長男が8歳の誕生日を迎えた。どの親もそうだと思う。あっという間であったし、成長が嬉しくてしかたない一方で、少年としてともに過ごしてくれる時間のはかなさを感じずにはいられない。
8年前に、シュンスケと名付けて、一緒にマリノスのサポーターとなった。マリノスがあったから、家族旅行もしたし、だから彼はサッカーを習い始めた。
我が家のサポーターライフは、2017年を境に少し変わった。元祖・俊輔さんの移籍と、息子の小学校進学と、さらには弟の誕生とで、家族揃って観戦に行く機会は減ってしまった。
小学校に上がり、土曜午後のサッカー教室を続ける時に、マリノスよりも練習を優先することをルールとして決めた。彼は納得しているが、こっそり父が一人で観戦に行くことは嫉妬している。練習が終われば、全試合のダイジェストを見ないことはない。
強豪チームに入団してしまったため、低学年でもそれなりに練習試合はある。それがマリノスと重なれば、私も息子の方を選んでいる。だから距離の離れたアウェイは長い間ご無沙汰している。
こないだ息子の練習試合が熊谷市で行われた際は閉口した。熊谷に足を踏み入れたのは2012年の天皇杯4回戦、対浦和以来だ。もちろん会場はスタジアムなどではなく、その辺の公園なのだが、息子のサポーターになったような気もした。まさにアウェイ遠征。もし、この後もサッカーを続けたとしても、あと数年もしたら自分たちで電車を乗り継いで遠征に行くようになるだろう。送迎すら今だけの特権として思い出になる。
近場の練習試合なら、必ず見に行く弟。2歳の有望株の方も、イイ感じに育っている。例えば、病院の待合室で、アンパンマンの絵本には見向きもせずにDAZNでハイライトを見せろとせがむ。もちろん看護師さんは理解できない。2歳になりたてだが、「まりのしゅ」の試合が一番だ、ということくらいは理解している。ハイライトで一番好きなのは「よこはま、しぇんしぇー!(先制)」だ。自転車で、ヤーヤーヤーヤーと歌うので、行き交う人によく見られる。
先週、シュンスケの7歳最後の試合は、大事な節目となった。区のトーナメント戦で、初めて彼はスタメンの8人に選ばれた。希望ポジションは天野純をイメージした2列目だが、実際には体の大きさを買われてセンターバック。背番号は22、ではなく20なのが少し惜しい。もちろん試合に出ることが第一で本当は前がいいなど言うはずもない。
大切な試合。昨秋に決勝で敗れた相手とのリベンジマッチだ。ちなみに半年前のこの試合では、シュンスケは最後まで出番がなかった。
悔しい。
とあの日、本当に思ったか、親が言わせたかはもう定かではない。ただそれまで以上に、サッカーに打ち込んだ。ある意味ではマリノスを犠牲にしてでも。そんなストイックな息子ではない。強制的に練習させてきた。「引退勧告」をしたことも一度や二度ではない。
結果は、見事な完封勝利でリベンジ達成。シュンスケはディフェンス陣の一角として、フル出場した。次男がDAZNで長崎戦を死ぬほど見直すように、むしろ本人よりも親である我々の方が、成長を噛みしめるようにビデオを繰り返し見ていた。
学校の絵日記の宿題は必ずサッカーだ。マリノスを観に行ったか、自分が試合で活躍したかのどちらか。それが彼の週末。そんな暮らしを続けていて、私たちも幸せだと思う。
同じマリノスを応援し続けることはできても、同じ選手を見守り続けることは難しい。選手の輝きは刹那的であり、だから愛おしい。
子供との間に、サッカーという共通言語がある。一緒に夢中になれる。
君のおかげだ、本当にありがとう。おめでとう。健やかに育ってください。