マリノスにシャーレを2019

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

用法・用量を守って最終戦に臨もう

そんなことがあるだろうか。あの巨大な日産スタジアムで、即日売り切れ。そんなバカな話は聞いたことがない。
1ヶ月先の試合、優勝のかかる大一番となるかどうか現段階では分かっていないそんな34節のチケットを巡って論争が起きている。ものすごい盛り上がりで嬉しいような、それでいてチケットが欲しい人の手元に行き渡らない危険をはらんでいるような予感もする。

結論を先に言ってしまえば、まだいくらでも入手する方法は残っている。
だが、「日産スタジアムの優勝決定戦のチケットが発売と同時に即日完売」という言葉のインパクトが強過ぎて、蓋を開けてみたら、あれ空席あるやん…ということが起こりかねないことを、私は懸念している。



なかなか衝撃の表示と言っていい。三ツ沢じゃないんだぞ。アウェイじゃないんだぞ。要塞だぞ。4万人の専スタがちょうどいいってあれだけ言ってたのに。
だが、これは一時的な品切れを表しているだけで、完売したわけじゃない!ということを、周りに声高に宣伝しまくるしかない。でないと、興味を持ってくれた人が、早々に諦めてしまう、足が遠のいてしまう事になりかねない。そうなったらそれは単なる風評被害である。ここ数戦、ニッパツ三ツ沢では最終的にいずれも「完売」が起きた。完売すると、マリノスは「完売しましたよ。当日券販売はありませんよ」というリリースを出している。今回はそんな事一言も言っていない。

加えて、次のような不確定要素がある。

・座席を潰して、緩衝帯を作る事になる。
・「5試合選択券」がまだ使用されていない分。
・貯まったポイントを利用しての無料招待券を進呈する分。
・ネンチケを持った人で欠席者もいる。以前に比べれば「リセール」ができるようになったので
 「死にネンチケ」は減ったとはいえ、全く来場しない層を何名で読むか。

つまりクラブは、こうした余剰分は除いてチケットを売らなければならない。
売りすぎるわけにはいかない。絶妙なさじ加減が求められる。
すなわち、本番が近づくにつれて追加のチケット販売が起こりうるのだ。


マリノスの過去10年の「ホーム最終戦」の入場者数を転記してみる。右側の平均数字は年間の平均観客動員数なので、その差を比べることができる。

2009 清水  30,985 ○2-0 平均22,057
2010 大宮  28,071 ●0-2 平均25,684
2011 鹿島  26,973 △1-1 平均21,038
2012 鳥栖  26,642 ○1-0 平均22,946
2013 新潟  62,632 ●0-2 平均27,496
2014 新潟  29,379 ○1-0 平均23,088
2015 松本  44,226 △0-0 平均24,222
2016 G大阪 38,380 △2-2 平均23,896
2017 C大阪  34,153 ●1-4 平均24,766
2018 C大阪  30,608 ●1-2 平均21,788
2019 F東京  平均24,707

ここ4年、ホーム最終戦で勝ててないな。言われてみれば確かにそうだが、そこじゃない。
最終戦は、どんなに成績が悪くても、対戦相手の動員が少ない相手であっても、数千人はその年の平均値よりも多く来場する。さらに優勝がかかったシチュエーションとしては2013年と同じ。さらに松本がそうだったように、動員力のある瓦斯が相手、おまけに相手にも優勝の可能性あり、となれば、なかなかこれ以上の状況は考えられない。

なおマリノスの1993年からの通算入場者数が、札幌戦までで995万人余となっている。つまり5万人の来場達成で、史上2クラブ目のJ通算1,000万人来場達成となる。その試合で優勝決定となれば…もちろんムフフである。

また上述のように、リーグ戦の最多入場者数記録となっているのがあの2013年の新潟戦で62,632人だった。さらにJ全体を見渡スト2004年の浦和とのチャンピオンシップ第1戦、64,899名となった。これを上回るかどうかも注目のポイントとなるだろう。不滅の最多入場記録を打ち立てての優勝決定となれば…もちろんムフフである。

