今年もマリノスにシャーレを 2020

シャーレを掲げることは難しく、守ることはさらに難しい。連覇に挑む2020年、アウトサイダーではなく本命として、今年もシャーレを掲げよう。座右の銘はシャーレです。

強き者よ、門をこじ開けよ【J1第2節△浦和戦0-0】

試合前からいくつものサプライズがあった再開初戦。
まずはスターティングメンバーを振り返らざるを得ない。

GK 梶川
DF小池 實藤 畠中 ブン
MF 喜田 扇原
      天野
FW 仲川 エリキ 遠藤

SUB 中林 チアゴ 伊藤 マルコス 水沼 エジガル オナイウ

事前予想とはかけ離れたスタメン発表に、多くのサポーターがずっこけ、ある者は身を乗り出し、ある者は笑いが止まらなくなった。
コロナによる中断期間中に加入した3選手が揃ってスタメンとは…。實藤友紀は、骨折から復帰を目指すチアゴ・マルチンスのコンディションが完全には整わない中である程度予測されていた。まさかだったのはマルコスではなく天野純。それに小池龍太の起用で、松原健はベンチ外だ。
そしてエリキをCFに起用して、遠藤渓太を選んだという指揮官の狙いとは。試合後の監督コメント「前日練習で松原健が大きなけがをしてしまったので小池を起用することになった。調子のいい11人を見極めてピッチに送り出すのが私の仕事だ」という言葉に驚いたが、マツケンの怪我の具合が心配だ。月曜に何かリリースがあるだろうか。前半ATのスプリント後に腿裏を抑えて倒れ込んだ實藤とともに軽症であってほしい。

ただボスは予想を裏切ったわけでもなんでもない。記者が予想の根拠とした公開練習の布陣を試した後にいろんなことが変わっただけだろう。過密日程だからメンバーの固定はないと言う。つまり、今から水曜の湘南戦のメンバーを考えるのが楽しみだ。

心身のバランスなのかな

その小池は汰木の一瞬のスピードに手を焼いているようだった。前半5分、最初の決定機は浦和だった。汰木がペナ角をなぞるようにして小池を振り払ってミドルシュートを放つが、梶川裕嗣が横っ飛びで弾く。危ない。最初のシュートは浦和。小池の身体が重いのか、汰木の調子がいいのか。フィニッシュの精度は高くないが、この後も何度か汰木がボールを運ぶことで怖さを感じた。

マリノスはちょっとしたパスのズレが多い印象。短く弱くなって、浦和にさらわれることも。また後ろ向きで受けたときの柴戸の寄せの速さよ。「普段」の喜田拓也ならもっと判断が速く、シンプルにプレーしていたかなーと思う。気持ちは入っているが、コンディションがついてきてないのか。とすると、これが試合勘というやつか。

精度はシュートと、その直前の選択についても

前半は浦和が設定してきた狩場にあえて飛び込んでいるところもあったが扇原貴宏が上手に散らすようになってから、またサネのパスの速さ効果的で、浦和は苦しまぎれのクリアが増える。その結果、マリノスがボールを支配できるようになる。

43分、短く繋いでくると見せかけて、縦パス1本で「忘れた頃のエリキの裏抜け」は最高だった。シュートは惜しくも枠外だったが最後に作った決定機で後半に期待を持たせる。

浦和の守備では橋岡の運動量やトーマス・デンの高さ、カバーリングによる奮闘が光る。この2人が試合終了時にはボロボロになっていたところにマリノスの攻撃力がうかがえる。

精度のことを仲川輝人も口にしていた。落ち着きがなく力んでしまっていたとの試合後のコメント。後半のテルのシュート2本はいずれも枠外。この辺りのことを言っているのだと思う。

また選択ということでは、エリキが一人でカウンターを仕掛け、えー!そんなアバウトなボールを大チャンスにしてしまうの?!案件の際のこと。後半3分。

エリア内、ファーサイドにはテルがフリーで待っていたのだが…エリキの選択はシュート。これは西川に阻まれてしまう。西川としてはもう賭けだったと思うが、テルに出していればゴールは間違いなかった場面だけに残念だ。

