだが、よくまあ79分にあの位置までいるもんだ。スプリント32回は全体2位。(1位は湘南金子の34回)

走行距離も11km超え。それであの強度だから嫌になる。松原健の1対1対応は劣勢だったと言わざるを得ない。マリノスが今後獲得を狙いそうな選手だなーと感じた。

 

それよりショックであり、屈辱だったのは、マリノスのやりたい組織的な崩しを湘南に幾度となく見せつけられたことではないだろうか。38分の湘南ゴール前から鈴木冬一単独疾走までの流れは、湘南ゴール前でのマリノスのプレスをことごとく剥がされてなものだった。ワンタッチ、後ろに落として、前を向いた選手は1列前に確実に前進させる。湘南がやりたかった形を見事に見せつけられたシーンであり、はたしてマリノスがこの試合でこれをできたか。

 

先制点を奪われた場面も同じだ。右から左、左から右へと揺さぶられ、背後を取られる。中川は触ればよかった。組織的に完全に崩されているからだ。守備陣を切り裂いて、仕上げるのは2019マリノスの専売特許のようなものだったが、今は違う。マリノスが今のスタイルに辿り着くまでに苦労したものだから、湘南が繋ぐスタイルに変化するには相当な痛みを伴うものだと私は決め付けていたが、すでにもう変化し始めている。その空恐ろしさを感じた。

 

でも個はないより、あるほうが絶対いい

そう考えると、リーグ戦3試合で4得点。マリノスのゴールはどれも技が光ったものだった。開幕戦のマルコス・ジュニオールの得点は彼の反転する体幹の強さと正確なコントロールがなければ決まらなかったろう。この日の3得点もしかり。

つまり、今のマリノスは個人の能力によってのみゴールを生み出せていると言えないだろうか。

 

善悪の問題ではない。個人技はあった方がいい。得点時の興奮の種類は違うけれども、喜びの爆発という結果は同じだ。

 

天野と同じ時間に投入された、水沼宏太とオナイウ阿道。彼らがセットで入った意味は何か。右足クロッサー・宏太は正確なボールを。それを頭で仕留めるのはアドの仕事だ。

 

ドンッ、というアドの前頭部がボールを叩く音がはっきりと聞こえてきた。決めて当然だろ、と鼻を膨らませてゴールを祝うアドと、一仕事を成し遂げだ安堵のような宏太。交代選手が決勝点も含めて全3得点を生み出す意義あるものとなった。

 

守備面ではいろいろ課題が出た。不用意なパスミスがまだまだ多いし、失点に繋がらなくても軽さが出た場面もある。

 

勝ち越し点の後の被決定機を梶川裕嗣が触っていなかったらクロスバーではなくてネットに突き刺さっていたかもしれない。辛勝も辛勝、よくまあ勝点3が取れたもの、という見方もできる。

 

まだまだ始まったばかり…とはいえ

今季リーグ戦初勝利は、あの最終節の瓦斯戦以来、実に7ヶ月ぶりのものとなった。たかが3試合、されど3試合。勝てて本当に良かった。これで本当に開幕である。

 

すぐに瓦斯戦が来る。試合は続く。メンバー選考はさらに予想困難になる。それもまたこちらは楽しい。たとえばセンターバックの2人、伊藤槙人、畠中槙之輔はともに警告を受け、2人とも危ない場面を作った。チアゴも休ませたいけれど、この2人できちんと試合をしめてくれないと困る。ただそれもまた伸びしろ。

 

交代選手が活躍すれば、スタメンはまた変わるかもしれないし、それならまたサブに回った選手が燃えてくれればいい。

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選手たち、三ツ沢の旗で埋められた客席に向かってハイタッチをし、拍手をし、手を振ってくれてありがとう。その気持ちを忘れない。

それに素晴らしい逆転勝利をありがとう。この1勝を忘れない。

 

ショートパスを繋ぐ湘南の“出鼻” 【J1第3節・湘南戦展望】

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埼スタの灯りも良かったけど、やはりホーム。ニッパツでのホームゲームは、去年10月の札幌戦以来か。王者になってからは初となる。

 

スタンドには三色のフラッグがはためくことだろう。どんな光景になるだろう。選手の背中を俺たちの代わりに押してくれるだろうか。

どのくらいのボリュームになるのか、今はまだわからないけれど、この中の3枚は私のものであり、111枚は蒼井さんのものだ。もやし。

 

ウーゴのハットトリックを思い出した

2017〜18年、ウーゴ・ヴィエイラのいた前線はとてもエモーショナルだった。ウーゴのシュートはいつも怒気と愛を含んでいた。スピードとかテクニックで勝負するわけではなく、ゴールという結果で応えてみせた。

