今年もマリノスにシャーレを 2020

シャーレを掲げることは難しく、守ることはさらに難しい。連覇に挑む2020年、アウトサイダーではなく本命として、今年もシャーレを掲げよう。座右の銘はシャーレです。

天野純の惜別と意地の一撃。彼のようにしっかり前を向けば浮上は近い【J1第7節●1-3札幌戦】

前節のダービーで連敗を止めて乗り込んだ札幌の地は、ACLの韓国以来となる長距離遠征。待っていたのはこの4試合で3敗目という停滞感だった。遠藤渓太の壮行試合のはずが主役も早々に、腰のあたりを気にして負傷交代するというまさかの展開に、ショックは隠しきれない。

右往左往は不安と不満だけを生む

なんだかコロナの再感染拡大を憂いて右往左往する通勤サラリーマンのようだ。私のことかい?
この週明け、私は3週間ぶりに都内ターミナル駅にあるオフィスに向かった。朝の電車は、コロナ後の中ではもっとも混雑していたと思う。げんなりしていた。リモートワークという新しいスタイルのサッカーに慣れてきたと思ったら、突如として古いスタイルに逆行させられた感じ。ごめん、ちっとも伝わらない。所詮は中小企業勤めの小市民だから、感染者数の増加だけに踊らされてはいけないと知りつつも、再び週5日リモート勤務の完全在宅方式から、出勤日と在宅勤務日のハイブリッドとなり、日々何が正しいのかを見極められずにいる。
すごくカッコ悪いし、すごく凡庸だ。
快勝の後にまたミス連発での大量失点に逆戻り、と言ってしまえばそれまで。コロナがある事実を受容し、その中でどのように前を向くか?というのは相手の絶対に前を向かせないぞという強いプレスを受け入れ、耐え、時にいなし、なんとかゴールに向かうことが大事だという話と似ている。いや、ますます話がこんがらがったか。

そこを撃ち抜くか、天野純!

報道によれば、ダービーの前日にアクシデントがあり、先発を回避したという天野純だったが、この日は先発で出場。後輩である遠藤渓太の国内ラストマッチということは、もちろんチームメイトも分かっている。誰だって、生意気な後輩を勝って送り出してやりたい。ちょうど1年前、天野自身も「ラストマッチ」を三ツ沢で迎えていた。当時、先発の機会が少なくなっていたとはいえ、圧倒的ホームの大分戦で自身はフル出場して勝利を引き寄せている。

コロナさえなければ。よりによってクラブの財政破綻。志半ばでの帰国。サッカー選手1人の力ではどうしようもなかったのも事実である。同情の余地だらけだ。誰も「彼の海外移籍は失敗だった」とは言えないだろう。ノーコンテスト、無効試合だと言っていい。

ただし残った事実は半年余りでの帰国である。彼が退団してから、怒涛の快進撃が始まりリーグタイトルを射止めたが、彼には王者になった実感などあるはずもない。また今月19日で29歳になった。プロ入り7年目、彼自身が認めるように再び欧州に移籍先を探すのは相当難しくなったと言わざるを得ない。

22歳の後輩は、ドイツ1部に渡る。今から待ち受ける、厳しいかもしれないが、輝かしい未来。若さという可能性に羨ましさを感じている。出番に恵まれないときも腐らずに努力してきた渓太の成長を誰よりも近くで見てきた先輩のうちの1人だ。その彼が、見せつけた。湘南戦でも光った積極性は、間違いなく去年の春までの天野には足りなかった大事な要素。

「俺が試合を決める。チームを勝たせる」彼の覚悟という言葉の真実味を感じずにはいられない。渓太がんばれ、俺もこうやってもがいて成長してきたんだぜ。松原健がバウンドしたボールを右サイド前方に蹴り込み、それを水沼宏太が巧みに収めると、走り込んできた天野純の足元につける。トラップがうまい。間髪入れずに振り抜いた左足は、GK菅野に触ることも許さない厳しいコースに飛んだ。彼はシュートを打つ瞬間の、もうだいぶ前からそこを狙うと決めていたかのようだった。

