銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

大津祐樹、ポジションはハードワーク

2001年以来、17年ぶりの決勝戦進出なる。

準決勝で敗退すること、何度か。元日以来、また同年にカップ戦ファイナリストととして、埼玉スタジアムのピッチに立つ。

最多優勝の鹿島アントラーズを破り、近年で3回も決勝に進むガンバ大阪を圧倒しての堂々の決勝戦へ進む。

 

2-0、トータルスコア4-1。残りは45分なら、普通はもう楽勝の展開である。右サイドから天野純のミドルシュート、そのディフラクションのボールを、ウーゴ神ヴィエイラが振り抜いて先制の歓喜をもたらす。前半20分だ。さらに前がかりになった鹿島を出し抜くように、今度は左サイドから山中亮輔、エリア内の天野と渡り逆サイドからフリーで走って来た仲川輝人に合わせる。

これで勝負アリ、とまでは言わないまでも、あとはどう時間を過ごすか。当然鹿島は前の選手を増やす。ハーフタイムとともにボランチの永木に変えてセルジーニョを投入。

 

鹿島の時間帯をやり過ごしていたのに、飯倉大樹のパスミスは痛恨だった。ショートパスを誘い、狙っていた土居の餌食となり1点を献上し、一気に守勢へ。25分には、セルジーニョの同点ゴールが生まれた。流れは完全に鹿島。反撃に出るマリノスは中盤を制圧されている。昌子がW杯ベルギー戦以来の3ヶ月ぶりのピッチに立ってからはさらに嫌な雰囲気となった。それでも耐えに耐えた。取れそうで取れないあと1点を、マリノスは許さなかった。試合終了の笛が歓声で消される。

まさしく薄氷を踏む思いから、安堵の表情の選手たち。攻守の選手が名前を呼ばれ讃えられていく。61分に退いてから、監督のように身を乗り出して戦況を見守る大津祐樹からも笑顔がこぼれる。

 

大津祐樹の凄さを感じたのは、彼がピッチを去ってからではなかったろうか。それはJリーグ屈指のボランチであるレオシルバが、大津の交代後に息を吹き返したからである。

レオシルバも32歳、さすがに往時の鋭さはないのかと感じていた。プレーがずっと窮屈そうだったからだ。レオがボールを持つと大津が刈り取る。まさに縦横無尽の運動量。一度、味方の攻撃時になると、レオが大津につられてバイタルを空けてしまうことも度々あった。だがレオが衰えたのではなく、大津が凄すぎたのだ。代わりに入った喜田拓也のほうが、レオは対応しやすそうだった。喜田も粘り強い守備が持ち味だが、スピード、振り切れるほどの思い切りの良さは現状大津の方が上。なぜ俺は後ろからボールを奪われるのか、オーツはアタッカーだろう。レオの戸惑いはずっと続いていた。

 

3トップでは、サイドでもセンターでも順応できたとは言いがたい。大津のアジャストの苦労は、マリノスの1年を通しての試行錯誤とほぼ重なる。ロンドン五輪での活躍を持ち出すまでもなく、アタッカー大津は今新たなポジションで最高の輝きを放っている。あのチェイスを90分やられるほうは堪ったものではない。しかもあのガタイだ、当然強い。本人はもともと対人の強さを自分のウリの一つと考えていたようだが、何しろ若い頃のスピードどーん、シュートどーんの印象ばかりだったこちらは戸惑うばかり。なんとなく勢い系の、順応性が低いキャラのレッテルを貼られていた時期もあった。

 

この日、60分で交代したのは自ら進言したためだという。大津は運悪くというか、アフターでのファウルを2回続けた結果、前半の段階で警告を受けてしまった。退場のリスクを考えると、このあとはそこまで強く行けない、ならば警告のない喜田が出た方が相手は困るはず。チームとしての結果を最優先しての洞察だったと思う。

 

当然、リーグ最多得点のマリノスを支えるからには守備だけの貢献ではない。自らが点を取るではないおとりの動きも見せてくれている。そして、それが味方の決定機に直結している。

天野純、扇原貴宏とともに代表経験者3人で作るトライアングルが、マリノスの絶対的な答えになりつつある。

 

17年ぶりの決勝戦へ。まだ中澤佑二すら在籍していない時代の話。2週間後、埼玉の空に聖杯を掲げたい。相手は湘南ベルマーレに決まった。どちらにも勢いと勝機あり。

 

中2日で決勝を迎える天皇杯と異なり、ファイナルへの日々を2週間待てるというのもとても趣がある。

 

さあタイトルを取ろう。