マリノスにシャーレを 2024

横浜F・マリノスのスポンサーを目指して脱サラした頭のおかしい3級審判のブログです

開幕の6ポインター【J1第1節・川崎F○2-1】

6年のうち4回の川崎と2回の横浜FM。どうせ注目を集める開幕カードで、この対戦を組むのは「もったいない」と思う派の私だった。
でもどうしたって盛り上がるのは間違いがない。

JリーグとDAZNが一丸になった「煽り」は見事だった。

注目のスターティングメンバーに松原健と家長の名前が

ケガはつきものだが、両チームともずいぶんと多くの主力級選手を欠いていた。
マリノスは、松原健と小池龍太の右SB2人がそろってキャンプ中に離脱したのは痛かった。そこで富士フイルムスーパー杯は、新加入CBの上島拓巳を先発で起用する。空中戦で強さを見せた上島だったが、先発に松原が間に合った。松原以外の10選手は、直前のスーパー杯と同じメンバーだ。

川崎もダミアン、小林悠と家長をケガで欠く。ベンチ入りはできるかも、と言われていた家長の先発起用には驚かされた。アジジ戦法だったのか。ここ数年、煮え湯を吞まされ続けた家長になんとかやり返したい。欠場されてはそれも構わないが、彼は出てきた。

異様なテンションの立ち上がり

マリノスが西村拓真のゴールで先制したシーンも含めて、どちらにも常に高い緊張感がかかっていたのは間違いないだろう。どちらも負けられない、とくにおまえらだけには。
当然、テンションは異様なまでに高かった。

家長はさすがに本調子ではなく、宮代はどこか力んでいるようにも見えた。だがマルシーニョがいた。絶好調だったとしても、さすがにスピード勝負では分が悪い松原だがよく集中力を保っていたと思う。中澤佑二が経験値で勝負する姿がダブって見えた。相手のチャンスでも、体を当てるなどしてなんとか自由と時間を与えない老獪なディフェンスは、職人技である。遠野に打たせたヘディングだけは危なかったけれども。

先制点のシーンは、チョンソンリョンのキックミスを誘発したわけだが、やはり狂気じみたプレスが相手の足元を狂わせたのではないかと思う。あざとく、つけ込んだとはいえ、ベースは徐々に川崎の手へと渡っていく。

優勢だったはずの2~3列目での主導権争いで後手を踏んだ瞬間、角田涼太朗と畠中槙之輔が不在のスキをついて裏抜けを許すが、オビ・パウエル・オビンナが1対1を制してゴールを許さない。このプレーをものにできなかった川崎はこのあと宮代やマルシーニョ、遠野らのシュートがことごとく枠を捉えられない。

好調時ほどではなくても川崎キラー・エウベルの相性は健在

実力拮抗した2チームなら、劣勢をしのげばひょっとしたら2点目が狙えるかも。永戸勝也のCKから、鉄壁と思われたジェジエウがマークを外してしまう一瞬のスキを見逃さずにアンデルソン・ロペスが落とす。エウベルのマークについていたのは14番を継承する脇阪だ。同じような動作で足を高く上げたが、エウベルのほうが早く大事そうに押し込んだ。

前半のうちに2-0。内容からすれば出来すぎのスコアだろう。

それにしてもエウベルのキレは、スーパー杯同様にまだ物足りない。それでもスコアという結果を残す。過去の川崎戦でもスコアラーとなっている勝負強さがここでもいかんなく発揮された。

等々力で勝利は4年ぶり

2019年、優勝に王手をかけた33試合めで4-1と川崎を圧倒して以来の、アウェイ等々力での勝利だ。

王者として迎えた初戦を、前王者相手に、しかもアウェイで勝ち切ったのだから勝点3以上の価値がある。開幕戦、お互いに勝点0の状態で戦っても6ポインターと呼ぶに相応しく「どっちも強えぇ」という反応になる試合だった。