圧倒的なホームという意味では、先のラグビーW杯での日本対スコットランドである。地鳴りのような歓声をあげブレイブブロッサム・日本を後押ししたのは6万7千名。決勝戦ではついに前人未到の7万名入場を果たした(70,103名)。72,327名が定員として公表されている数字なので、収容率は96.9%にもなるそうだ。これに肉薄あるいは越すのは、ラグビーには存在しなかった緩衝帯を作るなど制限が加わるため不可能だと言われている。

話が横道に逸れたが、早晩、本当に「完売」する可能性は極めて高いだろう。
絶対に転売屋から買ってはならない。
買い占めるのも違う。
アウェイチームのサポーターがホームサポになりすますのもダメだ。

用法用量を守らないと、せっかくの優勝決定戦(仮)がつまらないトラブルにより、台無しになってしまうかもしれない。

いいですか、横浜F・マリノス対FC東京戦のチケットは、願い続ければ絶対に入手できる。

今日もAM10時から再販売があるだろうと言われているし、いろんな「放流」がこれから起こる。メルカリを観るのはダメ。でもTwitterを代表とする各種SNSで呼びかければ絶対出てくる。試合当日の朝まで絶対に出てくる。突然行けなくなりましたとか、実は1枚余ってましたとか。

諦めてはダメです。

で、チケット争奪戦に比較的慣れていないマリサポ初心者へのお勧めは当然コレ。


ネンチケ、買おうよ。マジで。年間全部行けなくても、全然お得。来年はまず間違いなくACLのグループリーグの試合観戦も付いてくる! 20試合確定。

と、そのタイミングで、
アンジェ ポステコグルー監督 契約更新のお知らせ | ニュース一覧 | 横浜F・マリノス 公式サイト
とか来るじゃない。もう商売上手というか、これだけマリノスのサッカーの評判がいい中だったら売れますやん?


なお、今週末16日には、33節・川崎戦の一般販売。ホーム席も瞬殺だったため、マリノス側のアウェイ席は史上最大級の争奪戦が予想されている。ゴクリ。

優勝争いは素晴らしいけど、チケット争いは程々にしたいところである。お後がよろしいようで。

その前線、凶暴につき【J1第31節・札幌戦○4-2】

疾風迅雷。4ゴールはいずれもこの言葉がハマる。速すぎて早すぎる。

 

たった30センチ。バックパスを処理しようとしたクソンユンのトラップがほんの少し前方にずれた。そうなるかもしれない、と狙っていたエリキがいた。それに彼は本当に速かった。だから、しまったと思った時にはもう遅い。ボールをひっかけた後の身のこなし、ボディバランスが非凡で、札幌のネットはもう揺れた。

 

その2分後は、畠中槙之輔の斜めパスが凄かった。これが起点。松原健が思い切って、守備側の間に顔を出す。そこにすかさずつけた畠中も偉い。そうすれば、右サイドにヨーイドンのパスだ。

 

横浜の右サイドには仲川輝人。怪我明けを感じさせないスピード、これについていける選手はチアゴ・マルチンスくらいではないのか、割とマジで。そこから、囲まれて、自分で奪い返して、また取られたボールが自分にあたって、ダイレクトでクロス。この軌道がまた秀逸で、エリキは合わせるだけでオッケー。

 

前半4分で2-0というのは、さすがにJ1では記憶がない。スタンドのサポーター達も呆気に取られるほどの結果である。だが扇原貴宏が言うように、ラッキーなどではなく、試合開始のその瞬間からプラスを強くかけていたからこその結果だ。待っているだけでは、こんなことは起こらない。

 

ほぼ予想通りと言ってはアレだけれど、最初の札幌のCKは福森の質の高いボール、ジェイが頭一つ易々と抜け出してヘッド。どうにか朴一圭が弾いたまではよかったが、鈴木武蔵に押し込まれて、2-1。まだ前半9分の出来事だ。一旦ゲームの行方は分からなくなる。

