今年もマリノスにシャーレを 2020

シャーレを掲げることは難しく、守ることはさらに難しい。連覇に挑む2020年、アウトサイダーではなく本命として、今年もシャーレを掲げよう。座右の銘はシャーレです。

歴代外国籍選手 列伝Ⅲ(2015~2016年)

カイケに投じたお金は決して小さくない。彼が横浜にいたのは1年だけなのに、在籍していたのは3年という、このパラドックス。このクラブ史に残る失敗から学んだことも計り知れない。事実としてカイケ以降、マリノスは失敗していない。瞬間風速的な実力だけでは測れない外国籍選手の価値。性格が真面目かどうか、上から目線で出稼ぎ気分ではチームにマイナスとなりかねない。

現在の大黒柱であるマルコスの移籍にも、カイケの助言が効いているという。とするならば、カイケは糾える縄の如しということになる。
それでは、お聞きいただきましょう。カイケサスペンス劇場「渡るカイケは鬼ばかり」立身出世編!!


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■2016年、今なお悲しみは雪のように

FW:カイケ・KAYKE

背番号9、88年4月1日生まれ、ブラジル出身。現所属:ウム・サラル(カタール)
カイケも筆の誤り。石の上のカイケも三年。門前のカイケ習わぬインスタに溺れる。溺れるマリノスはカイケをも掴む。数々の名ことわざを私たちに教えてくれた。不良債権という言葉の重みを私たちに教えてくれた。期待されていた能力あるストライカーだけにお値段も高かった。だからこそ、売るときもほとほと困った。

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年俸1億1千万円。できるのにやらない。そりゃないぜ。

試合中も競らなかったなぁ。怪我を恐れているのか、チームを舐めているのか。ピッチで中村俊輔や中町公祐が怒鳴り散らしても、変わらなかったな。
日産スタジアムよりもマリノスタウンよりも、銀座が好きだった。ネイマールにTwitterで絡み、トップチームが試合中の最中にインスタで遊んでいる姿をアップし、試合後の整列は拒否し、練習には遅刻した。そりゃ、規律を重んじるモンバエルツ監督でなくても、練習参加を禁じる謹慎処分くらいにはするだろう。それでもなお、反省することはなかった。

いいところもある。ルヴァン杯の大宮戦で見せた値千金のゴールには興奮した。ファイトあふれるプレーを見せたとは言い難いのだが一瞬のプレーの非凡さは数回確認された。モチベーションが伴わなければいいプレーは続かない。もったいないことだ。あ、そういえば彼の子供は可愛かった。嫌というほどSNSで見かけたっけ。
思い出すなあ、マリサポみんなで、ニッパツで来日したばかりのカイケを大歓迎した。ジーンズ姿のカイケも大きく手を振って声援に応えた。でも、こんな風になるなんて。

マルコス・ジュニオールが移籍するにあたって「日本良いぜ」と助言したらしいが、それは成長できるポジティブな環境という意味合いではなく、いい感じで稼げるぜという意味ではなかったのかなと邪推してしまう。とまれ、マルコスの来日に彼の助言は大きく影響したらしい。とするならば、やはりカイケもマリノスファミリーだということになる。カイケとは2019年初頭に契約解除するまで長いご縁をもった。

FW:マルティノス・MARTINUS

背番号20、91年3月7日生まれ、キュラソー出身。現所属:仙台。
これぞそのままカリブの怪人。歩く不良債権とほぼ同時期に、来日してマリノスにやってきた。ルーマニアのボトシャニで、半年間給与未払いなどという過酷な環境に耐えていた彼にマリノスからのオファーはさぞや人生の転機となったことだろう。そして、そのメジャーとは言えない経歴から、カイケに比べれば期待値が高かったとは言い難い。

しかし、事実は小説より奇なり。デビュー戦となった吹田スタジアムでスピードを生かしてカウンターを決め切って決勝点を叩きこむと、その後も持ち味を発揮して主に右ウィングとしてシーズンを通して活躍を続けた。独特のリズムと、発達した長い手足を使ったドリブルは対峙するディフェンダーを混乱に陥れたと言える。

最大の課題は、大げさに転がること。痛がりなので、ちょっとやそっとのことではプレーに戻ってくれない。逆に言えば、乗せるとがんばる。張り切る。なので、あの頃のマリノスサポーターは、かなり多めにマルティノスの名を叫んだはずである。え、みんな、僕に期待しているの…?! 痛い、痛いけど、やったるでええぇぇ。的な。

