銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

世間の注目を奪い返せ【J1第17節・FC東京戦 展望】

黙っていたって、イニエスタとトーレス。日本の出来の悪いワイドショーマスコミじゃなくっても、世界的にだって注目されるだろうさ。ノエスタとベアスタはそれぞれ、世界的スターのデビュー戦を追う。

ニュースの尺だって、「そこ」に重点的に使うだろう。川崎対鳥栖のチケットの取り方を私に尋ねてくるJリーグ初心者が周りに多い。元世界王者、元バルセロナの至宝、アトレチコの看板の威力はそこまで大きい。

次に取り上げられるのは首位広島のゲームだろう。瓦斯戦はその次だ。普通のことをやっても目立ちはしない。

 

また8得点したとしても、今節は露出しないかもしれないが、それでもやってみよう。浦和は前節までにチーム総得点が15だそうだ。マリノスは連続8得点なら、わずか2試合で浦和の総得点を上回る。そんなことどう考えたって常識はずれだ。その狂気じみた攻撃サッカーを、ずっと目指して苦労してきた。上位チームとの対戦は久々だ。だから通用するかは見どころとなる。

 

今節のキーマンに金井貢史を推したい。大津祐樹の得点を奪い、オリヴィエ ブマルへの優しいクロスで1G1Aを記録し、のっている。センターバックとしての安定力というより、器用さでなんとか適応してきた感じ。

燃えないわけがない。両サイドバックの松原健と山中亮輔は今や盤石で、中澤佑二の相方にはミロシュが君臨してきた。ミロシュが代表で離脱した間は、代役としてセンターバックを務めてきた。ミロシュが去ったのも束の間、チームは、セルビア人DFのドゥシャン ツェティノヴィッチの監督を発表する。補強が必要という判断だったわけだ。

 

まだ登録が済まされていないが、29歳という経験のあるセンターバックの本職選手を、ベンチに置いておくために取ったわけでは当然なく、スタメン起用が見込まれる。当然、金井の置かれた立場は厳しい。

その点ではアピールするには絶好の機会だ。相手2トップは、ディエゴ オリヴェイラと永井謙佑。決定力とスピードがある上に前節欠場したためにフレッシュでもある。なかなか強力な攻撃陣を揃えながらも2位につけているのはむしろ守備陣の奮闘が光る。何しろリーグ戦5試合連続で相手をシャットアウト。けれど自らも無得点で引き分けが多いのだ。

オーソドックスには瓦斯さんは、裏スペース狙いだろう。パスサッカーにはあちらにも自信がある。そこで失点するか、しないか、金井にかかる責任は大きい。6〜7点差ついた試合ならば、野放図でも良かったが、誤って追いかける展開になった時のリスクヘッジは本当に厄介だ。

 

攻撃陣は好調と言っていい。特に天野純の充実ぶりは目を見張るものがある。巧さに加えて、今は強さがある。昨夏の味スタでは89分に均衡を破る決勝点をマークした。仲川輝人も、味スタで人生が変わったと瓦斯戦への意気込みは強い。

 

ここから続くのは上位との対戦だ。瓦斯の守備陣を突破できれば期待は高まる。不在のアンジェ ポステコグルー監督に代わって、ピーター クラモフスキーコーチの手腕が問われないほどの圧倒劇を。

 

 

 

 

1点目のそれを見た時に思った、おいおいシティかよ【J1第16節・仙台戦】

スイッチを入れたのは伊藤翔だった。

後ろ向きに受けたボールを何の迷いもなく、ワンタッチで戻す。素早くやりきれ。そんなメッセージが明確に込められていた。

受けたのは喜田拓也。これもワンタッチで、5レーンの最も左を走る遠藤渓太の前方へ送る。ほぼ独走状態で受けた遠藤は、ペナルティエリアに侵入してきた仲川輝人ではなくその後ろにいるフリーの伊藤翔にグラウンダーの、マイナスのクロスを送ったのだ。

 

ダイレクトでシュートを打つも、GK関に当ててしまう。だがそこには、天野純が待ち構えており難なくゴールにバレーを叩き込んだのだった。

 

開始わずか1分あまり。電光石火という表現が相応しいカウンターアタックだった。オートマティズムな連動に加えて、その後も1対1でも仙台の守備は後手に回り続ける。完全に掌握した状態でのフルボッコが90分続いた印象だ。