良い失点というものは存在しないが、パギはこの失点を見事に糧とした。後半立ち上がり3-1の状況だ。後半最初のビッグチャンスは札幌。またもCKだった。同じように相手のヘディングが上回る。飛んだコースは、前半のそれよりキツかったはず。またも飛び、止める。そして立ち上がる。その目の前に札幌…! 今度は体に当てて止めた。本物のビッグプレー。でも、それをシゲさんと練習してた通りだからと、こともなげに言う。ピッチでは吠えていた。どうだ、守ったぞ、お前らもっと点取ってこい、と。

 

時間は戻って前半の3点目に触れないわけにはいかない。2-1のスコア、札幌も勇敢だった。ファイナルで川崎と撃ち合いを演じ、敗れた傷口が癒えないままでも次節に立て直したメンタルの強さは伊達ではない。チャンスの数でマリノスに上回れても、エリキやマテウスに脅かされても決して下を向かない力強さがあった。予想通りか、予想以上に札幌は強かった。

 

そんな抵抗のさらに上を行ったのは、マテウスと仲川の大スラロームドリブル講座だった。23分、札幌のチャンスをしのぐと、自陣ペナルティエリアを出たところでマテウスがボールを持つ。

 

場所は札幌にとってのいわゆるバイタルエリアとなる。絶対にマテウスはボールを失ってはいけない箇所だ。したがってセオリーはパスコースを探すこと。コースが無いから後ろに下げてでも、ボールを守るべきところ。

 

ここでマテウスは迷いなくドリブルを開始した。虚をつかれた札幌の中盤の選手達は慌てて中央によりマテウスのドリブルを止めようとする。1人、2人、3人いたか…ファウルで止められたかに見えたが、そのボールをさらったのはテルだった。場所はセンターサークル付近。

 

どうみてもいきなりスピード違反、一発免停。五分五分のボールだったと自身は振り返るが、はたからはそうは見えない。どうせ、君が駆け上がるんだろう、もう君のものだろうと、観てる方は幸せな予感をしてしまうのだ。

札幌の泣き所は、このスピードへの対応だった。誰も追いつけない、それにクソンユンも1対1で左右に振られてはどうしようもない。栄光に向かって走って行け、どこまでも。再び無人のゴールのネットが揺れる瞬間を私たちは眺めていた。

 

化け物じみている。嬉しい、より恐ろしい。世界のどこに両ウィングが2人でドリブルをつないで中央をぶち抜いてしまうチームがあるだろうか。ミシャ・ペトロビッチ監督はファウルでも止めなければならなかったと嘆いたが、私にはファウルで止めるチャンスすら残されていなかったように思える。凶暴なのだ。これを札幌の油断と呼んでしまうのは気の毒ではないか。

 

フィニッシュ役をエリキとマテウスに任せて、チャンスメーカーに徹することが多かったマルコス・ジュニオールは、両脚腿裏を気にするそぶりを見せながら、84分に交代するまでハードワークした。立派。上記のテルのスーパーゴールが生まれる際、マテウスが倒れた後にマルコスもボールそばに居た。でも後方から一直線に向かうテルに道を譲った、この判断。ただ誇らしい判断力、結果主義。素晴らしいプレーヤーだな。

PKを奪ったシーンは巧みに身体を入れ、キックは左ポストをかすめてゴールインさせる精度だった。これが4点目で、さすがに勝利を決定づけたか。

 

だが札幌もしぶとい。宮澤がキムミンテに代わってからは前への圧力が再び上がる。これもどうかしている。4-2と再び2点差に詰められてから、マリノスは5点目・6点目を取れるチャンスを決めきれなかったがパギの他、チアゴ・マルチンスのスピード、カバーは最後まで衰えずにこのまま逃げ切ることとなった。畠中はややパスミスが多かった印象がある。ティーラトン、松原の対人守備が素晴らしかった中で、さすがの場面とアレ?というシーンが同居した畠中だった。

