マリノスにシャーレを2019

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

もちろん両方獲りたいさ、サポーターだもの

ACLと天皇杯で相次いで動きがあったのでまとめておく。

 

【ACL準々決勝】

上海上港2-2浦和   浦和1-1上海上港  

→浦和が準決勝に進出!

広州恒大0-0鹿島   鹿島1-1広州恒大

→鹿島は準々決勝で敗退。

 

日本勢は4試合戦って4引分けだったが、浦和と鹿島でアウェイゴールの差で明暗が分かれた。トーナメントの恐ろしさとアウェイゴールの醍醐味だろう。

 

【天皇杯 4回戦(ラウンド16)】

神戸 3-2 川崎

大分 1-1(PK10-9) 広島

鳥栖 4-2 C大阪

清水 1-1(PK4-3) 磐田

 

長崎 2-1 仙台

甲府 2-1 法政大

浦和-Honda、鹿島-横浜FMは、9/25に実施。

 

漠然とだが、マリノスには良い結果となった。C大阪や川崎などが敗退したのは、ハッキリと追い風である。

 

今週末はラグビーW杯の開幕に配慮してか、J1リーグ戦はまたお休み。だから週中に天皇杯の試合を組むのは理にかなっていた。浦和と鹿島はACL準々決勝を戦うために、それぞれ天皇杯は来週に。これにより煽りを受けたのはマリノスだ。そこから中2日でアウェイの仙台戦を迎える。これは天皇杯の対戦カードの抽選結果を恨むほかない。

 

とばっちりはこれだけではない。来週、マリノスが鹿島に、浦和がHondaに勝利すると、両チームが準々決勝で対戦することが決まっている。準々決勝は10/23で、これもJ1リーグ戦がお休みの週だ。よく配慮されている。

 

が、ACL準決勝に浦和が進んだために、10/23にはACLの第2戦が優先して行われる。天皇杯準々決勝の浦和戦は、11/27に順延。すると、今度は中2日で、J1第33節。しかもアウェイ川崎戦という優勝を狙うマリノスにとっては超大一番がある。鹿島はACL敗退で、天皇杯やリーグ戦により力を入れてくるだろう。(まあ、浦和が負けて、鹿島が残る逆の展開が良かったよね)

 

ぐぬぬぬぬ。これは天皇杯の対戦カードの抽選結果を恨むほかない。(2回目) なお天皇杯は、この準々決勝を勝ち抜けると、甲府と長崎の勝者と準決勝を戦い、決勝は神戸、大分、鳥栖、清水のいずれか。リーグ戦の順位に当てはめると上位チームで残ったのは鹿島とマリノスだけなのだ。あまり余計なことを言うべきでないけど、大チャンス。

 

2020年1月1日。東京五輪のメイン会場となる新国立競技場が決勝の舞台だ。他のスタジアムがどうというわけではないが、やはり天皇杯決勝は元日、明治神宮で参拝を済ませてから臨む、千駄ヶ谷駅前のあのスタジアムが相応しい。埼スタでカップ戦の決勝と聞くと、頭痛が激しくなってしまう。さよなら、民間駐車場のおじちゃん達…。

 

杮落としの一戦、令和初の天皇杯王者。その先にはACL、6年ぶりのアジアの戦い。あっ、天皇杯の結果にかかわらずリーグ優勝してACLの出場権はとっくに確保しているはずだ。

 

ところで、言いたい。

この杮落としの一戦に行きたい、決勝進出したい!という声が意外にも結構多くて、違和感を覚えている。元日決勝に行くだけじゃダメだろ!勝たないと何の意味もないだろ!ってやつ。頭痛の思い出を完全に忘れちゃダメだ。

私がサポーターになってから、タイトルを取ったのは2014年の元日だけだ。そのほか、13年の超満員新潟戦、最終節等々力、14年の広州恒大とのグループリーグ最終戦、ゼロックス広島戦、18年元日の天皇杯C大阪戦、ルヴァン決勝の湘南戦。ぜーんぶ負けてきた。

 

でもさ、決勝で負けるくらいならサッサと早期敗退した方がマシだって真顔で言えるかい?