その彼が立ち上げたファッションブランドのTシャツに袖を通したのは、今やスペインで赤丸急上昇の久保建英。

今もトリコロールで繋がっている。ポルトガルから、マジョルカから、マリノスの健闘を願ってくれているに違いない。くそポジティブ。

湘南には18年ルヴァン杯の決勝で敗れた他にも、同年のホームで4失点食らった思い出も比較的新しい。

ウーゴがハットトリックを決めたのに勝てなかった試合は記憶にない、サポーターに謝りたいと涙ながらに語ったっけ。こういうエピソードもウーゴのエモさだが、したがって湘南に対して与しやすいとはまったく思わない。

 

新湘南スタイルは後ろから繋ぐ?

湘南といえば、よく走り、走らされ、走り負けない。強い心。強いプレスと強めのチャージ。これが真骨頂だったと言ってよい。J2ではそれを圧倒的なレベルまで高めて、J1昇格以降も少しも曲げることなく貫いてきた印象である。湘南ストーミングと呼ばれた勤勉で、特にボールを失った際のネガトラと、奪った際のポジトラを極限まで早めたスタイルは誠に湘南らしいものだったと言える。

 

昨年後半にいろいろあって就任した浮嶋監督が目指すのは後ろから繋ぐサッカーだという。去年までのベースを大事にしてきたのかなという印象だったがプレーオフでどうにか残留を決めた昨年後半の経験がそうさせたのか。

 

前節の仙台戦、強風の影響もあって実に不運な形で開始早々に失点した湘南だが、「後ろから繋ぐ」にこだわる様子を見せた。不運な失点ではプランを変えないのである。ただし、まだたどたどしい。湘南を相手に4失点したころのマリノスほどではない。

 

狙い目は「ソコ」だろう

この最終ラインのビルドアップを狙いたい。崩したい。真ん中は坂圭祐が入るとしたら、特にここの縦を切るディフェンスを。横にずらそうとするパスにミスが出ようものなら、仲川輝人がエリキが黙ってはいない。そのままフィニッシュまで行くぜ。

捕まえづらそうなのが神出鬼没な鈴木冬一。嫌な選手になりましたな。キックは強いし、クロスも上げられるし。

マリノスからボールを奪い返す力とその後のスピードが湘南の支えになることは間違いないだろう。左の鈴木と右の新主将、岡本の運動量は凄まじいものになるだろう。疲れが見えたらマリノスの両翼でさらに押し込み続けたい。

 

昨年のリーグ対戦では浮嶋監督の初陣がマリノス戦だった。ボスことアンジェ・ポステコグルー監督は試合直後の抱擁で、浮嶋監督に絶対に降格するな、ハードワークを続けるんだ!と大声でエールを送ったとかいうエピソードを湘南サイドの情報で読んだ。熱いじゃないか。

 

激ムズスタメン予想、結局は…

まだ勝利がないという事実と、やがてターンオーバーを模索するとしても最初からやるかな、と考えるとムードは「浦和戦がベース」になると読む。試合勘を取り戻すという観点ではある程度負荷をかけて定期的に試合やるのも大事なはずである。

 

實藤友紀の負傷がどのくらい長引くかはまだ分かっていないようだが、この試合はチアゴ・マルチンスのスタメン復帰が確実な様子。右サイドバックの松原健は、ボスのコメントからするとベンチ入りはできそうだがスタメンはまだ不安という感じか。ならば小池龍太かまずは鈴木冬一との我慢比べに挑む。消耗させてや。

 

喜田拓也、扇原貴宏のところは変わらないと見る。そりゃ渡辺皓太、和田拓也のヴェルディコンビも見たいさ。で、マルコス・ジュニオールなのか、天野純なのか。もしも前節同様の特長と同じで、つなぎにも関与して、散らしも行うマルコスと、バンバンエリア内で仕事する天野なら、後半の半ばからアマジュン投入が効果的かもしれない。

 

CFはエジガルジュニオをスタートから任せてほしいところ。先発のほうがエジガルの良さが生きるのではないか。

 

梶川、小池、畠中、チアゴ、ティーラトン、喜田、扇原、マルコス、仲川、エジガル、遠藤の11名と予想。サブは中林、松原、伊藤、和田、水沼、天野、エリキでどうだろう。

 

 

2試合未勝利で、マリノスの調子が出ないなどと外野がうるさい。ここは快勝して、景気よく行きたい。

 