 

喜田拓也と扇原には、とにかくどちらも欠けずに最終節まで駆け抜けてほしい。

 

エリキ、マテウスは盤石というか、完全にストロングポイントに。この先、エジガルが復調したら、どうするんだろうか。(外国人枠の関係で、マルコス、エリキ、マテウスの誰かと入れ替えなければベンチ入りできない。朴一圭、ティーラトンのどちらかを外す荒業もあるがー)

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残りは3試合となった。鹿島敗戦の報により、2位浮上と、自力優勝の復活となった。

 

あと3つ、難敵だらけだがそこを勝ち抜けば誰よりも上に立つ。

 

たどり着こうぜ、最高の場所へ。と歌声が響いている。最高の試合だったと思う。しかし、まだここは最高の場所ではない。まだだ、まだ。

 

5点目を取れなかったために最後まで、2点差あるのに苦しい試合となった。残弾は、残り3試合に取ってある。

 

最高の場所へ行く、準備はいいか。

 

 

優勝に向かって、4連勝をかけて【J1第31節・札幌戦展望】

沼。ハマってはいけないものの例えだろう。それにハマってしまったら抜けては来られないし、どこまで沈むのかも誰も分からない。マスコットをめぐる沼。沼という言葉と裏腹に、ライフスタイルもしくは人生を愉しむことの象徴。愛の対象が、地下アイドルや見た人が眉をしかめる反社会的なナニカだと、テレビ番組にはなりにくいし、Eテレなどもってのほかである。ぶっちゃけ、「ディズニーキャラクターを愛する男女」でも辛い。珍しくもなんともないし、テレビチャンピオンなどでも消費し尽くされたからだ。オタクの尊さは平等であり、相対評価など存在しない。だけれども、それを批評する他人から見た尊卑は存在する。

 

Jリーグのクラブマスコットというジャンルが一般的にはどう受け止められるかはよく分からない。ストライクゾーンをどのくらいかすめているのか、外れているのか。豊かだなぁ!って感じてくれたらいい。豊かでしょ、あれ。全力で楽しんでいるもの。サッカーを観るのが好き、Jリーグが好きという入り口の段階があるとすると、それってせいぜい試合の90分しか楽しめないけれど、沼の住人たちは隅々まで、ライフスタイル一体型で愛しておられる。節度のある沼なんかいらない。

長男は小さいころ、本物のマリノス君が怖くて近づけなかったのだが、下の子は物怖じしない。小さい頃の特権だ。もっとマリノス君と接触しようと決める私。

 

大盛況のラグビーW杯も、気づけば大団円。あれ、実は今週から日産スタジアム使えたんじゃないか…と思わないこともないが、満員御礼、完売御礼の験のいいニッパツ三ツ沢球技場での開催は今季最後となる。

 

過去12勝2敗1分、ホームに限って言えば札幌を相手に負けたことはない。DAZNプレビューのネタから引用すれば、「瓦斯は、磐田戦の過去5試合では1ゴールしかあげられていない」「鹿島は川崎戦の勝率は29%であり、圧倒的有利なはずのカシマスタジアムですら五分の対戦成績」であり、今節なにやら波乱の予感はする。

今季最後のニッパツは、圧倒的な雰囲気を作り出したい。この後は厄介なアウェイ2つ続く。逆転残留を目指す17位の松本のアルウィンは完全なる逆境の地になるだろうし、川崎は3連覇が潰えていたとしてもACL生き残りがかかっているだろうし隣町のマリノスにだ気配優勝させまいと意気込むだろう。最終戦は超満員になったとしても瓦斯サポも多く来るだろうし、我々とて平常心でいられるとは到底思えない。

すなわちマトモなホームゲームとしても最後。勝手に緊張していないだろうか。そんな方は肩の力を抜くといい。ごめん、私は吐き気がおさまらない。キックオフごろには心拍数が四桁に達する恐れもある。