開幕戦に勝つのもG大阪をアウェイで破った2019年以来、4年ぶりとなる。思えば前回のリーグ制覇のあとは、コロナの流行によって延期される直前の2020年でG大阪に敗れ、4か月あまりの中断を経た後もほぼいいところなくシーズンを終えてしまっている。川崎が破竹の快進撃を続けたこともあって、夏を前に早々と終戦していた。

あと33試合、川崎とマリノスのいずれかが制するなどと傲慢な予測はできないが、この両チームはさまざまなタイトルを今年も争うことになるだろう。

試合には勝ったが、内容的には「川崎強し」な時間も長かった。後半で目立ったのは、自分たちからボールを放棄してしまう場面だ。セーフティな選択を排除しろとは言わないが、マリノスらしいサッカーと言えるのかは疑問に思った。

簡単に選手の様子を振り返る

オビ…緊張は甲府戦を経験したことでしっかり解消できたかも。見事なシュートストップで勝利に貢献。キックの精度を高めたい
永戸…2点目につながるCKは見事。本調子ではない家長に目立った仕事をさせなかった
畠中…甲府戦よりも守備陣のリーダーとしての自覚が前面に出てよかった。
角田…CBとして、松原交代後は右SBとしてポリバレントに戦う
松原…30歳の誕生日翌日を白星で飾る。スピード勝負をギリギリの駆け引きでよくしのいだ。次回は前がかりに戦いたい
渡辺…絶妙のボディバランスで、川崎にとってストレスフルな存在に。欲を言えば相手エリアへの侵入を増やしたい
喜田…ターンでのロストが目立ってしまったが、彼が効く時間はマリノスのターンになる。柱。
西村…1得点。野性的カンと運動量で勝利に貢献。アンロペとのプレスで、なんども川崎を脅かす。今年もヨロ
水沼…ロペスへのクロスは糸を引く美しさ。ただ警告の場面で後ろから足を削ったのは赤では。去年と基準変わったか?
ロペス…守備での貢献が目覚ましかった。ジェジエウに一歩も引かない強さも頼もしすぎる
エウベル…こぼれ球に対して素早く正確に詰めて1得点。困ったときはエウベルだが、ボールを落ち着かせたいときはキープしてほしい

ヤン(71分⇒エウベル)…決定機でのパス選択、マルコスのFKのこぼれ球への反応など、試合に入れていなかったのか。難しい
エドゥアルド(71分⇒松原)…先発を角田に譲るも、登場後の安定感はさすが。セットプレイでの川崎の得点確率をさらに低下させた
井上(77分⇒水沼)…開幕ベンチ入りでデビューを果たす。失点につながるミスをしてしまったがプレス時のスピードは本物。次に期待
マルコス(82分⇒ロペス)…ジェジエウを退場に追い込んだリスタートでの飛び出し、PK(のちにFKに訂正)獲得時の雄たけびは執念を感じた。西村が残ったので宇宙人同時起用も熱かった
藤田(82分⇒喜田)…喜田と渡辺が盤石のときはクローザー的起用が続くが、必ずジョエルの力が必要な時が来るだろう。
ケヴィン…試合後も珍しく全身で喜びを表す姿が、この1戦が単なる1試合でなかったことを物語る。まだやるべきことは多いが大一番を制した指揮官の勝負強さに拍手。

盤石だったらどうなったろう…再戦は7月15日

両チームともに何名かの選手を欠いていた。また川崎の勝敗を分けたのは宮代ではなかったか。ポストをたたいたシュートはあったものの、今だからよかった感はある。数か月後にはどうなるだろう。ダミアンと小林がいない中で、彼のデキはチームの浮沈を握るだろう。この一戦については、遠野を前にあげて大島僚太が早くからやりたい放題だったら相当嫌だったと思う。

マリノスも新戦力がフィットしたら、まただいぶ変わるだろう。この日、植中朝日はベンチ入りしなかったが、チーム編成上は彼にかかる期待はどうしても高い。7月になれば、まるで別の戦い。

できれば、そのときも頂上対決であってほしいものだ。

等々力で獲得した勝点3は、文字通り6ポイント、いやそれ以上の価値があるかもしれない。シーズンダブルを達成して、連覇への道を進みたい。