三ツ沢に行きたい気持ちはぐっと堪えて今日もDAZNやテレビから熱い気持ちを送ろう。

 

 

 

マリノスファミリーニュース・今週の結果

浦和対横浜FMの実況を担当した下田恒幸氏が「長沢和輝のプロキャリアのスタートはFCケルンだった」と紹介していたが、専修大学で特別指定を受けた時の所属は2013年の横浜FMである。プロとして最初に契約をしたのはケルンなのでその文脈なら正しく、最初に籍を置いたプロチームという筋書きなら誤りである。背番号37、ナビスコ杯のグループリーグ1試合に出場している。なるほど、長澤の経歴をスポナビで見るとマリノスは出てこない。13年に大学4年生だったということは91年生まれで今年29歳。時の流れに身を任せ、浦和の色に染められ、という奴である。

浦和メンバーは4人がマリノスファミリー

上記の長澤のほか、山中亮輔は2017〜18年のレギュラーLSBだった。トイメンの仲川輝人を相手に互角とは言わないが食らいつく守備は、浦和での定位置確保に向けてはいいアピールになったかもしれない。
汰木康也もまた2013年のマリノスユースの中心人物だった。喜田拓也がトップ昇格した次の代で上がるなら汰木か、現福島の武颯かと言われていたが結局昇格がゼロだった年。汰木は結局、J2山形に進み18年に浦和に個人昇格したという経緯だ。彼らが3年生で、クラブユース選手権を優勝した際のMVPであり、2学年下に遠藤渓太と和田昌士がいた。

4人目は途中から出てきたマルティノス。キュラソーの怪人も来日5年目となる。早いものだ…。関根との両翼同時交代は非常に分かりやすい采配だった。快足自慢対決でチアゴ・マルチンスと対峙する場面では持ち味を出し切れなかった。持ち味という点では、チアゴとのマッチアップ、後ろから追いつかれた際にエリア内で踏ん張らずに倒れ、あわよくばと安易にPK獲得を狙ってしまったとき、西村主審は微動だにせずにこのプレーをスルー。スルーされたマルちゃんはピッチに腰をつけたまま、ニヤニヤと笑うばかりだった。

かつてのマルちゃんなら、大袈裟に痛がって試合を止めていた場面。いわゆるマルコロタイムという見せ場だったはずが、程なく立ち上がったのは成長なのか、大槻組の教育なのか、彼の体が昔より大人になったからなのか。

このように元マリノスっ子目線で見るのも、いとをかし。

待望のJ初ゴール・松田詠太郎

藤枝対相模原はぜひ見ていただきたい。

4分45秒〜、相模原のチャンスで、決めるのは19歳の松田詠太郎。これがプロ初ゴールだ。開幕から2戦連続スタメンで結果を出した。藤枝24番のバックチャージに負けずに踏ん張り、ゴールエリアの右サイドに侵入して、ニアサイドを狙って速い振りのシュート。シュートブロックに入ってきた相手DFの姿も見えていたのだろう。この冷静さは頼もしい。2点目のPK獲得も詠太郎。ここでも冷静だ。

なお先制点のアシストパスを出したのは和田昌士。瞬時に縦のスペースを狙ったのはさすがである。今週38歳になる富澤清太郎も最終ラインの統率で2試合連続フル出場している。

松田という姓はマリノスにとって特別である。偉大なるバンディエラと血縁はない。面識もないだろう。マリノスのトップチームと契約したはずが、即レンタルというのは本人も予測していなかったのではないか。1〜3年上のユース出身の先輩たちを見ていても極めて珍しい。悔しくないはずはない。

しかも同期のサイドバック池田航はマリノスに残った。なぜ俺は戦力として見てもらえないのか、と思ったかどうかは知らない。が、少なくともピッチで結果を出してマリノスに帰還することを目論んでいるようにしか見えない。それが頼もしい。

GK原田岳はベンチ入りするも出場はなかった。

2〜4年目の選手たちの動向

松田詠太郎の同期、讃岐のブラウンノア賢信は開幕に続いての途中出場。前節より出場時間は伸びたがまたも1点ビハインドを追いつくというミッションは果たせずに、悔しい連敗となった。

水戸は千葉に0-3で完敗した。山田康太はこの日もボランチで先発してフル出場。千葉のあのような固い守備はこの10年くらい見た記憶がない。戦力的には上位のカベに跳ね返されたか。チームのいいところが少なく康太自身も前節の群馬戦ほどには活躍できなかった。