 

過去の数字はともかくだ。ここ5試合に限れば対戦成績は互角とも言える。はっきりしているのは「今の札幌は強い」。ルヴァンのタイトルをあと一歩のところで逃して意気消沈しているかと思えば、むしろ元気。タレントも豊富で、ああ普通に強いのだと知る。好不調の波もすっかり小さくなってきた。鈴木武蔵、チャナティップ、ジェイでベンチにアンロペが控える手駒の豊富さ。深井もセットプレーを中心にゴール絡んでるし、前回やられた福森の左足は本当に嫌。藤沢市、桐光学園出身で、川崎→札幌ローンという経歴、んー、いかにも我々のマリノスに立ちはだかりそうな経歴である。

 

鳥栖の肉弾セットプレーにもよく耐えていたマリノスだけど…豊田にもやられかけたし…今日もCKもドキドキ増しそう…。チャナを止めようとしてファウルしてしまって福森!は前回やられたパターン。ダメ、絶対。

 

モチベーション。初タイトルをギリギリなところで逃してしまった札幌にはもうACLも、降格もない。こちらは絶対に15年ぶりのリーグ優勝へ。かかる重圧も、その分得られるものも桁違いだ。勝つしかない、勝たせるしかない。度々言われてきた4連勝の壁。今季4度目の3連勝からついに4連勝へと歩みを進める。もう止まらない、止まりたくない。

 

月間MVP受賞の仲川輝人が先発に帰ってくる。テルが右にいるとやはり違う。テルを活かすのにも、そセンターバックからの前進が大事だ。恐らく札幌は前からプラスに来るだろう。攻守の可変システムを上回るには、マルコス・ジュニオールがどの位置で仕事をするか。そのポジションが高ければ、マリノスにとって有利になるのは間違いない。

 

14時に上位3チームとも揃ってキックオフとなる。繰り返すが、何やら波乱の予感が漂う。今節首位に立ちたい。勝つ以外に道はなし。

 

沼にハマった「きょうすけくん」は今日も憧れのマリノス君よろしく、旗を貼り続けるだろう。友人の小学4年のそうた君もこの試合のエスコートキッズに初めて選ばれた。ネンチケ歴4年、私と同期であり尊敬するマリノスサポーターの一人だ。試合日はもちろん、得点すればテンションだだ上がり、負ければ涙が止まらなくなるセンチメンタルサポーターである。

誰と手を繋ぎたいのか?の問いに、「推しは全員」だと言う。彼もきっとチームに勇気を与えてくれるだろう。大役がんばれ、そうた!

 

普通なら佳境、けが人続出、青息吐息のこの時期に、まだ伸び代を感じさせるマリノスはすごい。勢いは我らにあると信じる。

絶対勝とう。勝って、勝って、勝って。最高の場所へ。

 

ただ想いを走らせた 単純明快なラブソングが、いい

朴一圭が喜んでくれた話がとてもいい。
J1第30節の鳥栖戦で、パギのための新応援歌(チャント)がお披露目された。もちろん駅前不動産スタジアムで直接耳にするまでは知る由もない本人の述懐では、ようやく少し認めてもらえたのかな。やっとチームの一員になれたと思うと嬉しい、という。

もう長く守護神に君臨している錯覚を覚えている。途中、負傷で離脱して、またすぐさま復帰して…などという紆余曲折があるから余計にそう感じるのだろうか。思えば、J1デビュー戦がホームでの鳥栖戦だったから、ちょうど次の鳥栖戦でチャントデビューになったわけだ。意外にもまだ21試合め。今季開幕時には誰もが飯倉大樹が続けて「絶対的守護神」だろうと思っていたのだから、隔世の感すらある。その飯倉は、華麗な3人抜きをかましてはボールを奪われあわや失点。審判にファウルを主張しながら、「早よ戻らんか」とイニエスタにどつかれている。それを見て、心臓の下のあたりがちょっとむずむずする。ああ、僕らは飯倉大樹も変わらずに大好きなんだ。