 

いろんな角度から君を見てきた
そのどれもが素晴らしくて
僕は愛を思い知るんだ

 

泣いたり笑ったり
不安定な想いだけど
それが君と僕のしるし

 

だいたい議論の着地に困ると、私は桜井和寿の詞に救いを求めるのだけど、結局、サポートなんて自分勝手な恋みたいなもんだよなと思う。で、恋が敗れたからと言って、私たち出会わなければよかったのかもとかボーッと生きてんじゃねーよと言いたくなる。負けたっていいじゃないかとは絶対に言わないけど、敗戦もフットボールと人生の一部だろ。負けたくないなら戦わないことだ。でも、それは絶対に勝つこともない。

 

天皇杯の対戦カードの抽選結果を恨むだけ恨んだら(3回目)、あとは優勝まで突き進むだけさ。クリスマス休暇もなく、遠征ホテルで迎える年始なんて、ボスからしたらクレイジーだろうけど。

一番綺麗な色ってなんだろう。

一番光ってる色ってなんだろう。

トリコロールだ、当たり前だろ。言わせんな。

 

両方獲りたい。それも当たり前だろ。

ごめんな親兄弟、親戚と一族郎党。今回も、元日の予定は埋まっているんだ。今回は、空かないと思う。

 

 

 

 

 

2013年の喜田拓也

今年、マリノスが優勝したら、年間最優秀選手賞は誰のものになるだろうか。マルコス・ジュニオールや仲川輝人の得点王とのダブル受賞もあり得るが、天性のキャプテン、喜田拓也を推す声も多いことだろう。私は喜田に一票を投じたい。投票権ないけど。

 

広島戦で今季通算4枚目の警告を受けたため、この緊張感ある優勝争いの中、ユアスタの仙台戦でキーボーは出場停止となる。不動のキャプテンであり、マリノス躍進の喜ーマンを欠くことが決まっている。あの時、喜田が警告処分ならば、広島の青山は少なくとも4〜5枚の警告を受けていたはずだ!という話はひとまず別件である。

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撮影:@12_tricolore ニッパツ三ツ沢球技場、広島戦勝利後。表情に充実感と自覚が漲っている。

俺たちの喜田拓也。キーボーの体内にはトリコロールの血液が流れていて、マリノスの成長は喜田の成長であり、喜田の躍進はマリノスの躍進である。正真正銘のバンディエラとなったと評しても過言ではあるまい。

 

1994年生まれのサッカー選手。出世頭は、FCポルトで守備を怠りピッチ上で監督に怒鳴られたことが話題の中島翔哉だろう。流浪の浅野拓磨、 植田直通、豊川雄太らが同期。マリノスなら、高野遼と同学年なのは有名な話だが、名古屋で活躍する前田直輝も同い年だった。他には、エリキとマテウスとは意外(笑)。

 

この夏、彼は25歳になった。気がつけばチームで2番目の古参選手となっていた。まりびとのような語り口だけど、在籍7年目。とはいえそれはトップチームだけの話であり、小学生時代からマリノス一筋。

 

ちなみに1位の栗原勇蔵は2002年から18年目。長年2位だった飯倉大樹は06年からで途中、レンタルでチームを一年離れていた。飯倉が神戸へと移籍したこの夏、繰り上がりで2番目となった喜田拓也は2013年の高卒ルーキーだ。

 

そのあとは15年の新卒入団ながらレンタル移籍を経験した仲川輝人を除くと、遠藤渓太の2017年から在籍というのが次いで「古参」ということになってしまう。あまりにも目まぐるしく入れ替わった。外国籍選手ならともかく、中村俊輔、中澤佑二というサッカーファンでない日本人でも知っているレベルの選手までもが相次いで抜けた。

 

今やサポーターが求める新しいリーダー、新しい象徴の役割を喜田が果たしつつあるのは、誰もが納得することだろう。それも押し上げられたとか、新10番の天野純が移籍したから仕方なくとかではなく、ごく自然な流れだったように思う。

 