 

酷暑の中、仙台のプランは後半勝負だったのだろうか。試合への入り方を間違えてしまい、気付いた時には取り返しのつかないことになっていた。再開初戦ならではの落ち着かない感じがマリノスには吉と出て、あちらには大凶と出たのだろう。

 

長崎戦の5得点と、この試合とを連続させて見ると、やってきた方向性は正しく、結果がついてきたという評価があるがちょっと違う気がする。

長崎戦はセットプレーから3得点、この日は作った決定機の多さがそもそも違う。相性とコンディションは仙台の時の方がハマっていた。立ち上がりに得点が続いたのは、1-0になっても仙台が自陣に撤退して、まずは裏を消そうとしたからではないだろうか。それくらいダイレクトパスのみによる遠藤の左サイド突破は、仙台に恐怖を与えたのだと推測する。カウンターを喰らわないためにまずは撤退というのは乱暴だが、事実として5バックとなり裏のスペースを消しにかかっていた。

 

だが、マリノス相手にはやってはならない対処法だったと思える。混乱している上にハイプレスが効いているから、またもやミスを誘発。で、何度か見直して、あ、なるほど!という「約束で決められた効果的なポジション」に選手がいるから、得点につながる。この効果的なポジションを取れることが、戦術の習熟と言えるのではないだろうか。

 

8得点は偶然ではないが、相性によるところが大きいと思う次第。「第1次マリノス対策」を上回ったことで、次は対策が進化するのだろう。

私が名づけていいのなら、今のマリノスを「機動破壊」と呼びたい。もとは高校野球で流行した、健大高崎の盗塁を絡めた上での集中攻撃を讃えたネーミングだが、マリノスの場合は単に足の速い選手を揃えたという意味だけではもちろんない。

シンプルに、縦に早くを、ポステコグルー監督風にアレンジし完全に相手の守備を崩すというコンセプトに立つと、機動破壊という言葉がしっくり来る。

 

天野純が春先に言っていた「手のつけられない圧倒的なサッカー」にたどり着けるのかは不透明だが、中断期間中に積み上げたものに自信を持てたのは何より大きかったのではないだろうか。

 

伊藤翔のハットトリックはマリノス加入後初で、翔さんとウーゴののろけあうようなコメントの応酬も素敵だ。

天皇杯での出来が少し心配だった山中亮輔は凄まじいミドルシュートを叩き込み、仲川は着実に決定力をあげている。遠藤も扇原もイキイキ。セットプレーの余計な失点だけは気をつけたいが、8点も取ると地上波でも取り上げられるんだなぁというのも、収穫の一つ!

 

台風の目になれるか、マリノス。次の2位、瓦斯戦は試金石となる。

 

 

 

再開。もう言い訳はないはず【J1第16節・仙台戦 展望】

しばらく携帯電話のアプリと言えば、NHKと民放のワールドカップ再生のものしか使っていなかったので、DAZNを開くこと自体が久々だった。5-2の長崎戦の配信が終了してからすでに1ヶ月近くになろうとしている。長かった。

16節のプレビューを見ると、今回の代表選手を取り上げたインタビューが多い。だが改めて気づかされるのはJリーグの代表としてロシアに向かった彼らのほとんどがわずかな時間しかピッチに立てなかったという事実。レギュラーだったJリーガーは昌子だけだ。だが、23名のメンバーだったという栄誉には間違いなく、そこでしか得られない経験を持ってリーグを盛り上げてほしい。

 

さて、日本代表を輩出していないマリノス。唯一、W杯メンバーに選ばれていた豪州のセンターバックはものの数日でセルビアに旅立ってしまった。

先発予想には天皇杯の時と同様に金井貢史の名前があがるが、CBは本職ではない。栗原勇蔵は足が万全ならば強さはあるが、中澤佑二とのコンビではスピード不足を露呈することだろう。ミロシュで空いた枠をどう補強に使うのか、まだ答えは見えていない。

先発予想メンバーには全員日本人選手の名が並ぶ。W杯優勝のフランス、ジルーと同僚だった伊藤翔が先発で結果を残せば大津祐樹やウーゴ ヴィエイラにもいい競争意識が生まれる。ん、まさか、ウーゴに移籍の噂が再燃しているが、もしベンチメンバーにもいないなんてことがあったら…。悪い想像はひとまずやめておこう。

