マリノスにシャーレを2019

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

許し難きことです

漫画「キングダム」は、秦の始皇帝「政」が中華統一を果たす物語。当時、七国に分かれ何百年にも渡り領土争いを繰り返していた中国において、統一を果たすということは単純に言えば、滅ぼされる側の国があるということ。

 

ある時、列強のうちの一国「斉」王の王建が、政のもとを訪ねて秦国を訪れた。王建は政の会談後に、地元・秦の自慢の料理を振舞われる。その際に給仕役に、この食材を明日から敵国の名で呼ばなくてはならないと言われたら、どう思うかと質問する。

 

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 「許し難きこと」穏やかな表情を一変させて、怒りと憎しみに満ちた顔を見せる。敵国に降るということは、これ以上ない屈辱であることが伝わって来る。

 

ここまで書くと察しのいい方は分かるだろうが、町田ゼルビアの経営権を取得したサイバーエージェントの動向である。昨年11月、同社による買収直後にもキナ臭い噂が出た。具体的には移転である。あくまで憶測の域を出ないが、東京の都心、代々木公園に作られる計画のある新スタジアムへの移転となれば、事実上「町田」のチームとは呼べなくなる。

 

その後、さしたる情報もなかったため、多くの人がサイバーエージェントの思惑のことなど忘却の彼方へというタイミングを見計らっていたのかどうかは知らないが、9月7日に突然、サイバーが再び商標出願という動きを見せる。

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何の発表もない中ではあるが、これだけを見ればチーム名だけでなく、エンブレムやマスコットなどを変更しようという動きに見えて仕方ない。2020年シーズンには、町田ゼルビアという名前は消えてしまうのだろうか。

 

この翌日の、町田ゴール裏、しかも試合後に選手が姿を消してから突如掲出された横断幕。

「拝啓 大友社長 このチーム名、エンブレムで積み上げてきたものは何なのか」この静かで、燃えるような怒りを、サイバーは無視しない方がいい。

 

楽天が神戸を買った時には、コーポレートカラー?とされる現在のエンジ色(クリムゾンレッドと呼ぶらしい)にチームカラーも、ロゴも変更された。大きな反対を押し切っての断行だった。資本主義の原理から言えば、所有者がチーム名を決める権利を有するのは当たり前。でもなぜか受け容れ難い。それが心情というもの。

 

5年前に、CFGがマリノスの株を保有するようになった時にも同じような疑念が持ち上がった。シティグループの中核であるマンチェスターシティFCと、傘下に先に入ったクラブが軒並み●●シティだったがゆえに、横浜F・マリノスが、横浜シティFCになったら。横浜FCと似た名前、さらにシティのカラーは水色。もしそれを押し付けられたら、反発どころではない。アイデンティティは完全に崩壊する。だが、そんなことはなかった。マリノスの伝統、トラディショナルな部分をわざわざ変えることにメリットはないという言葉ではっきりと否定された。メルカリが鹿島を買った時もそうだ。鹿島側は、移転を条件とする企業には断固売らなかったという。

 

こうした経緯を観察してみると、町田に対する冒涜にも思える。ゼルビーが、ロックマンの出来損ないようなロボットに変わられるとなると、Jマスコット鳥の会の仲間として、我らがマリノス君も黙ってはいられまい。鳥たちによるストライキの可能性もある。すると、マリノス対磐田、対松本のようにリーグ戦が佳境の中でマスコットが不在となるカードも生まれて来る。これは由々しき事態。ちょっと何言ってるか分からない。

 

冒頭の話を置き換えてみてほしい。

「ホームスタジアムは国内最大の規模を誇る「日産スタジアム」で、過去にJリーグ制覇は横浜マリノスの時代も合わせて3回、今年15年ぶりのリーグタイトル獲得を目指します。チームカラーは、愛称にもなっているトリコロール。最も美しい色だとサポーターは誇りに思っています。」

それを豊田スタジアムと呼び、リーグ優勝記録は抹消され、色は緑。名古屋Mヴェルディと言わねばならないとしたら?

 

それは…許し難きことだ。そこには何もない。

ゼルビアという呼称は意外と新しいとか、黎明期に二度もロゴを変更しているとか、そんなことは関係がない。

それ以上に、不快なのは、商標登録のように外部に公表され、かつ不安が煽られると分かっていながら、サイバーが何の説明もないこと。オフにシレっとリリースを出して済まそうというのなら、あまり舐めない方がいい。説明したから納得するというものでもないけれど、それでも説明を尽くす姿は重要な気がする。

 

東京西部の雄・町田はどこへ。町田トウキョウとか、インターチェンジの名前じゃないのだから。でもスポンサーは大事。経営者はもっと大事。東京の右側は、別のところに任せて、西で根を張ってほしいなと個人的には思う。