彼を現在の喜田拓也たらしめたものは、なんだったのだろうか。身長という面では不利だ。スピードはあるけれど、びっくりするほどの長所ではない。キーボーもアンダー世代の代表にも選ばれた存在ではあったけれど、1歳上には同じポジションの熊谷アンドリューという大型選手がいた。

 

デビューの2013年は、折しも優勝争いのど真ん中にいた。中盤と言えば、中村俊輔、富澤清太郎、中町公祐が絶対的存在で、その他のポジションにも実力者が揃っていた。

喜田の公式戦出場はゼロ、である。

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マンUとの親善試合くらいしかユニフォーム姿は残っていない。当時の樋口靖洋監督が、メンバーを固定化していたことを差し引いても、当時の喜田は紅白戦でもメンバー外だったというから、厳しいルーキーイヤーだった。

 

デビューしたての頃のインタビューを見ても、今当時を振り返る彼のコメントを見ても「謙虚さ」は少しも変わっていないと感じる。ここでの謙虚の対義語は、油断、傲慢、不遜、満足といったところか。それとはまったく無縁である。そこが凄いところ。

あの時、あの年、悔しかった。試合に出ることを諦めていたわけでもなく、決して手を抜くこともなかった。それがどれだけ難しいことか。

前年に2種登録され、トップチームに合流した際に試合で感じたものは「サッカーに懸ける気持ちの違い」だったと言う。

 

15年以降、エリク・モンバエルツ監督のもとで出場機会を掴み始めたが、最初は私も懐疑的だった。まだ期待枠を出ていなかった。他チームにレンタル移籍させて経験を積ませてはという意見もまだまだ多かった。喜田の凄さは、その課題と向き合って、日々改善できるところだろう。持ち味である対人の守備も改善した。一昔前なら、キーボーは守備の人だったし、周りの選手に安易に(見える)預けてしまうプレーも散見された。

 

が、今や畠中槙之輔やチアゴ・マルチンスからの縦パスを受ける時の、身体の向きは教科書に取り上げられてもなんら不思議ではないし、前を向くターンの技術と、その先を読むプレーはマリノスの攻撃の生命線になっている。

「.とてつもない身体能力」などではなく、頭を使って、フルに体を使って、仲間を鼓舞して。

 

だからだろうか。疲労困憊のはずなのに、冒頭の写真のように、試合後のキーボーの顔は穏やかな仏のようで、安心感と成長の手応えをもたらしてくれる。

 

結びに、2015年時のインタビューから少し拝借したい。将来どんな選手になりたいか?という質問に対する21歳の答えだ。

 

とにかく、“必要”とされる選手になりたいです。監督、チームメイトからはもちろん、見ているファン・サポーターからも必要だと思ってもらえる選手になりたい。「やっぱり喜田がいないとダメだ」。そんな存在になれれば最高です。

 

J1 124試合出場。毎試合が決勝のようなリーグ戦で欠場を余儀なくされる今、喜田がいないのは困る、正念場だと言われるようになった。

 

自身が2013年に試合に出られなかった時に、勝つ時も、負ける時もチームは1つだと学んだ。試合に出られない選手の振る舞いも大切だと。だから2013年すら無駄ではなかったと言い切れる。

 

「喜田がいないとダメ」では困る。でも試合に出られないことが確定した以上、次節に向けての10日は、練習の段階からいつもと違う役回りを買って出るのだろう。その存在と醸し出す雰囲気こそが、今のマリノスの原動力だと思う。

 

マリノスの系譜を受け継ぐ。俺も自分のことを日々一生懸命にやらなくちゃな。

 

 

 

 

 

【特報・証拠あり】ボスのガッツポーズが最速な件

勝った試合は見返しているだろうか。負けた試合でも見返しているか?
私が情緒的出来損ないnumberブログを続けている理由の一つが、戦術がさっぱり分からないというのがある。無知。
試合をじっくり見返したくても、移り気というのもある。他のチームの試合をハイライトで見たくもなる。

ハイライトは手っ取り早く勝敗を分けたシーンを観られるのが当然のことながら最大の長所。でもビルドアップがどうとか、プレスがハマってるかとか、その辺が分かる筈もない。そうか、私は分かろうともしていなかったのか。だからサッカーを俯瞰的に見る目が養われる筈もない。