途中にマルコスとエジガルが出てくるエグさ

實藤をチアゴに替えざるを得なかったのは誤算だが、それ以外の最初の交代は62分。遠藤渓太と天野に替えて、エジガルジュニオとマルコス・ジュニオールが出場。2人とも気合い十分のいい面構えである。浦和もその5分前に、長澤汰木に替えてマルティノスと関根を投入しスピード系で勝負をかける。とにかくボールを拾ったらこの2人に長いボールを送るというのはシンプルだ。かっこいいものではないが戦い方としてハッキリはしている。
一方でマリノスがやることは変わらない。点が欲しい。固く閉じられた中央の門をこじ開けたい。

マリノスが攻め込む。浦和は思わずエリア側でファウルをしてしまう回数が多い。だいぶキツそうだ。でもデンだ。中央にデデーン。なんという辛抱強さか。
エジガル、マルコスがフレッシュに出てきてもなお崩れない浦和。西川の執念も凄まじかった。エジガルの最後のシュート、岩波の足に跳ね返ったあのボールに反応してしまうのだから、凄すぎる。

スコアレスドローを喜ぶ相手を乗り越えなければ

おいおい、再開初戦、ここは埼玉スタジアム。お前たちは誇り高き浦和レッズじゃないのかよ…。そう言いたくなった。後半アディショナルタイム、スコアレスのままなのに、リスタートに時間をかけてくる浦和はリードしているかのような振る舞いだった。

試合終了時に悔しさばかりが残るマリノスと、安堵の表情の浦和。ドローの受け止め方は極端だった。マリノスに対する畏怖の表れと言えば聞こえはいい。別に浦和も堕ちたものだなとか言うつもりも全くない。それくらい最後の圧の差は明らかだった。あんなに粘り強く、マリノス対策の教えを守り続ける浦和の姿は感動的でもある。

マリノスはどうだ。「仕留めきれなかった」(喜田)という言葉通りだろう。オープンになった時間は早かった。ハーフタイム、ゼロゼロだったのに私は最終スコアを3-2かなと予想したほどだ。でも1点も入らなかった。崩しきれなかった。

連覇への道は険しい。浦和のような元来個々の能力でも優れるチームが自分たちのスタイルを曲げてでも対策してくる。ドローで喜ぶほどに。それを乗り越えていかなければ。1ゴールの重みは、恐らく去年よりもぐっと重くなるだろう。今と同じままでは、足りない。そのための競争でもある。水曜日の人選が待ちきれない。

もう一度関係者に感謝を

6万枚のビニールシートなど埼スタ全体のコレオグラフィは壮観だった。(ボランティアスタッフなどは入場しておらず、クラブ関係者のみが徹夜作業でやったのだと信じているが)そりゃ選手はあれを見て何も感じないはずがない。試合後にこみ上げてくる涙を抑えきれない西川も素敵だったな。いいやつだな。

埼スタだけではなく、大雨が心配された大分も含めて9試合が無事に行われた。再開初戦、ここからが大事だが、サッカーのある喜びを取り戻してくれて本当にありがとうございました。

リモートマッチは、順当なら次で終わり。埼スタの雰囲気良かった。余計な場内音がなかったので大槻監督の怒声がたくさん聞こえたな。判定への異議もなかなかのボリュームであった。非日常の雰囲気を味わならばやはり歓声の再生はない方がいい。

波戸、栗原両氏の出番は次もあるのかな。試合中は失礼してしまったが、この2ショット、好き。
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次こそはリーグ初勝利を。もう再開した安堵の余韻に浸っているヒマはない…!

THE DAYを見てから、再開の瞬間へ…


vol.23 | THE DAY presented by WIND AND SEA

心憎いまでのタイミングで、J1再開当日の正午に最新の「THE DAY」がYouTubeにて封切りになった。
動画の中身は見た方がもちろん早い。

途中、2つ練習試合の動画が挟まったものの、6月1日の再始動以降の練習風景はほぼ封印。

今夜の浦和戦が皆さんに見られてしまうのはもう仕方ないとして、とにかくライバルチームに情報を与えないということは徹底している。番記者こと、サッカーマン(!)こと、fjiさんが前日練習でのフォーメーションを明かしていたが、どんなサッカーをするのかはまだ分からない。ガチガチのマリサポたちにも何も分からない。

