どうも、旧国立競技場での最後の王者、横浜F・マリノスです。
あの日、国立にいた私にとっては、マリノスのサポートを始めてから、初めてのタイトルマッチだった。結果は2-0の勝利。2004年のリーグタイトル以来、9年ぶりの戴冠だった。
最高の気分だった、というのは勝った後の記憶ばかりが鮮明に残っているからだ。端戸仁しかフォワードが居なかった戦前の不安など、最早忘れてしまった。あの時、エースのマルキーニョスはリーグ戦終了とともに帰国してしまった。加えて藤田祥史は、準決勝まで先発を続けたが、オフサイドの笛がなった後にシュートを放ってしまい、遅延行為を取られて累積2枚目の警告を受けまさかの出場停止。
あの時に比べれば、ウーゴ ヴィエイラの負傷離脱が記事になっているが、伊藤翔も富樫敬真も万全に控える。
眼前の敵は、広島だった。リーグ戦最終節でマリノスの代わりにシャーレを掲げたチームだ。このまま、負けたままでは終われない。リーグ戦での無念を晴らすには、絶好の相手だったと言えるだろう。
リーグ優勝に王手をかけて臨んだ、6万人超の大観衆を集めた新潟戦はどこかお祭りのような雰囲気だったが元日の決勝では悲壮感があった。それが試合の雰囲気を引き締めたことは間違いない。
余談だが、その翌月のゼロックス杯で広島と同じ国立で再戦した際は、花試合という雰囲気に加えてタイトルを獲った充足感があったように記憶している。
あの時は、準決勝から中2日、リーグ最終戦で苦渋を舐めてからわずか1ヶ月。あんな特殊なシチュエーションとは、今はだいぶ違う。けれども、今の雰囲気が悪いかというとそれはない。まず油断はあるはずもない。決勝まで進めばオッケーという考えもない。3戦3敗の相手にどうやり返すか。杉本健勇や山口蛍がいないかどうかではない。俺たちのホーム埼スタに、どれほどの人数のサポーターで後押しできるだろうか。
いつもは浦和さんサイドの都合で狭められたアウェイ応援席は、あっという間に売り切れるのが埼スタの常識だが、今回はそれはない。
帰省などはともかくとして、初詣やテレビ観戦はあまりに勿体ない。親戚の集まりだって、三が日はまだ2日も残っている。埼スタに1人でも多くのマリサポに集まって欲しい。これは単なるサッカーファンでは不作なのだ。チームを応援する人が揃う方が雰囲気は断然にいい。
2014年元日というとごく最近のような気もするのだけど、まだSMAPは解散してなくて、東京五輪が決まった直後で、ブラジルW杯の前である。マリノスで言えば伊藤翔と下平匠が入団する前と言えば随分昔のことと思えるだろう。
慌ててラフィーニャを招くよりも前、すなわち天皇杯に彼の登録を忘れる前、アデミウソンの姿などまだ日本に影も形もない。ちなみにその間に、あの長谷川アーリアジャスールは、瓦斯から桜大阪、サラゴサ、湘南と渡り歩いて結局、下条さんの伝手を辿って名古屋に行く。それくらいの月日が、4年。別のチームになってしまう。残っているのは、中澤佑二、齋藤学、栗原勇蔵、中町公祐といったところか。出番のなかった飯倉大樹の不服そうな顔がもはや懐かしくもある。
そして在籍4年目で、移籍以降もっとも難しいシーズンを過ごした下平と伊藤がチームを救う働きの場を見つけている。なんと、戦うチームは糾える縄の如しか。
この言葉で新年を祝いたい。
「勝ちましておめでとうございます」
ぜってー勝つという迫力に満ちたスタンドの雰囲気を作り出せるかどうかに、かかっている。
エリクが来る前からトリコロールだった選手たちと我々。エリク以降に加わった選手とサポーター。総力を挙げて、栄冠を。そしてアジアを勝ち取ろう。