得点は何度だって観たい。今回の先制点を切り取ると、
・畠中槙之輔が遠藤渓太にサイドパス。渓太はティーラトンに下げて、自身は対面していたハイネルとの距離を取る。
・ティーラトンは一拍おいて、裏を狙う渓太の足元へパス。
・ハイネルがギリギリ触れないコース、渓太はワンタッチで素早いクロスを中央へ。
・相手DFの死角から出し抜いた仲川輝人が先に触って、GK大迫の届かないファーサイドのネットを揺らす

文字にすると4行で170文字。時間なら、シンの足元をボールが離れてから、ゴールインまでわずか8秒間の出来事。

その至福の8秒を繰り返し、繰り返し味わう。因果関係の検証は戦術クラスターに任せよう。Numberは陶酔するだけでいいんだ。
どちらが正しいということはない。美しいゴールのことを言葉を尽くして「美しい」と称える。

そんな活動を是としてしまう皆さんに見ていただきたい映像がある。


サッカーの戦術好き必見!「戦術カメラハイライト」明治安田生命J1第26節 横浜F・マリノス 3-0 サンフレッチェ広島 2019年9月14日

サッカーの戦術好き必見!「戦術カメラハイライト」という映像の名前が、やけに高い敷居を感じさせるかもしれない。
が、要するに俯瞰カメラの映像である。

昔テレビ放送をかじった経験から言うと、
 広島のゴール裏から縦方向に撮影するカメラ=1カメ
 メインスタンド上方から全体を俯瞰で取る=2カメ
 2カメの真横もしくはもう少し低い高さから、アップ目で攻防を撮影=3カメ
 マリノス ゴール裏から1カメと反対サイドで撮影=4カメ 

…と呼ばれていた。現場を離れて10年は経つので今はどうだか知らない。
これ以降、ピッチレベルでサイドから狙うカメラ、第4審の辺りから両ベンチや眼前の攻防やスローインを撮るカメラは5…6…となる。

DAZNのハイライトと見比べてみると、DAZNの映像より、この「戦術カメラ」はさらに全体を映していることが分かる。
DAZNが3カメで、戦術は2カメなのかもしれない。ともかく、通常のハイライトよりもいろんなものが映っていて、選手の配置、裏抜けの動き出しなどがめちゃくちゃわかる。

しかも、畠中のパスの「さらに前の数十秒」がバッチリ収録されている。そのため、チアゴ・マルチンスやマルコス・ジュニオール、扇原貴宏らが広島の守備のほころびを探しながら機を窺っていたことも分かる。この過程も、最後のテルのワンタッチにつながっている事を確認すると、愛おしさと誇らしさが何倍にも膨れるのもお分かりいただけるだろうか。こんな揺さぶりから、一瞬の隙を作り出し、実際にゴールまで陥れてしまう。相手はJ1最少失点(だった)広島である。この価値は高い。

2点目のティーラトンのゴールは直前にボールを奪った動きが素晴らしかったことが再確認できるし、惜しくもポストを叩いたエリキのシュートはそれまでの崩しが凄かったのだ。マテウスがPKを獲得するのも、うまく渡辺皓太が運んでくれたのが効いているし、直前にプレスをかいくぐるビルドアップがあってこそである。

いちいち八塚宏さん、岩政さんの実況・解説の音声も残してくれているので分かりやすい。
今この原稿を書くのに1時間少々かかっているのだが、その間だけでも私はいったい何回見返しただろう。その度にゾクゾクと、微笑みが止まらないのだ。

さて冒頭でネタバレしてしまった感はあるが、この映像で最大の発見は、ガッツポーズである。
得点シーンが3回なので、スタンドが総立ちになるのも3回。特にこのカメラが「ひき」なので普段は映らないメインスタンドの観客が立ち上がる様子も見て取れる。座っていた観客が立ち上がる。ゴール裏では立ちっぱなしの人が多数派なので、これはこれで得点の醍醐味だなと思う。