だが、それがいい。

リモートマッチも、これから先味わえるものではない。味わいたくもない。だから楽しみたい。これも偉大なるマリノスの歴史の一部になる。

4ヶ月間、先の見えない中でモチベーションの維持が大変だったと多くの選手が言う。少しずつ世の中が再開に向けて動き出す中で、焦りや心配もあったことだろう。NPBが開幕し、J2とJ3の方が先だと決まった。
最後に残されたJ1で、再開初戦から「マリノスはすべての試合を決勝戦のように戦う」(エリキ)という勇ましい姿を見守ろうと思う。


再開した後は、怒涛の時間が始まる。そして新シーズンが始まる頃には今のさまざまな例外はすべて過去のものになるだろう。できれば早く過去になった方がいい。

何度も言う。この、今感じている開幕前のようなドキドキした気持ちと、武者震いと、再開に漕ぎ着けるまでの関係者たちの苦労をずっと心に留めておきたい。

ただ、マリノス始まってよかったね、レッズもさすがだったねーだけではない何か。この4ヶ月の間におりのように溜まった何かを溶かすことなく。

サッカーができることは、当たり前の日常なんかではなかった。みんなで憂いな楽しめるようになるまではまだまだ先が長い。

時計が動き始める。今夜19時。その瞬間までの気持ちを、どうにかして残しておこう。
もっと好きになる。

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60分と30分【J1第2節・浦和戦展望】

忘れないように。色褪せないように。形に残るものがすべてじゃないから。

この言葉を、今日の記憶をとどめておきたい。

さあ、途切れたJ1が戻ってくる。僕らはきっとサッカーをものすごい勢いで消費し始めるだろう。何しろいつもの半分の期間で残り33試合のリーグをやるんだ。目まぐるしくなるに決まっている。そうなったら、今の再開直前のえも言われぬ不安など埋没してしまうだろう。

 

こんな未曾有の、そして二度と起こってほしくないシチュエーションだからこそ、僕たちはサッカーやマリノスの愛を再認識し、それぞれで考えた。この待ちくたびれた心には何重にも毛布がかけられていて、そっとそれをめくると下には、初めてJリーグを観た時の鮮やかな気持ちが蘇る。ただの再開じゃない。リモートだったとしても、Jリーグがそこにある幸せ。「過去の名勝負」を繰り返し見ても味わうことのできない、結末の知れない未来の試合への憧れを胸に、僕たちは再開のホイッスルを待っている。

僕も長く覚えているから、あなたも覚えていてほしい。この愛という言葉でしか言い表せない感情を。

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よくやったよ、リモートカンファレンス(呆)

J1再開を前にした、リモートカンファレンス決行。よく企画したよね(呆れ顔)。DAZNの生中継、原さんの選手たちに語りかける内容、声良かったなー。全員のお父さんのような愛がこもっていて素敵だった。例年2月の開幕前に、監督と選手1名を集めて行われるキックオフカンファレンスがあるが、4ヶ月もの中断期間は実質2度目の開幕のようなもの。盛り上げるぞというリーグ事務局側の意志に全クラブが応えたのがいいじゃない。コロナの不安を抱えながらも、それでもなお期待を隠しきれない選手たち。嬉しそうな原さん、いいじゃない。

 

仲川輝人と山中亮輔の腹の中を探り合うような「試合に出られたら山中選手に負けないようにがんばります」は、完全に棒読み。この2人、ぶつかり合うだろう。2年間のマリノス在籍時は左SBでほぼ常時試合に出て、大きく存在感を高めた山中と、当時はまだ試合に絡むことすらなかったテルも今やMVP、リーグの顔だ。こうしてチームを代表してバチバチやる姿が頼もしく、愛おしいではないか。

直接での下馬評はテルの攻撃力が優る、一対一ではヤマちゃんの対応に難ありとの指摘があるが新米パパの奮起は果たして。

 

浦和対マリノスはよきカード

そう、マリノスの再開初戦は埼玉スタジアム2002。略して、俺たちの埼スタ。愛称、浦和レッズサポーターからすれば蔑称との怒りを買いそうだが、リーグ戦通算はマリノス11勝、浦和3勝、引分4。得点数はマリノス31、浦和13。ここ3年は、すべてクリーンシートでマリノス3連勝という相性や風水だけでは説明のつかないほどの差がついている。マリノスからすれば初戦で腕が鳴る舞台である。