マリノスは新入団の選手に安易に歌を送らないのだそうだ。どういう趣向なのか知らないけれど、まあ、一人の選手の平均在籍年数を計算したら、3年程度かもしれない。最近のマリノスならもっと顕著だろう。その選手が移籍・退団してしまえば、お蔵入りとなる。昔は、移籍すれば名チャントはチームを越えて引き継がれるのかななどと思っていた。もちろんそんなことはない。それくらい選手の名前を歌に込めるのは誇り高きことである、というのは分かる。でも久保建英や三好康児の名前も歌いたかったな、という思いもある。

チームの名前を歌にしたものと比べると、選手の歌は、儚く短命だ。永遠に歌える歌なんてない。パギの歌は、榎本達也のものと同じ原曲が使われているそうだ。私のような樋口靖洋世代には分からない。エジガル・ジュニオが再来日して以来、通勤中の脳内でリフレインされ、昼休みには鼻歌交じりに歌ってしまう私のようなサポーターが多いはずだが、エ・ジ・ガ・ル!!は大島秀夫がルーツだという。これらは前任の選手が現役を引退したらリバイバルOK、それまでは不可という不文律があるのだとか。

いつの日にか、富澤清太郎や小林祐三、榎本哲也のメロディがまた歌えたらいいと思う。無論、彼らの引退を早めたいなどとは全く思っていない。手にしかけた優勝に届かなかった2013年に主力だった選手たちの名前を一体何度呼んだことだろう。歌い過ぎたために6年経過してもまるで色褪せない。忘れることがあるはずもない、と思っている。

したがって、この麗しき2019年の試合も、彩る歌声もいつか思い出となる。あなたはどの応援歌を、2019年を象徴する一曲として記憶に留めるだろうか。この最終盤に、また一曲、パギの応援歌が候補に加わったわけだ。中身にケチをつける気はないのだが、覚えやすく、単純明快な歌詞とリズムが最強だと思う。よそのチームの曲であっても覚えてしまうあの曲は、いつだってシンプルで、中毒性があるもの。2019年のアワードがあるならば、ブルーノ・メンデス一択ではないか。

マリノスならば近年で最大のヒットは、ウーゴ!ヴィエイラ!ウーゴ・ヴィエイーラ!だろう。異論は認めるけど。語り継がれる名曲の条件は、子供が一発で覚えられるかどうか。だからパギさんのものはやや複雑だなと感じる。オーオー!○○!みたいなやつでいい。みんなの声が一つになるやつ。ウォームアップ中の段階から選手のみぞおちにズドンと響くやつ。いつどこでも、愛を込めて。

「俺たちの○○」とか「横浜の○○」も大変良い。名前だけのものに比べ、この一手間により唯一無二の歌に昇華する。それでいて、覚えやすさが損なわれていないものならば。俺たちの!という呼びかけに対して、選手が「聞こえてるよ!ありがとう」と拍手で応えてくれるのも尊いが、エンブレムに触れるのに弱い。最近のウチの子たちがよくやる。

ポン、ポンとエンブレムを2回叩く仕草を直訳するなら、任せてくれ、この胸のほこりにかけて戦うよという感じ。もっとエモいのは、ギューッとエンブレムを握りしめるやつ。ウォーミングアップが終わってロッカーに引き上げる時の試合前の扇原貴宏とかがやると一層絵になる。

もし、この想いを直訳できるのならば…
今日もありがとう、みんなの声、ここまで、届いてるぜ。みんな、このエンブレムが大好きなんだな。俺もだよ。試合に出られない選手たちやスタンドにいるみんなの分の気持ちも背負って戦うよ。戦い抜くよ。だから90分、苦しい時も絶対に応援してくれ。そして勝つぞ。いいか、絶対に勝つ。マリノスのサッカーをして、自分たちがイニシアチブを取って、勇敢に。スタンドも一緒だぞ。準備はいいか、行くぞ。勝つぞ。