ぜひ一緒に検証してほしい。

1点目・仲川輝人 5分27秒
2点目・ティーラトン 6分25秒
3点目・エリキ 7分13秒

最初にガッツポーズをキメているのは、アンジェ・ポステコグルー監督、その人である。他の追随を許さないフライング気味のガッツポーズ。腕の角度も文句のつけようがない。

今後も、試合中の決定機にボスの挙動に注目するのはおそらく無理である。したがって、得点の瞬間の監督の相対的なガッツポーズの速さを証明した歴史的資料だと言えるだろう。

ここまで書いて気づいたが、YouTubeのコメント欄にはそれぞれ「この時の〇〇の動きがいい」などと書いていて、本当に面白い。

マジおすすめ。今週末もリーグ戦がないので、この動画一人100回くらい見てもいいかも。
Jリーグチャンネルさん、またマリノスの試合で企画してくださいね。

熊さんチーム相手に、熊みたいなボスが、ツキノワグマが襲いかかる時みたいに両手を突き上げて、ガォーみたいな感じが最高、というお話。自分が仕込んだ崩し方で、堅守の相手をこじ開けたらそりゃ嬉しいよな!
優勝した暁にはウチの熊も胴上げされるかな。陸斗のようには持ち上がらないよな。全員で持ち上げような!!

狂気を見た。首位と勝ち点差「4」に【J1第26節・広島戦◯3-0】

「正直に言ってうれしい。」殊勲の決勝点、マリノスリーグ通算1400点のメモリアルゴールをあげた仲川輝人は節目のゴールの感想を聞かれて、そう言った。

 

その価値は「嬉しい」どころではない。結果から書けば、3-0のクリーンシート達成。試合前までリーグ最少失点だった広島から3点を奪った見事な勝利だった。2点目はティーラトンのシュートが川辺に当たってコースが変わりネットを揺らしたもの。3点目は交代出場した渡辺皓太がマテウスにパスを通し、そこから放たれたシュートがDF野上の腕に当たってPKを得たもの。それをエリキが落ち着いて決めた。

 

点数を重ねるごとに勝利の確信が深まり、充足感・幸福感にスタンドは満たされていくのが分かる。先制点の頃に降り始めた雨はほんの少しだけ強まり、PKの頃にはあがっていた。そんなわずかな時間で強さを見せつけた。

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でも私は空恐ろしさを感じていた。狂気じみていたからだ。3-0になってからも、マリノスの攻撃は止まらない。点差に全く満足していない。最後に登場してきた大津祐樹もただ締めに出てきたわけではない。90分走り続けた選手もだ、前線のトランジションも緩めない。

これほどまでに戦う集団になっていたとは。ボスこと、アンジェ・ポステコグルー監督はどのようなゲキを飛ばして、これほどまで闘志に強い火をつけたのか。だが、ボスは「特別な言葉はかけていない」という。2週間ずっと、いやおそらくその前からずっと戦わせてきたのだ。そうでなければ、このチームでは試合に出られない。だから競いあう。試合に出たからハードワークしているのではない。強いられても、命じられても、ハードワークは続けられない。全ては主体。能動性。3-0になっても、マテウスや大津のような飢餓感を持った選手を放たれては、相手はたまったものではないだろう。

 

前線の選手から振り返っていこう。仲川輝人、2桁ゴール達成。年間を通じて、サイドだろうがCFだろうが期待に応える。現状ではもっとも替えの効かない選手ではないだろうか。今日はテルの切り替えの速さが異次元だった。スラロームドリブルでリズムを作ったり、ポストプレーで味方の空間を作ったり、ゴールシーンはテルの貢献度のほんの一瞬しか切り取っていない。中央にいる時間が長くなったためか、マルコスの役割も担いつつある。進化を続ける23。

 

それに対して、マルコス・ジュニオールはフィーリングがあわなかった。前半34分のフリーでわずかに枠から外したシュートなど惜しいシーンでは首を傾げていた。だが「浮遊」しているかのように、時にはボランチの後ろに入ってパスを組み立て、ある時は仲川や遠藤渓太の助けに回る変幻自在さはさすがだった。