 

さは言え、浦和は今季リーグとルヴァンで2連勝。レオナルドってどうよ。私たち他サポはついJ2あがりの怪物というとオルンガに気を取られがちであるが、得点王はこの男である。しかもチャンス数で言うと、彼のいた新潟は柏ほどの機会を彼に与えていない。史上初の3カテゴリー連続得点王を狙うという看板を見逃してはいけない。そこに8年連続二桁得点の老獪な興梠と、開幕は出遅れたが実力のある武藤雄樹がいる。個人的能力は極めて高い。

 

オリジナル10同士であり、今季ACLの戴を目指すマリノスにとってはアジア制覇2回の相手は絶好の相手。

 

注目、セカンドボールを拾うのは

GK              西川

DF橋岡 デン* 岩波 山中   *…鈴木?

MF関根 柏木 柴戸 長澤

FW        興梠  レオ

 

FW     エリ  エジ  仲川

MF      マル

      喜田 扇原

DF ブン 畠中 實藤 松原

GK      梶川

 

スタメン予想は困難だ。浦和は町田とのTMをベースにして考えればいいと思うが、マリノスは動静が伝わっておらず、全然違うメンバーかもしれない。

だがそれはともあれ、一つの注目ポイントは喜田、扇原と、柏木、柴戸のボランチ同士の攻防。ここでセカンドボールを回収すること、また攻守がここで切り替えられるのかどうか。ここでプラスを受けても奪い返されずに前進できるかどうか。ボール支配率にも変わってくるだろう。支配し続けたいマリノスと、ガンバのように?プレスでハメたい浦和。

ここポイントの1つ目だろう。

 

60分と30分

昨年リーグ戦の時間帯別の得失点を見てみよう。

       1〜  16〜   31〜  46〜  61〜  76〜AT 合計

マリノス 得     9       9       13     6       14   17  68

     失 10      2         2     6        8     10      38

 

浦和   得 4        5         6     2       6     11       34

     失 5       6         4     6       14    15       50

 

後半15分以降、トータルでいう60分以降に得点が増えるマリノスと、失点の増える浦和。これが今季も当てはまるなら、マリノスにはありがたいのだが果たしてどうなるか。

 

ポイントとなるのは、再開初戦でコンディションが向上途上ということと、交代枠の拡大だろう。各国でも同様のことが起きているが選手のスタミナ低下によって、「オープンな展開」になってしまうのが速い。チームによる差はあるものの、おおむね60分からだろう。疲労や、プレーができる範囲の負傷にどこまで先手を打てるか。

 

(途中まで調べてまとめきれなかったが)ポステコグルー監督の交代は遅めである。1枚目がラスト15分を切ってからということもよくある。ベンチにいる選手のタイプということもあるが、ビハインドでも早めに交代カードを切ることが少ない監督である。

 

それが今年は5人変えられる。ベンチ7人中5人というのは大きい。選択肢も、選択の時間も広がる。浦和の選手層も厚い。阿部や青木や槙野などが控えているとすると、こうした守備に優れる選手の投入で終盤の失点を減らすこともできるのかもしれない。

 

「前半60分」と「後半30分」とを分けて、どう戦うのか。交代の采配にも注目したい。

 

遠藤渓太、天野純らスタメンを奪いにかかる選手たち

今回はベンチスタートと予想したが、遠藤や天野はもちろん先発で出ても何ら不思議ではない。私の予想が当たるなら、まさに60分あたりから出てくるのではないか。そこで目に見える結果が欲しいに決まっている。

また個人的に早く見たいのは、J2からの成り上がり組である。仙頭啓矢、前貴之、杉本竜士、山本義之はまだ公式戦での出場はない。覚悟を持って、前所属のレギュラーポジションよりも大きなものを取りに来た選手たちの熱いプレーは掛け値なしに楽しみである。一足先に實藤友紀がJ1再デビューしそうであるが、シーズンはこれから始まるようなもの。

 

大量ゆりかご待ちです

中断期間中にマリノスファミリーが増えた。渡辺皓太、畠中槙之輔、實藤、水沼宏太、天野に子供が誕生したが、さらにエジガルジュニオジュニオも生まれている(言いたかっただけ)。みんな、おめでとう!!