…あかん、書きながら泣けてきますやん。こんなん。


黄昏の2013年と異なり、ひょっとすると来年やその先のマリノスは今年よりも強くなるのかもしれない。本当に黄昏だったと、今振り返ると思う。

似ていても、同じチームでは二度と戦えない。つまり2019年のチームは今年完結する。サッカークラブは続く、サポーターも続く。でも今年は今年なのが、有機体としての「チーム」の運命なのよね。

2019年のタカに、テルに、五輪代表の渓太に、偉大なるブラジル人選手たちに、タイの英雄に、遅れてチャントのできたパギに、ベンチに入れない選手たちにも、精一杯の声援を。

その歌声は、どんな恋愛映画にも負けない単純明快なラブソングだと思う。いい年をして、腹の底からラブソングを歌える幸せ。好きなものを好きと言える幸せ。勝利を噛み締められる幸せ。

一緒に優勝したい。

遠藤渓太は代役じゃない。たどり着こうぜ【J1第30節・鳥栖戦◯2-1】

リスタートの瞬間から遠藤渓太は思い描いていたのかもしれない。自分がどうやってゴールに走り込み、そして味方のつないできたボールをどう流し込むべきか。その一連のプレーは仲川輝人のような輝きを放っていたとは思わないか。

 

大雑把に相手が蹴ってきたボールを競り合った際にチアゴ・マルチンスが引っ張られてファウルを受けた。そのリスタートは何気なく、ただし素早く、畠中槙之助から傍にいた扇原貴宏へ。左足で縦にマルコス・ジュニオールがターンして前を向く、この動きが滑らかでもう幸せになる。

 

ティーラトンがタッチライン際を駆けて、ワンタッチで中央へクロスを送ると、手前のエリキは囮で外から絞ってきたはずの鳥栖DFの三丸がフリーで難なくクリアと思ったはずだ。ところが、背後から忍び寄る影に一瞬で身体を入れられてしまう。

影の正体こそ遠藤渓太。右足のアウトサイドで軽く蹴り込みネットを揺らす。

 

ああ、その走ってきたコース、相手DFの死角を突く動き、飛び出すタイミング。幾度となく仲川テルが決めてきた、出し抜いてきた動きそのものだ。いつもの左サイドとは見える景色が違う、と試合前のインタビューで答えていた。それに左右が違うだけじゃない。いつもの左サイドのレギュラー選手がたまたま右で先発したという話ではない。マテウスの先発が定着してきたため、渓太の先発は4試合ぶりだった。仲川が万全ならこの日もベンチスタートなのは濃厚だったと思う。代役ではない、テルが戻ってきてもじゃあ「テル先発復帰ね、とはさせない」そんな意地と、先輩へのリスペクトが美しい先制点の裏にあったことは間違いない。

 

鳥栖サイドからすれば勿体ない失点だった。真面目なはずのプレスをかけてたはずなのに、扇原の縦パス以降はまるでノープレッシャー。これが集中力の切れた瞬間というやつだろう。2失点目も同じだ。GK高丘は試合を通じて1対1で比類なき当たりを見せていた。でも朴一圭の守備範囲にインスパイアされたかどうか、マテウスとのヨーイドンは「無謀」だった。留守番は手の使えないDFが2名。マテウスが回収してくれた横パスを受けたエリキは射抜く。人類が手を使わずには防げないコースをあの一瞬で狙って。静的FKよりも難しいコースだが、FKで狙うよりは容易いのかもしれない、残酷なシュート。その直後の口角が張り裂けんばかいの笑顔を破顔一笑と呼ぶ。彼もまた悪魔のシュートを放つ男に認定しよう。