またしても天野の技が光るゴール。そこを撃ち抜くか、天野純。渓太が程なく交代してしまうわけだが、最高の先制点だった。

しかしパニックへ

右のルーカスフェルナンデス(LF7)が凄かったのか、ティーラトンのコンディションが想定以上に悪かったのか。おそらく両方だと思う。ここを蹂躙されたマリノスは、先制からわずか3分で逆転を許す。その後もティーラトンは、警告を受け、挙句には松原と左右を入れ替えるほどの散々なでき。前節に足を踏まれて倒れこむ場面があったのだが、その際に裂傷を追ったという。その傷が思いの外、深くて結局はハーフタイムに小池龍太との交代となる。ボス・ポステコグルー監督にしては怪我を押して無理をさせるのは珍しい。高野遼は北海道に帯同すらしていなかったようなので、ティーラトンのコンディションは想像外の誤算だったのだろうか。

確かに、畠中槙之輔、伊藤槙人はそれぞれ失点に直結するミスを犯してしまった。このようなオウンゴールに匹敵するようなミスから2失点、都合3失点となると、これでは勝てない。だが、すでに多くの記事で指摘されているように、ビルドアップで大苦戦を強いられた。特に両ボランチへのコースを塞がれ続けた。もちろん本来なら二人とも鋭く縦へのパスをつけられるし、自分で持ち運びもした。

1対1をしつこく迫られるということは、こちらとしてはその眼前の1選手を出し抜けばビッグチャンスとなる。昨年の後半の「エリキ 、マテウスの質的優位性」がうまく行っていたのはこのためだ。ところが、今は一人一人がその1枚を剥がせない。コンディションがキツイのもあるだろう。デュエルで勝てないから、ビッグチャンスの到来も少ない。

これを「CBのミスのせい」と断じても仕方ない。ちなみに槙人は空中戦では比類なき強さを見せている。畠中も再開後全試合、守り続けてくれている。その貢献は絶大だ。

今年も北海道に散る、しかし

ミシャのくれた宿題。中盤を分厚くして、お前らの嫌がることを徹底的にやったるで。え、この程度で何もできないの? 思えば前年も札幌ドームでは0-3の敗戦。何もできない2019ワーストゲームのひとつだった。そこから半年後にホームで再戦した時も、よく考えたら中盤を厚くして前を向かせない札幌との攻防はとても強度の高いものだった。ただちょっとしたパスのズレを見逃さなかったのはマリノスの方だった。だから4得点を奪ってリベンジができた。自分たちのサッカーに大きく自信をつけたから、宿題を上回れたのだ。

今年も晩秋に再戦、のはずが、ACLの影響で日程再調整が行われたために、わずか1ヶ月後の8/26にホームに迎え撃つ。エリキも仲川テルも、そしてマテウスも居なかったマリノスの2020年エディションはまだ模索中。

昨年も噛み合ったのは後半戦からだ。しかも試合消化が進むにつれ、カップ戦での早期敗退の影響もあってどんどん間隔が空いた。だから研ぎ澄ますことができた。だが過密日程で、ろくに休みもない今年は、8月からさらに日程がキツくなる。

そこに渓太が抜けるのがキツくないはずがない。新たな補強の噂も出ているが、コンディションやフィット向上の時間もかかる。


天野純のメンタルを真似したい。どんな状況下でも自分の糧とできることはある。この苛酷極まりない状況をどう乗り越えたかで、さらに強いチームになれるはずである。

それにしても首位の川崎、つえええ。横綱相撲のような、質的優位と精神的な優位。昨年後半戦はおそらく今の川崎以上の勢いがあった。

年が変わって、長い休みを余儀なくされて、その勢いはリセットされている。

そこに火をつけるかのような天野純の積極的な姿勢。簡単に怪我人の傷は癒えないが、渓太の一人や二人笑って送り出せないような選手層ではない。

もう一度、密集の中でも、強いプレスに潰されそうでも、前を向いてゴールを見据えてほしい。
勇猛果敢に。