畠中家などすでに生後4ヶ月。ゆりかごダンスを待たされた分、一気に浦和さんに食らっていただくかはともかくとして、(山中にもおめでとうと言いたい気持ちはある)さらに張り切っているパパたちの活躍をリモートで後押ししたい。

 

 

戻ってくる。ついに。

この喜びに優るあらめや。

 

 

 

凡人が大津祐樹になるのはあまりにも険しい

交差点で君がたっていても、もう今は見つけられないかもしれないーー。
aikoがそんな至高で別離のラブソング「アンドロメダ」を歌ったのは2003年だという。

aiko- 『アンドロメダ』music video

日韓W杯で列島の熱狂が覚めやらぬ頃。今や4つ目の星を掴んだマリノスの「胸の誇り」が1から2に増える、連覇が始まる年のこと。

あんなに燃え盛るような恋をした二人の記憶が忘却の彼方へと消えていくせつないラブソング。
あんなに好きだったチームのことを忘れていくサポーターもいるし、レギュラーとして君臨した絶対的中心選手の心が離れていく様を歌っているようにも聞こえる。

2020年、おじさんになった私がそんな解釈をしたのはなぜだろうか。

今だからもう一度読み返して!あの名著


「トリコロール新時代」エルゴラッソで横浜FMの番記者を務める菊地正典氏が書いた、15年ぶりのリーグ優勝を果たすまでのドキュメントである。特にポステコグルー監督が就任して以降、試行錯誤の2018年シーズンとの対比によって物語は進んでいく。こんなブログまで好き好んで読んでくださる諸氏のことだから、さぞや同書は読みあさっただろう。でももう一度取り出していただきたい。


掲題の大津祐樹。2018年にマリノス加入。彼のために割かれたページが取り立てて多いわけではない。その後に出て来る喜田拓也は1章(200ページの書籍のうち50ページが喜田拓也の文章である!)が費やされるのに対し、大津のそれは14ページ。厳密に言うと「ポステコグルー。信念の指揮官」という第1章の中に出て来る中項目が「大津祐樹、献身のムードメーカー」なのでなんだかちょっと変な構成ではある。


大津祐樹の特長とは

一言で言えば「あの人がやっているんだから俺らが手を抜くわけにはいかないでしょ」という広瀬陸斗のコメントに大津の貢献が集約されている。
自分が先発で試合に出たら、やる自信はある。実際に途中出場で結果を出した試合も数知れない。だがそのことよりもチームが勝つことの方が優先される。

20代前半の大津は、世代の先頭を走る存在で、21歳でドイツへの移籍を果たす。オランダに渡った後は本田も背負ったフェンロの10番を担い、ロンドン五輪でチームの中心として活躍した後、13年には日本代表デビュー。だがアキレス腱断裂の大怪我に泣く。帰国した15年シーズンからは古巣の柏で10番を背負う。順風満帆であり続けたわけではなく、場面場面で苦労の道を選んできたからだろうか。スピードタイプの選手だったころならば、仲川輝人やエリキを相手にしてでもウィングのポジションを奪えたかもしれない。が、ポステコグルー監督が就任したマリノスに求められるウィング像とはちょっと違う。ではトップか、インサイドハーフか、はたまたボランチか。怪我が無ければなどと言っても仕方ない。

ゴリゴリなフィジカル勝負もいとわないプレースタイルの変革を自らに課して、そこで生き残りを図ってきた。それでもなお先発できるチャンスは限られている。先発で出たくないわけがない。サッカー選手の開花期は短い。なおさらだ。

突然、私の話で恐縮です

私。社会人になってまもなく20年、仕事に没頭してきた20代、30代。家庭を顧みずとか、過労死ラインを超えてとか、まあモチベーションをマリノスのハイラインが如く、高く保っていたので当時はあまり問題視していなかったが、労働環境としては黒に近い。昨今の働き方改革の波で多少変わってきたところはあるが、まだ灰色と黒色の間くらいかな。

それなりにレギュラーとして活躍していた時期もある。トップチームにあげられたのも同期の中で早かったし、将来を嘱望されていた時期もある。ポジションはボランチかな、センターバックかな。対人守備は強いけど、スピードに難があるのと、攻撃に絡む動きが物足りない、キャプテンシーはまあまあ。
…まあ、かなりよく書くとこんな選手だ。