同日、瓦斯対大分で似たように瓦斯のGKがゴールマウスを離れたシーンでは大分は決めきらず、瓦斯の橋本が頭でクリアした。「DFが絶対に届かないシュート」というのは口で言うほど簡単ではない。

 

速やかな2-0。実は、この日の私は絶賛審判中。そう、鳥栖に行けないどころか、リアルタイムDAZNすらかなわない不遇の3連休初日を送っていた。でも、遠征に向かう人々の可憐なツイートに嫉妬の炎を燃やすことは1mmもなく、首里城の件と私は一切関係がないことはここに証明されている。ただ1200キロほど先の空に向かって、4級審判は元気よくホイッスルを鳴らすのみ。そのハーフタイムに、何食わぬ顔で携帯の速報画面を盗み見て、静かに画面を消すはずが「よしッ!よしッ!」と声に出してしまう。それが前半35分頃だったと思う。

 

40分過ぎにはエリア内の、(故意にしかみえない)ハンドリングが見逃されて、その原川は、後半息を吹き返したように脅威であり続けた。そこである。楽勝ペースかと思われていた2−0から、後半あわやの展開になったのはなぜだったのだろうか。

 

この試合で鳥栖の2トップだったのは、古巣に対して異様な闘志を燃やす小野裕二と、金森。クエンカは先発も、豊田を先発で使わずに、金崎は先の天皇杯で退場処分を受けたために出場停止と、マリノスには有難い条件だった。

金明輝監督は、ハイラインの裏を狙うための起用だったと試合後に明かしているが、早いだけならチアゴの餌食。高いだけならチアゴの餌食。速くて強くても結局はチアゴの餌食というのが常識である。

 

後半やられたシーンを見返すと、直前のサイドチェンジもお見事ながら、ティーラトンの裏をかいた金井貢史のハーフレーンをつく動きで完全に崩された。マイナスのボールにスルーまで入れられて最後は原川。彼の正確なキックは厄介だ。完全にマリノスのお株を奪われたような失点だった。ちなみにこの頃には、私はリアルタイムDAZNになっていた。

 

「駅前不動産スタジアムの後半は怖い」先日も瓦斯が逆転負けを食らったように、何か独特の雰囲気がある。そこに加わるフィジカル兵器の豊田陽平が投入。マリノスはポゼッションすらままならない。鳥栖の圧力に次ぐ、圧力。試合間隔も開いていたのに、マリノスの選手は全体的にキツそうだ。パスコースを作る動きが乏しく、細かなミスが多くなってしまう。それも、優勝争いのプレッシャー…?だろうか。

 

失点すれば、勝点を落としてしまえば、優勝争いはほぼ終焉となる。そんなことは分かっている。分かっているからこそ固くなる。それもあるかもしれない。

クロスバーやポストにも助けられたことは事実だが、ともかく逃げ切った。最後の最後に作った決定機2つ、渓太とエリキのどちらかが決めきれていたら、もう完璧ではあったが、鳥栖から勝点3を持ち帰ることに成功した。

 

この意味はことの外大きい。残りは札幌、松本、川崎、瓦斯となる。どれも簡単な試合はないが、ゴールまで4試合。終わりと栄冠ははっきりと見えてきた。前夜の鹿島と、同じく九州遠征だった瓦斯も順当勝ちで、勝ち点差は変わらない。

 

 試合後のスタンドからあの名曲が聞こえてくる。解禁されたのか。これを選曲したコールリーダーの決意も伝わってくる気がする。そうか、この歌が。

 

ああ、これが優勝争い。2013年以来ずーっと封印されていたかと思っていたが、2015年の2ndステージで歌っていたらしい。記憶はあまりない。

 

残り1ヶ月、残り4試合。最高の場所に近づいている。一歩、一歩フィナーレへ。覚醒の気配漂う遠藤渓太と、仲川輝人が完全合流し、エジガルと渡辺皓太も帰ってくる。

 

さあ、たどり着こう。

 


2019明治安田生命J1リーグ第30節vsサガン鳥栖ハイライト動画