またこの試合で彼に拍手を送りたかったのは、青山の挑発を封じたことである。清水戦の前だったら、これほどセルフコントロールできていたかは分からない。マルコスを怒らせてペースを握らさないことが目的になっていた青山は、サッカーをしにきたのか、怒らせるためにレスリングをしにきたのかは知らないが、マルコスが右から左に受け流す度に、青山のプレーはエスカレートするばかり。ここの攻防で調子が悪いながらもマルコスが勝利を収めてくれたのは大きかった。

 

遠藤渓太もU-22の海外遠征明けでコンディションはキツかったはずだが、先制点アシストはこの人。点で合わせる仕事はお見事であり、常に質的優位を見せてくれるのは頼もしい。

 

その点で、タイ代表で2試合を戦ってきたティーラトンはさらに強行スケジュール。ハイネルのスピードに手を焼き、警告を受けて次節出場停止となった代償を払っても、自分の仕事を果たした。2点目は意図した形ではなかったとしても、ゴールという結果が値千金。本当に素晴らしい。

 

扇原貴宏の集中力も、喜田のキャプテンシーも、マリノスの武器だった。5月の広島前回対戦と比較すると、このボランチ同士の質、特に攻守切り替えのスピードが極限まで早くなっているように思う。これは強いはずだ。

 

杉本大地は、4試合目で初のクリーンシートを達成。落ち着いてきたのか、鋭い飛び出しで守備範囲が広がってることを見せてくれた。逆にキックミスが増えたのと、クリアに近いロングキックを選ぶ回数も増えていた。安全運転はいいのだけれど、ポゼッションを手放すことと同じ意味なので、改善していきたい。

 

最後に、攻守で懸命にプレーした松原健。カッコよかった。とくに前半、広島が長いボールで、松原とティーラトンの裏を狙ってきた。柏とハイネルの脅威をシンプルに生かしてくる。でもそれは予想通り。押し込まれても、辛抱強くマツケンは仕事をした。

エリキとのパスの呼吸がかみ合わないこともあった。エリキの独特な好みに対応できなかったのかもしれない。

「ハイライト」には映らない枠外のシュートも2本放った、惜しくもないけど懐かしくて愛おしかった。

 

8節以来のスタメンで、仕事をしてくれた。夏の移籍話も断っていた。ベンチ外でもやれることをやる。同じ方向を向いて。すごいことを言う。26歳、働き盛りでベンチ外がいいわけがない。

マリノスで優勝するため?優勝しても、しなくても、今年で最後にするつもりかもしれない。それは分からない。

 

こんな選手がいるチームは強い。それは間違いない。選手そのものは、お金では買えても、マインドまでは買えない。だから松原の態度が誇らしい。ありがとう、おめでとう。

 

優勝に向かって。鹿島が瓦斯に勝って、上位2チームは勝ち点差が1。瓦斯とマリノスの差は4だ。3連敗で遠ざかってしまった背中が視界に入ってきた。

 

次は、喜田とティーラトンを有給休暇で欠いて、仙台戦。残り8試合、至高の日々を楽しみ、栄冠へ駆け上がる。

 

 

 

 

松原健に、三ツ沢のご加護を!

諦めずに、腐らずに努力し続けることは難しい。人は競争の中で生きているし、評価の中で生きている。孤独に黙々と、継続することは、己との戦いであり、それに気づかないうちに敗れる人のなんと多いことか。それをある人は「モチベーション」と呼ぶ。

こんな毒にも薬にもならないブログですら、運営側のモチベーションは存在する。褒められれば、もっと書きたくなる。モチベーションを下げるのは実は批判されることではない。誰の目にも止まらずに無視されることだ。話題にもならない記事は存在意義がないし、意義のない、人々から認められないものを続けるのは困難を伴う。誰かに褒められたくて始めたわけでは無いはずなのに、だ。自分のささやかな満足のためにだけやれるなら良いのかもしれない。でも素人の記事でさえ、読まれて、評価されてナンボだし、プロサッカー選手なら試合でプレーしてナンボだ。