簡単に書くと、レギュラーにしてくれた監督が解任されてしまい、私もレギュラーを失った。で、よくある話さ、当時自分がそうだったように若手選手が抜擢されそのままレギュラー定着。ほとんど試合に絡めなくなってしまった。

上述のバイブルでも、松原健がそうだったというエピソードが出てくるのだが、私も最初は愚痴を言ってしまった。でもすぐに自分にできることをやろうと気持ちを切り替えた。だが明るく振る舞ったとは言えない。悔しさを殺して、目立たないように過ごした。そこが大津アニキと大きく異なる点である。

転職か、大津になるのか

でもレギュラーとしてプレーしたい。ロートルであってもレギュラーを奪い返すのか。それとも諦めて移籍先を探すのか。幸運が重なれば、給料だって上がるかもしれない。

「大津の献身さ」を読んで、当時の私には迷いが生じた。どこかでレギュラー奪取を既に諦めてしまっているのではないか。カテゴリーを落としても中心選手になりたい。でも給料は半分と言われると困る。だって子供もいるし、マリノスのネンチケは変わらず買いたかった。

期せずして自粛期間、完全テレワークに突入し、私は悶々とした。行き詰まり感は募る。キャプテンとして活躍していたころならまだしも今後の会社がどうなっていくのかすら、情報は入ってこない。そして転職活動に傾いたら、オファーがなかったわけではない。条件面の前に、まずは君のような水を運べる選手はうちのチームに必要だよと言ってくれたオシムも居なかったわけではない。あ、オシムって言っちゃったね。

オシムとの面接が設定されたころだったと思うが、リモート紅白戦に出番がやってきて、ほんの少しだけいいプレーができた。コロナのような未経験の危機が訪れている、その時は点取り屋よりも献身的で汗水流せる選手が必要だ、という風向きが味方してくれたのか? ドラマチックに描くならそうなるが、真相は分からない。

大津祐樹ほど夢と希望に溢れてはいない

1ヶ月前のオンライントークショーで、大津祐樹が登場した回を熱く見守った。Q&Aで無人島に行くなら何をもっていくかという他愛もない質問に、大津は真顔で夢と勇気と希望と、そう即答した。栗原勇蔵が現役を退いた今、大津や水沼宏太、昨日の記事に登場した實藤友紀の世代は最年長である。彼らが「若手が気持ち良くやれるように環境を整えるのが俺たちの役目だもんね」と口を揃える。そんなチームのムードは、良いに決まっている。

ともかく私は、大津のようにはなれない。でも見てくれる人は見てくれている。だから、レギュラーに戻ったなんてわけではないけれど、少なくとも若手が気持ち良く仕事できる環境を整える側には立てるようになった。で、こないだある若手に言われた。「あなたがくれるメールは若手に寄り添ってくれていて嬉しい」

他の人より早く出社して私なりに練って送った激励のメールのことだ。見てくれる人は見てくれている。

リモートマッチも見てる俺たちがいる

再び冒頭のaikoの名曲に戻る。失意の彼女は、燃えさかった恋の後に訪れたをこう締めくくる。

さらに見えなくなる…すべて。この歌よ、誰が聴いてくれる!


深い失望。現状への諦め。そして別離。
だが、選手たちには俺たちがいる。彼らの、あなたの苦労をすべて見てきたなんて到底言えない。けれど、私たちが背中を押せるのは試合中の90分だけではない。ピッチを離れても、たとえピッチに立てなくても、それに俺たちの姿がスタジアムになくても。

俺たちの歌がスタジアムまでは届かなくても、4ヶ月分の中断の分も精一杯歌う。だからもう一度言う。見てくれる人は見てくれている。

アニキのこともだし、今、自分なりにもがいているあなたのことも、だよ。

スーパースターでなくても、大津祐樹のように夢と勇気と希望につつまれていなくても、一緒に前に進もう。


なんか自己満足型のエモーショナルなエントリーで本当にすみません…。

實藤友紀の移籍後即先発はあるか

あれは3月下旬。すでにコロナの影響でJリーグは、というか世の中のストップが始まっていたが、「緩みの三連休」などと言われたころだ。僕らはチアゴの怪我のことも知らされていなかったので、實藤友紀の完全移籍加入にやや首を傾げた。

 