 

間隔が開いたためにあまり知られていないが、今、公式戦で7試合負けなしを続けている。最後に負けたのはルヴァン杯の仙台戦だ。完全に守備と集中力が決壊した4失点のあの試合。チームが完成度を高めるどころか迷走していた時期と言っていい。アンジェ ポステコグルー監督も、戦術の落とし込みにまだ時間が必要だが過密日程のためになかなか思うように立て直しの時間が取れなかったあの頃である。

 

だが今は違う。結果が出始めた上に、キャンプも挟んだ。もう新監督だからという言い訳は必要がないし、通用しない。欲しいのは結果だけ。

 

天皇杯の出来は、はっきり言って不満だった。中断期間による上積みが見てとれたのは、厚さを増した天野純の胸板くらいなものだった。だから、今夜の出来に一抹の不安はある。パスが回せても崩しきれないのではないかと、守備時の致命的なミスを減らせるか。タイプ的には実戦から離れると精度が落ちやすいタイプのサッカーだとは思う。もちろんそんなことも言い訳にはならない。

天皇杯と言えば、サブGKとしてベンチ入りした原田岳がリーグ戦でもメンバー入りするという。ルヴァン杯、天皇杯ならばサブの序列を変えて若手メンバーをベンチ入りさせ、公式戦の空気を吸わせることはさほど珍しくはない。だがリーグ戦となると話は別である。杉本大地と鈴木彩貴のコンディションは伝わってこないが、一つのサプライズである。

 

リーグ戦ではマリノスが滅法強いしユアスタなのも楽しみなポイントではある。

 

新しいマリノスから、強いマリノスへ。強さを見せつけるのはこれからだ。

 

 

黙祷とダービーは関係がない

異様な音声だった。

7月11日の夜、ニッパツ三ツ沢。両チームの選手が横一列となって、豪雨災害の犠牲になった方に対しての黙祷が捧げられる。

 

中継を見返すと、黙祷の開始を告げる場内アナウンスも聞こえる。電光掲示板には、黒地に白文字で黙祷と2文字が広がる。

沈黙、静寂、頭を垂れる人々というのが当然のはずだが、わずかに聞こえる歌声と太鼓の響き。場内の雰囲気をあえて壊したいのか、ただ何も考えてないのか。静まり返った場内に鳴り響くそのリズムは、もはや不気味ですらあった。

 

ただ単純に被災者を悼むことが目的ではない。黙祷とは、今からサッカーの試合をしますが、大変な状況である方、不幸が起こった方を忘れたわけではないですよ、むしろこうして普通にサッカーができること、観られることに感謝してますよ、というメッセージである。誰かに頼まれたわけでもなく、言うなれば独り善がりなセレモニーである。そのことによって、被災した方々が浮かばれることなどないわけだから。

したがって、黙祷をすることが当たり前だ、しない奴はおかしいというのともちょっと違う。と、私は思う。

ただセレモニーを執り行う以上は、参加者は協力すべきというのはマナーや配慮ではないか。それを無視してまで、何がしたかったのか、何を主張したかったのか。ほんの一部、ごく一部、と聞いているが横浜FCの観客席にいながら、唱歌を辞めなかった人に感じる不愉快さの源はそこではないだろうか。

黙祷する気持ちがなくても構わないが、騒いではいけない。そんなことを学校や家庭で教わっていなかった人が恐らく大勢いる。

 

あの夜、仕事を放り出して三ツ沢に向かった人は多かった。私もその一人だ。平日の天皇杯3回戦で1万人オーバーの集客というのは、このカードだったから。絶対に勝たなければならないから。

普通のJ2クラブが相手だったら、私は無理してまで行かなかったかもしれない。いや、中継がなければ逆に行ったかもしれないが。ともかく、そんな人は少なくないはずである。

ダービーは相手がいなければ成り立たない。その意味で尊いものだなと思った。次、いつ対戦があるかは誰も分からないが、何があっても勝ち続けなければならない相手というのが同じ都市名をチームに背負い、同じスタジアムをホームとするチームの宿命なのかもしれない。だから繰り返すが、本来はダービーは尊い。「神奈川ダービー」は後から取って名付けられたものは少し質が違う。

 