驚いたのは山谷侑士が1点を追う展開で後半開始から出場したポジションだ。

なんと左サイドバック。ビハインドを取り返そうという秋葉監督の攻撃的交代だったわけだが、侑士、意欲的にボールに絡む。83分にはトイメンの選手を突破して敵陣深くまで侵入。終了間際にも可能性あるクロスを上げるなどの爪痕は残した。今後、スタメンの可能性も十分あるのではないか。

町田の吉尾海夏。3試合連続で右サイドハーフでスタメン。27分に左足でシュート放つもブロックされる。試合はスコアレスドロー。

北九州の椿直起。2試合連続で左サイドハーフでスタメン。シュート1本でフル出場。試合は4-0で琉球に勝利した。生駒仁と町野修斗はベンチ入りしなかった。

甲府の泉澤仁は、3試合連続のスタメンで今節は左サイドハーフ、松本相手にアウェイでドロー。塩分濃いめながら両方強いなって試合。


元所属選手の情報で本稿を締めたいが、圧巻は3連勝の長崎、エース富樫敬真。スタメンを外れ、さらにイバルボが途中出場するなどして、出番が来たのは65分。1点を追う展開でイバルボのアシストで見事に同点ゴール。さらに94分に劇的な勝ち越しゴールと、完全なる主役の座を射止めた。厳しい展開をひっくり返したのも大きい。

ともに3連勝を飾ったのは大宮のみ。こちらも帝こと、三門雄大とイッペイシノヅカがスタメン出場してチームの勝利に貢献している。


今後もマリノスの外に出て腕を磨く若手選手を中心にレポートしていきたい。


えっ、もう明日は湘南戦ですって。今度こそリーグ戦初勝利と行きたいところだ。

強き者よ、門をこじ開けよ【J1第2節△浦和戦0-0】

試合前からいくつものサプライズがあった再開初戦。
まずはスターティングメンバーを振り返らざるを得ない。

GK 梶川
DF小池 實藤 畠中 ブン
MF 喜田 扇原
      天野
FW 仲川 エリキ 遠藤

SUB 中林 チアゴ 伊藤 マルコス 水沼 エジガル オナイウ

事前予想とはかけ離れたスタメン発表に、多くのサポーターがずっこけ、ある者は身を乗り出し、ある者は笑いが止まらなくなった。
コロナによる中断期間中に加入した3選手が揃ってスタメンとは…。實藤友紀は、骨折から復帰を目指すチアゴ・マルチンスのコンディションが完全には整わない中である程度予測されていた。まさかだったのはマルコスではなく天野純。それに小池龍太の起用で、松原健はベンチ外だ。
そしてエリキをCFに起用して、遠藤渓太を選んだという指揮官の狙いとは。試合後の監督コメント「前日練習で松原健が大きなけがをしてしまったので小池を起用することになった。調子のいい11人を見極めてピッチに送り出すのが私の仕事だ」という言葉に驚いたが、マツケンの怪我の具合が心配だ。月曜に何かリリースがあるだろうか。前半ATのスプリント後に腿裏を抑えて倒れ込んだ實藤とともに軽症であってほしい。

ただボスは予想を裏切ったわけでもなんでもない。記者が予想の根拠とした公開練習の布陣を試した後にいろんなことが変わっただけだろう。過密日程だからメンバーの固定はないと言う。つまり、今から水曜の湘南戦のメンバーを考えるのが楽しみだ。

心身のバランスなのかな

その小池は汰木の一瞬のスピードに手を焼いているようだった。前半5分、最初の決定機は浦和だった。汰木がペナ角をなぞるようにして小池を振り払ってミドルシュートを放つが、梶川裕嗣が横っ飛びで弾く。危ない。最初のシュートは浦和。小池の身体が重いのか、汰木の調子がいいのか。フィニッシュの精度は高くないが、この後も何度か汰木がボールを運ぶことで怖さを感じた。

マリノスはちょっとしたパスのズレが多い印象。短く弱くなって、浦和にさらわれることも。また後ろ向きで受けたときの柴戸の寄せの速さよ。「普段」の喜田拓也ならもっと判断が速く、シンプルにプレーしていたかなーと思う。気持ちは入っているが、コンディションがついてきてないのか。とすると、これが試合勘というやつか。

精度はシュートと、その直前の選択についても

前半は浦和が設定してきた狩場にあえて飛び込んでいるところもあったが扇原貴宏が上手に散らすようになってから、またサネのパスの速さ効果的で、浦和は苦しまぎれのクリアが増える。その結果、マリノスがボールを支配できるようになる。