時間取らせないので、まずは福岡から移籍してきた時の福岡側のコメントを読んでいただきたい。

 

選手会が主催したステイホーム企画での水沼宏太とのトーク、またオンライントークショーではフィッシングベスト姿を披露しているがこの選手の人間性は間違いないと確信した。顔は確かにちょっと怖いが、笑顔はとても優しい。三児の父として、サネの強面と自宅に並ぶ女の子のものと思われるオモチャのコントラストが凄かった。

包み隠してないよね、上記のコメント。選手として挑戦したい。でもこの中断期間中で移籍してしまい挨拶もできずに申し訳ない。ユニフォームを買ってくれたファンのことを思い浮かべられる選手はなかなかいない。それを余すことなく掲載したアビスパの対応もあっぱれである。そんな選手を迎え入れる。

 

實藤の特長を知れば

サネといえば、レロイ・サネというシティかぶれだった人は手を挙げなさい。(はーい)

サネ同様にサネ實藤もスピードがあり、カバーリング能力に長けている。また大学までFWをつとめていた経験があり、出場機会を求めてDF転向を即断したという苦労人でもある。そのため根っからのDFと比べて、攻撃的な意識が強くてリスクを取ってでも相手の嫌がることを、という志向のある選手だ。ビルドアップ能力も高くて、抜かれても食いつく粘りのディフェンスを信条とする。

え、まるでマリノスが求めるDF像じゃん…。個人的な印象では川崎で登里が2人いたような、そのうちの1人がサネだったような気がするが、すみません、曖昧です。川崎5年、福岡4年でCBまたは右SBとして今年も戦力の中心にいたことは想像に難くない。

 

大学時代にコンバートを即受け入れたように、福岡に後ろ髪を引かれながらも今回マリノスのオファーに乗った。福岡なら主力だったが、マリノスにはベストイレブン級の畠中槙之輔とチアゴ・マルチンスがいる。さらに同じくJ2では一目置かれていた伊藤槙人と山本義道がいることは分かって。

脂の乗った31歳の挑戦である。

 

 

先発は畠中と實藤なのか

チアゴは確かに帰ってきた。だがまだ1週間。練習では畠中と實藤がコンビを組むことが多いと、記事に書かれている。

とはいえ、チアゴもコンディションを上げつつあるだろう。途上ではあるが、先は長い。無理するなよ、と浦和サポがツイートする優しさがほんの少しだけ話題にもなった。チアゴに気を取られていると、サネにやられるぜ、とコッソリ忠告しておこう。

 

ただし、「浦和戦の先発が誰か」も大事だけれど、サネがチアゴのようなカバーリングを見せつけられるかと考える方がよほど興味深い。チアゴがいないリスクを減らせるか否か、それは実は今年のマリノスの浮沈をうらなう重要ポイントだからだ。

 

というか、マリノスの情報統制が凄すぎる。どこと対戦したのか、誰が出て得点は?勝敗は? など、何も伝わってこない。YouTubeで中継される練習試合がはっきり言って羨ましい。が、このことが結果に結びつくと信じているからサポーターも決して文句は言わないはずである。

それにしても、知りたい。知りたすぎる。サネの速さを拝みたいのだが、それはこのまま本番までお預けである。

 

 

槙人と山本にもチャンスは「必ず」来る

必ず、とあえて断言してもいい。どんなに頑丈な選手であってもこの過密日程に出場し続けるのは不可能だ。チアゴ、畠中、實藤の3選手で回すことも困難だ。リーグ開幕戦では先発を務めた伊藤は再び先発を狙えるし、金沢の壁、「強さ」では随一かもしれない山本も例えば3バックならば3枚の中でぜひ使ってほしい。畠中とのコンビも全然ありだと思う。

 

各ポジションで厚みを増した分、ベンチ入り争いさえ過酷になった。松原健、小池龍太、前貴之の右サイドバック。天野純が加わった2列目もヤバイ。

 

ルヴァン杯や天皇杯がなく、リーグ戦集中。そしてACLの10月一括開催というのがどう影響するのか。緊張感のある怒涛の下半期が始まる。

 

まだマリノスでのプレーを見たことのない選手が何人もいる。その中で實藤友紀、間違いなくいい選手。気持ちのこもったプレーを見せてくれるだろう。