12日から始まった王者のキャンプ。石垣島から送られてくるキャンプの情報は順調そのものだ。新戦力との融合、伸び盛りのユース選手の成長、既存の中心選手による確かな上積み、良いムード。優秀な外国籍の選手たちも、すでにチームにフィットした状態で連携を深めることができる。怪我からの復活を目指すエースが再び別メニュー調整というのは心配だがそのことを除けば、まさに充実の時。連覇に向けて死角なし、などと言うのはあまりにも早い。だけれども、つい言いたくなるほどだ。キャンプに帯同している上述のユース選手を除けば、トップチームに登録されている27選手がいて、うち参加は26名。順調だ。
そして残りの1名には失意と試練の時が訪れた。
東京五輪出場を目指す遠藤渓太、勝負のシーズンに向かって。
あまりにも不甲斐ない戦績
日本対カタールでは田中碧が退場し、その後10人でなんとか先制したものの3試合で3回目のPKを献上した。3試合であげた勝点はわずかに1で、アジアレベルの大会としては近年記憶にないほどの低成績で大会を後にすることとなった。それらの試合に背番号11、遠藤渓太は絡んでいない。ただの1試合もだ。12月にはE-1選手権出場でA代表も経験した渓太がなぜそのような憂き目にあってしまったのだろうか。
私たちが落胆し、また怒りをこれほどまでに覚えたのには理由がいくつもある。まずは何をおいてもチームとしての結果が出なかったこと。それにより森保一監督は厳しい批判に晒されている。結果が出ていない上に退屈な試合内容、見るべきものがないというのは攻撃的なあのサッカーに慣れてしまったマリノスサポーターでなくても多くの人が感じているところだ。
にも関わらず、ケイタは出ない
森保監督が広島を率いて、リーグ制覇3回。彼が栄光を獲得した3-4-2-1に回帰してから日本代表、五輪代表の様子がおかしい。なぜ、システムを変えたのだろうか。どんなに前向きな理由があったとしても、もっとも特徴的なポジションである両ウィングをどうするかが見えてこない。そうだ、あの時のサンフレッチェとは異なり、今の日本代表には、絶賛売り出し中の柏好文もいなければ、絶頂期のミキッチもいない。
つまり適任なのは突破力のある「個」だ。ところが初戦に起用された杉岡と橋岡は、そんなタイプではない。強いていうなら渓太と相馬くらいではなかったか。でも最後まで渓太が呼ばれることはなかった。メンバー中、昨年のJ1リーグ戦で最多の7得点をあげたというのに。
悪い意味で転機となったのが12月、Eー1の韓国戦であったことはほぼ間違いない。優勝のかかったこの試合で先発したものの攻守に見せ場なく、ハーフタイムで交代を命じられてしまった。代わりに出場したのが、相馬だった。渓太が良くなかったのは認める。だが他の誰が良い結果を出したというのだろう。
この辺りが、渓太を応援する我々の怒りが増幅された要因になった。じゃあ呼ぶんじゃねーよ、と外野は簡単に言ってしまう。愛余るがゆえに。
コンデイションを整えてアジアで暴れる道はある
これでチームが快進撃ならば諦めもつく。だがそうではない。12月・1月と連続して招集されたのは、GK大迫、DF渡辺、古賀やボランチの田中碧と田中駿汰など14名もいる。中心を担った一人だったが、出場機会を得られなかったことも重なって代表ではもちろん、クラブでも厳しい戦いが待っていることは云うに及ばない。
- ただでさえ短かかったオフがさらに短くなってしまった痛恨
- マリノスでの激しいレギュラー争いに出遅れる痛恨
- 太ももにテーピングが巻かれていたという疲労蓄積の懸念
だが、やるしかない。今年はACLもある。国際試合で再び己の価値を示すチャンスだ。昨シーズンの優勝に華を添えたリーグ最終ゴールは渓太の独壇場だった。あれを、何度でも、何度でも。
また一から頑張ればいい、
— 遠藤渓太 (@keita_ed) 2020年1月15日
やれることやろ。俺
渓太が一番悔しかったに違いない。でも、翌朝には前を向いていた。無理矢理向いたのかもしれない。でも彼は前を向いた。そのことは、また飛躍のチャンスがやってきたことだけを意味しているのだ。
何かにつまずいたときは
ああチクショウ、君の悔しさを思うと泣けて来る。ああケイタ、俺たちのケイタ。そのうちきっと大きな声で笑える日が来る。12月のホームスタジアムではあんなに破顔一笑したじゃないか。長く助走を取った方がより遠くへ飛べるって!
もうね、目一杯応援するよ。12月のホームスタジアムで君が交代で出てきた時の大声援を超えるやつで。
アジアを勝ち取ろう。俺たちをトーキョーオリンピックに連れて行ってくれ。こっからだよ!