43分、短く繋いでくると見せかけて、縦パス1本で「忘れた頃のエリキの裏抜け」は最高だった。シュートは惜しくも枠外だったが最後に作った決定機で後半に期待を持たせる。

浦和の守備では橋岡の運動量やトーマス・デンの高さ、カバーリングによる奮闘が光る。この2人が試合終了時にはボロボロになっていたところにマリノスの攻撃力がうかがえる。

精度のことを仲川輝人も口にしていた。落ち着きがなく力んでしまっていたとの試合後のコメント。後半のテルのシュート2本はいずれも枠外。この辺りのことを言っているのだと思う。

また選択ということでは、エリキが一人でカウンターを仕掛け、えー!そんなアバウトなボールを大チャンスにしてしまうの?!案件の際のこと。後半3分。

エリア内、ファーサイドにはテルがフリーで待っていたのだが…エリキの選択はシュート。これは西川に阻まれてしまう。西川としてはもう賭けだったと思うが、テルに出していればゴールは間違いなかった場面だけに残念だ。

途中にマルコスとエジガルが出てくるエグさ

實藤をチアゴに替えざるを得なかったのは誤算だが、それ以外の最初の交代は62分。遠藤渓太と天野に替えて、エジガルジュニオとマルコス・ジュニオールが出場。2人とも気合い十分のいい面構えである。浦和もその5分前に、長澤汰木に替えてマルティノスと関根を投入しスピード系で勝負をかける。とにかくボールを拾ったらこの2人に長いボールを送るというのはシンプルだ。かっこいいものではないが戦い方としてハッキリはしている。
一方でマリノスがやることは変わらない。点が欲しい。固く閉じられた中央の門をこじ開けたい。

マリノスが攻め込む。浦和は思わずエリア側でファウルをしてしまう回数が多い。だいぶキツそうだ。でもデンだ。中央にデデーン。なんという辛抱強さか。
エジガル、マルコスがフレッシュに出てきてもなお崩れない浦和。西川の執念も凄まじかった。エジガルの最後のシュート、岩波の足に跳ね返ったあのボールに反応してしまうのだから、凄すぎる。

スコアレスドローを喜ぶ相手を乗り越えなければ

おいおい、再開初戦、ここは埼玉スタジアム。お前たちは誇り高き浦和レッズじゃないのかよ…。そう言いたくなった。後半アディショナルタイム、スコアレスのままなのに、リスタートに時間をかけてくる浦和はリードしているかのような振る舞いだった。

試合終了時に悔しさばかりが残るマリノスと、安堵の表情の浦和。ドローの受け止め方は極端だった。マリノスに対する畏怖の表れと言えば聞こえはいい。別に浦和も堕ちたものだなとか言うつもりも全くない。それくらい最後の圧の差は明らかだった。あんなに粘り強く、マリノス対策の教えを守り続ける浦和の姿は感動的でもある。

マリノスはどうだ。「仕留めきれなかった」(喜田)という言葉通りだろう。オープンになった時間は早かった。ハーフタイム、ゼロゼロだったのに私は最終スコアを3-2かなと予想したほどだ。でも1点も入らなかった。崩しきれなかった。

連覇への道は険しい。浦和のような元来個々の能力でも優れるチームが自分たちのスタイルを曲げてでも対策してくる。ドローで喜ぶほどに。それを乗り越えていかなければ。1ゴールの重みは、恐らく去年よりもぐっと重くなるだろう。今と同じままでは、足りない。そのための競争でもある。水曜日の人選が待ちきれない。

もう一度関係者に感謝を

6万枚のビニールシートなど埼スタ全体のコレオグラフィは壮観だった。(ボランティアスタッフなどは入場しておらず、クラブ関係者のみが徹夜作業でやったのだと信じているが)そりゃ選手はあれを見て何も感じないはずがない。試合後にこみ上げてくる涙を抑えきれない西川も素敵だったな。いいやつだな。

埼スタだけではなく、大雨が心配された大分も含めて9試合が無事に行われた。再開初戦、ここからが大事だが、サッカーのある喜びを取り戻してくれて本当にありがとうございました。

リモートマッチは、順当なら次で終わり。埼スタの雰囲気良かった。余計な場内音がなかったので大槻監督の怒声がたくさん聞こえたな。判定への異議もなかなかのボリュームであった。非日常の雰囲気を味わならばやはり歓声の再生はない方がいい。

波戸、栗原両氏の出番は次もあるのかな。試合中は失礼してしまったが、この2ショット、好き。
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次こそはリーグ初勝利を。もう再開した安堵の余韻に浸っているヒマはない…!