ベオグラード、マージーサイドや、ミラノなど過激と言われるダービーがどのように成り立っているかは知らない。民族や地理によっても、世界中でダービーは異なる顔と事情を持っているのだろう。

ただ古今東西、相手へのリスペクトと、ライバル意識というよりはスパイスとしての敵意でできているのではないか。身分闘争や宗教の代理戦争なんて要らない。嫌悪はかわいいが、憎悪はダメだ。ましてや、人のクラブをう◯こ呼ばわりするなんて、レベルが低すぎて何をか言わんや。

 

厳かな黙祷を邪魔したことと、お互いが相手を嫌っていることは本来関係ない。ダービーだったから、彼らは妨害したいと考え、唱歌を辞めなかったのか。どうだっていい、人を悼む気持ちがなかっただけだ。

 

サポ歴の浅い私は、ダービーとは8-1だと、先輩から教わってきた。それだけに、延長で2-1の辛勝なんて、安堵でしかなく、まったく満足できない。

だから次対戦する時こそ、蹴散らす。今度こそ、歌う気力すらなくしてやろうじゃないか。試合後の静寂。ふふふ。

 

 

 

 

ウーゴ残留記念試合、またの名を天皇杯3回戦。時々ダービー。【天皇杯3回戦・横浜FC戦】

雰囲気は良くなかった。支配すれどもゴールは奪えず。ボールは回っているのにフィニッシュまで辿り着かないからだ。
そんな折に、先制点を奪われてしまった。もう間もなく試合に入ろうと、二人はタッチライン際にいたのだ。伊藤翔とウーゴ ヴィエイラ。一時はキプロスまたはギリシャに移籍秒読みと言われたウーゴが、ビハインドになった瞬間に投入されたのである。

筋書きが決まっていたかのようだった。
投入されて4分だったか。扇原貴宏のアーリークロスに反応していたのはウーゴが一番先だった。

マークはこう外せ。ユウキ、見ておきなさい。

そしてヘディングは下に叩きつけるように。

教科書に掲載されそうな美しいゴールで、ネットを揺らす。熱狂と安堵が混ざったような、ウーゴコールが巻き起こる。観客数1万少々のうち、7割か、8割かは分からないが、とにかく凄い音圧だった。

役者が違う。
ちょうど初老のストライカーこと、三浦知良がピッチを離れた後のことだった。

仕留めきれないことにはだいぶ問題がある。結局は、延長前半にウーゴが獲得したPKを、伊藤翔とのジャンケンを制したウーゴが蹴り、止められたところにウーゴ自身が詰めて勝ち越し。この1点のみで、どうにか2-1で120分の死闘を制することとなった。ゲームを支配することと、ゴールを奪うことの間には隔たりがあるのだ。その隔たりを埋めるのが、ストライカーの仕事であり、優れたストライカーには高い賃金が支払われる。
この夏、ウーゴを失っていたらどうなっていたかを想像させるゲームだった。

それ以外はがっかりした場面も少なくない。長い中断明け、蒸し暑さなど難しい要素はあったが、でも大津祐樹をはじめ、ユンイルロク、遠藤渓太らが、J2のサブ主体チームに違いを見せられなかった事実はとても残念なことだ。

山中亮輔の足が完全に止まっていたのは、コンディションの問題だけなら救われるがよもや怪我などでは…。最後は徹底的に狙われて、しかも走り負けていた。ボールを支配すれども…になってしまったのは、山中の「実質不在」状態の影響が大きい。

横浜FCが相手だからどうこうというのは試合が始まってしまえばあまり関係がなかったと思う。ロシア地方でこの夏に流行した4人目の交代という珍しいものを見たことくらいが、いつもと違ったことかもしれない。

負けたら終わりの天皇杯で、前回ファイナリストとしての面目を保ち、それに11年前に三ツ沢で敗れた同じ本拠地を持つチームとの対戦を制した。

ウーゴ ヴィエイラが居なかったら何も語れない。ただ淡々と結果を残すエースストライカーとしての矜持。さらにサポーターを煽ってみせる闘争心と、相手チームのレジェンドと笑顔で握手する人柄。

一言で言えば、惚れ直してしまったのである。ウーゴの心がどっちに傾いていたか本音は知らない。

でも残って良かったと言わせるような応援を今後もしていきたいと、本気で思った。

契約延長、早よ!