「The Day」で、怪我、リハビリを経て、復帰を飾る扇原貴宏の試合後の清々しい姿を、「今日の試合は素晴らしかったよ」とシャツ姿で労う松原健。

THE DAY presented by WIND AND SEA【vol.12】
シャツとはつまりベンチ外だ。怪我も重なった。今年はずっとそうだった。

無視される記事のような扱いを今年のマツケンは味わってきたのでは無いだろうか。吹田での開幕戦、右SBのスタメンを掴んだのは新加入の広瀬陸斗だった。J2徳島からの移籍で言わば個人昇格の選手が、開幕スタメンを奪取したことは少なからず驚きを持って迎えられた。その感覚は覚えている人も多いだろう。ほぼほぼ、松原健のものだと思われていたからだ。でも途中から、マツケンが居ないことに違和感は無くなっていった。和田もティーラトンも加わり、ベンチにも入れなくなってしまう。彼の不在に世間が慣れてしまうまで、さほど長い時間はかからない。プロの世界のあまりにめまぐるしい入れ替わり。

3年前の冬、それまで6年に渡って右SBに君臨し続けた小林祐三(当時31歳。現・鳥栖)との契約を更新しなかったマリノスの世代交代の象徴として、24歳の松原は新潟から横浜へ。左・山中亮輔、GK杉本大地、FW富樫敬真、CB新井一耀らが同年代で、一気に若返るマリノスだった。その中で、松原と山中だけが定位置をつかんだが、その山中もすでにいない。2年でリーグ戦55試合出場したのに、3年目の今年はわずかに5。怪我も邪魔をした。

それなのに全く諦めなかった。移籍を考えなかったはずもないのだろう。
だが、広瀬が怪我で、和田は広島戦に出られない。そこで巡ってきた!今季最大にして最後のチャンスだ!

同年入団の杉本大地にも、いろんなアクシデントが重なってチャンスはやってきた。この3試合懸命に戦ってくれた。マツケンにだってチャンスが来ないはずがないじゃないか。

事実は、そんな甘っちょろく、生易しい話ではない。こんな機会は訪れない可能性の方が遥かに高かった。移籍を考えたけど良い話がなかったと述懐した杉本、ではマツケンはどうだったのだろうか。

どうあれ、準備し続けたから、この日は来た。朴一圭が離脱中のGKと異なり、マツケンのチャンスは恐らくこの試合のみ。上手くいったとしても、来週にはベンチ外になっている可能性だってある。

だからどうした?
ダメでもともと。良かった時のマツケンと言えば、右サイドで、ともに苦労してきた仲川輝人との縦関係だった。仲川がゴールを量産できるようになった影には、彼の動きを知り尽くしたマツケンの意外性あるパスは欠かせなかった。

だがそれも今は昔だ。マルコス・ジュニオールの君臨と、エジガル・ジュニオの離脱が起きた今、相棒はテルはCFに。それにマツケンのような理解者がいなくても、マルコスもすっかりテルの良さを活かせるようになっている。マツテルの蜜月時代は発展的解消を迎えていた…。

では守備でチームに安定をもたらしたい。隣にいるチアゴ・マルチンスのスピードは頼りになるが、なんと言ってもトイメンが柏好文といういきなりのボス戦。そして蜜月は終わって、テルの代わりに前方にはエリキという名のザ・フリーダム。守備をしたくないんじゃない、ただ気まぐれで時々デタラメなだけだ。

元は豊富なスタミナが持ち味だったが、ゲーム体力的にもマツケンが、エリキとともに柏を90分抑え込むのは至難と言って良い。

だから?諦めるのか?
マツケンの2019年で最大の試合だ。フリーダムな振る舞いはできない。陸斗やエリキの代わりはできない。そうさ、頭で考えて整理して、傷を少なく。マツケンの良さがアンジェサッカーで生きづらいなんて誰が決めたのか。

ここまで準備してきたマツケンに最大級レベルの難敵。足が動かなくなっても、頭が疲れても。最大の声援を送り続けよう。舞台は幸いにして三ツ沢、どこよりも近く、熱く、サポーターの声は届くだろう。三ツ沢のご加護はきっとある。
試合後に勝利を分かち合うために。頼むマツケン、がんばれマツケン。