戦評
スルッ。私の掌からこぼれ落ちた。いや、勝ち点3の話ではない。 買い物をして浮かれていたようだ。コインパーキングに戻り、僅かな小銭を支払った直後に、財布とともに左手に持っていた2台のiPhoneのうち1台が、会社から貸与されたのではなくプライベート…
自分で奪って、自分で持ち込んで、自分で打った。エリア内に二人、味方の選手が待ち受けているにもかかわらずシュートを選んだ。 学が呼んでいるのは見えていたにもかかわらず、だ。俺の持ち味は左足のミドルシュート。見ろ、これが名刺がわりの一発だ。目立…
中町公祐の付き添いに続いて、ウーゴ ヴィエイラがLED看板を超えてきたのは2度目だった。 みんな、ありがとう。俺は決めたよ。祖国のため、マリノスの勝利のため、そしてスタンドで何十回と名前を呼んでくれたお前達のためだ。 直後、万雷の拍手とともに、ウ…
展開はゼロゼロだったが、このまま終わる感じはしなかった。DAZNのハイライトを見ると、驚愕するほど、フルボッコに攻められているがペースを握っていたのはマリノスの方では。 齋藤学のミドルシュートが林卓人の横っ跳びに防がれた83分も、きっと何か起こる…
疾駆という言葉が相応しい。天野純が上げた、速くて、相手のエリアをえぐるクロスは到底追いつけない厳しいボールだった。でもマルティノスなら。彼のスプリント力でぎりぎり追いついてみせた。左足ダイレクトでのマイナス方向へラストパス。全力の疾駆の賜…
仲川輝人の同点弾は希望そのものだった。代わったばかりの齋藤学が作り出したチャンスに新井一耀が走り込み、マイナスのパスを送る。ニアでは、富樫敬真が潰れ役になって後ろからセカンドトップの仲川が決める! これで逆転までイケる。流れは我にあり。しか…
齋藤学を欠くマリノスの左サイドには、マルティノスがいた。そこでプレスをかけなかった守備を過失というのは、やや結果論に過ぎる気がする。果たして、早く鋭いクロスが上がることを予期することができるか。それとも小林監督が言うように、同点に追いつい…
呆気なく追いつかれ、勝ち越しを許しそうになった。栗原勇蔵とパクジョンスという2人のCBのちょうど真ん中。お見合いかのようにポッカリと譲り合った場所からフリーでヘディングを撃たれた。1-1、残りは15分。鳥栖は攻勢を強める。 マリノスは引き分けでも、…
後半早々に追い付いた日本は、15歳の久保建英を送りこむ。59分、最初の交代カードだ。ファーストタッチで、いきなり小川に決定機となるスルーパスを供給。世界大会の舞台でも平然としているのか。 68分、二人目の交代に遠藤渓太。最前線の岩崎に代わって入り…
誰が悪いというわけではない。こんな試合もあるさ。いや、前よりは良くなっている。次だ次。 と、いつまでも言うと思うなよ。ワーストと思われた前節を、さらにぶっちぎって、週末の昼下がりに真夏のような暑さの中で、フラストレーションを溜める1万6千名。…
伊藤翔、飛翔。マルティノスの右足がクロスを蹴り出した瞬間はオンサイド。すなわち伊藤のポジションよりも、前に守備ラインがあった。 そこからしなやかに飛び出して、連敗のストレスをぶつけるかのようにヘディング。豪快にネットを揺らしてみせた。 だが…
出口が見えないまま連鎖は続く。三浦文丈から呂比須ワグナーへという、マリノス(日産)リレーで再建を図る新潟の話ではない。今度はセホーンが来ないから大丈夫だねとよその心配をするギャグにもどうにもキレがない。 いや、キレがないのは齋藤学。はっきり…
サポーターが入りきらないアウェイゴール裏。しかもルヴァン杯の予選だぞ。中央道の渋滞もなんのその。甲府側のスタンドよりも気合の入ったマリノスの応援が響く。よく響くさ、携帯電話の向こう側まで。 あぁ、すみません。私は旅行先でスマホ観戦。ついに再…
日産スタジアムの美しい芝で、ボールを追う子供たち。マリノスのスクール着に身を包む子はうまい。広いピッチを4分割し、そこかしこで上がる歓声、パスを要求する声。うちの息子もそこに居た。 年間チケットを購入している小学校低学年を対象にした「芝生de…
抑えたとてもいいシュートだった。ゴール前の密集を振り切って、ラインを超えた勝ち越しのゴール。 3年目の春。怪我に泣き、悩みに悩んだ末に掴んだハタチの初ゴールだった。ただのゴールではなく、マリノスを勝利に導く一撃、ルヴァン杯のグループ突破に望…