銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

優勝争いにはまだ早い 些細で重大な攻防【J1第18節・広島戦】

スルッ。私の掌からこぼれ落ちた。いや、勝ち点3の話ではない。
買い物をして浮かれていたようだ。コインパーキングに戻り、僅かな小銭を支払った直後に、財布とともに左手に持っていた2台のiPhoneのうち1台が、会社から貸与されたのではなくプライベートで使っている方が、液晶画面を下にしてアスファルトに体を打ち付けたのだった。

スルリと落としたことにさえ気づかなかった私は、鈍い衝撃音が聞こえるとともに足元を見下ろすと、ちょうど一歩を踏み出した私の革靴で踏みつけられたiPhoneの姿を見た。その時、すでに彼の顔面は傷だらけ。踏みつけた私の行為は一発退場を免れないものだった。

歩きながらこのブログの記事を書く術が実質失われ、それ以上にモチベーションが大きく下がった瞬間だった。

よく私たちは、選手に「気持ちを見せろ!」などと言う。勝敗以上に大切なことかのように。しかしながら、一発退場の後に気持ちは見せられない。内側から闘志が湧いてこない。

そんなことがあった。

言うまでもなく、監督解任ブーストという目に見えない敵と戦うマリノスの戦いぶりも、ふとした油断から勝利を掌からこぼしてしまったかのようだった。

1−1の引き分け。89分の痛恨な同点被弾。これさえなければ、6連勝の達成だった。しかし引き分けだから、首位再浮上のC大阪との差は広がっている。本当に優勝争いの真ん中で主役を演じるチームには、こうした勝ち点を落とした引き分けはゆるされない。だが、マリノスのここまで5連勝中を思い出しても、今回のような不運な形での失点がほとんどなかったのは単なる僥倖だったと私は思っている。

得点シーン、前田直輝の飛び出しは素晴らしかった。トラップミスしても、その浮き球をすぐさま頭で押し込んだ状況判断も良かったと思う。ここまではツイていた。ただし、これが決勝点にならなかった。

確かに、齋藤学が振り返るようにこの時間帯に先制点をあげているようでは遅い。真に強いチームなら、これがダメ押し点となっていて2-0で勝利するところだろう。悪くても、直前の大宮戦のように2-1となるところだ。試合のペースを握っていた割には、広島が極端に守備に軸足を置くと、メイクチャンスの回数も大きく減ってしまう。明確な課題である。

そして失点のシーンは、いろいろ学ばさせる。運悪く、中澤佑二がブロックしたボールがアンデルソンロペスのもとに渡ってしまい、それをうまくシュートされたと思っていた。不運な失点だと。

ところが、私はその時は気づかなかったが、時間稼ぎには他にも方法があったのにロングボールを選択した飯倉大樹、そのボールを競り合わなかったウーゴ ヴィエイラ、アンデルソンロペスを抑えきれなかった扇原貴宏、転んでもすぐさま立ち上がったロペス、エリア内の彼をケアしていなかった守備陣。

と、いろんな方の分析、解説を聞くと、こうした要素が絡み合っていたことを知る。ディテールの話だ。だがディテールの積み重ねで出来ている。

シャーレも、ディテールの積み重ねで出来ている。ワンプレーだけで勝つこともあるし、ワンプレーで負けることもある。勝敗に直結しないその他大勢の好プレーやミスに比べると、目立つ。けれどもどちらも、その前後のディテールから成り立っている。

シャーレを語るにはまだ早い。結果論ではない強かさを。
不注意で壊れた携帯電話はパネルを交換すればいい。だが、不注意で失った点は返ってこない。

浮かれることなく、中断期間へ。天皇杯、そしてキャンプで、強く、強かになるしかない。