カイケがアレだった分、余計にマルティノスのコスパは素晴らしいものがあった。サイドで質的優位を保てるというのはデカい。もしマルが、アンジェ時代のチームに居たならば、どのようなプレーを見せてくれただろうかと想像することがある。事実としては、浦和に引き抜かれてしまった。ただし2億円ともいわれる移籍金をチームに残してくれた。この点、同時期に両翼を担った、生え抜きの移籍金ゼロの選手とは大きく異なる。

浦和ではあまり輝けなかったことも含めて、なんだか愛おしい。

DF:パク ジョンス(朴正洙)・PARK Jeongsu

背番号2、94年4月12日生まれ、韓国出身。現所属は城南FC。
大卒新人として、いきなりJリーグにやってきた珍しいパターンのセンターバック。
188cmの恵まれた体格を生かして、空中戦には強さを発揮したが、意外にもフィジカルはさほど強くなく、強靭なブラジル人FWにうまく体を当てられるとバランスを崩すことがしばしばあった。足元の技術も高いのに、なぜか1試合に最低一回は「やってはいけない」レベルのミスをやらかす。

ただし対人守備は強い。しつこいディフェンスが出来て、マークされた選手は満足に前を向けないことも多い。新卒当時から日本語は流暢で、日本人選手や監督、スタッフ陣とそつなくコミュケーションを取れる。また足元に自信がある選手特有の持ちすぎるクセがあるため、失点に直結することも。そのため最終ラインのレギュラーを任せるのはどこか不安が漂う選手ではあった。
でも、いつもロマンを感じさせたのは確かな技術があったことと、童顔で、いつも爽やかな笑顔を振りまいていたため女性人気が高かった。


柏、鳥栖と渡ったが、いずれもレギュラーポジションは確保できずに、2021年シーズンから母国のKリーグでプレーする。


■2015年、CFG一発目に”アンダーセレソン”がやってきた

FW:アデミウソン・ADEMILSON

背番号39、94年1月9日生まれ、ブラジル出身。現所属:???。
CFGと提携して、最初の補強がU-23ブラジル代表で10番を背負ったこの男だった。
当時の強化責任者は下條本部長。当時4-2-3-1を採用していたマリノスの1トップ候補は、ラフィーニャ、伊藤翔、矢島卓郎、端戸仁。彼らが相次いで故障で離脱したため、開幕直後にアデミウソンの獲得が発表された。

ときはエリク・モンバエルツ監督の就任1年目。おフランスから、アンリやトレセゲを取るわけにはいかないが、ブラジルから期待の若手を連れてきた。口説き文句は「CFGで夢を叶えないか」だったに違いない。

ドリブル突破のスピードと、的確な判断力。当たり負けしない屈強な体。なるほどセレソンに選ばれるレベルはこれほど高いのかと、思い知った。
強いだけでなく、時には一歩下がって攻撃を組み立てることもできる。一目でただ者ではないことを彼のプレーが伝えていた。
第2節で早々にデビューすると、最終戦まで全試合に出場を続けた。樋口体制からエリクに代わった発展途上のチームに合ってまさに大黒柱。ボディバランスに優れ「絵」になるプレーヤーだった。あの年のゴールドのアウェイユニフォームがすこぶる似合っていた。アウェイの松本で放った美しきボレーシュートは今も脳裏に焼き付いている。

期限付き移籍だったため、所属元であるサンパウロとマリノスの交渉の行方が注目された。完全移籍には10億円とも言われ、到底マリノスに出せる金額ではなかったため、せめてレンタルの延長をという願いむなしく、発表されたのはG大阪への期限付き移籍だった。当時ACLに出場権を持つG大阪ならば、アデミウソンが国際的にも注目されて高値での移籍を見込めると期待されたのだろう。あれは悔しく、受け入れがたかったが、サッカービジネスとはこういうものなのだと思い知らされた。

その後、G大阪に5シーズン所属し、120試合以上に出場した。だが2015年のマリノスでのパフォーマンスを超えた年はなかったのではないだろうか。
20年シーズン途中に、飲酒運転で交通事故を起こしてしまい、契約解除となる。

21年2月現在、その後の所属先は決まっておらず、現在はブラジルに戻っているものと推察される。日本で新たな所属先を見つけるのは難しいだろうが、あれだけの才能。ぜひ再び輝きを見せてほしい。



アデミウソンとカイケ。これほどの振れ幅もすごい。彼らがいなければ今所属している選手もいなかったことだろう。一見つながっていないようで、つながっている。たった1年しかともに戦うことができなかったにもかかわらず、これだけの印象を今に残している選手たち。1人の外国籍選手には、「1名」以上の存在感がある。


需要がなく、あまり読まれていない記事なのが悲しいが、もう少しだけ掘り下げていくぞ。