銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

突然の2度目の別れ

愛するマリノスの為。見せろ熱き思い。

 

気がつけばベテランと呼ばれる年齢となっていたのか。バックアッパー扱いするには惜しい特異な存在感。

ある意味では、生え抜き選手よりも、クラブ愛を剥き出しにして戦っていたのが金井貢史だ。明るくて自由で頼れる男なのに、なんだか守備だけ心許ない。ヤンチャな若気の至りもあったし、小林祐三やドゥトラの壁に阻まれて、レンタル移籍を選んだ後には鳥栖への完全移籍の道を選んだ。千葉で主力としてプレーした1年を経て、マリノスからの復帰オファーが舞い込むと、「再びマリノスに誘われるようにがんばる」と言い残したコメントを現実のものにしたと、温かく迎え入れられた。

 

「もう誰かの穴埋めばかりしたくない」というコメントは重くのしかかる。最終ラインをどこでもできるから、ありがたかった。便利に使われたことは間違いがない。だが本人の言う通り、本当に自分の力で勝負できているのか、存在意義はなんなのかを己に問うた時、やり甲斐と同じくらい虚無感があったのではないだろうか。

 

加えて報道通りなら、金井にはオファーがなかった。複数年契約が切れてから契約延長の交渉などしない。契約が残り半年ともなれば、当然、次の1年または複数年についての話し合いが持たれる。しかしマリノス側からのオファーはなかったとされる。恐らくは、契約満了となる。すなわち来季は構想外とされるという予感もしくは確信が金井のもとにあった。

 

そこに届いた名古屋グランパスからの獲得オファー。風間革命とともに1年半でほぼすべての選手が入れ替わるような状態で、金井貢史があのサッカーに合っているか分からない。宮原とか櫛引、新井がライバルになるのかな。

ともかく渋いマリノスのそれを上回る年俸提示もあったのだろう。しかも契約は残り半年というフェーズだがマリノスに相応の移籍金を残せることが決め手になったという。

 

今冬にある後輩が起こした史上最悪と言われた移籍さえ庇ってみせたのが金井貢史だ。彼は、あれを見たからこそ、筋を通したくなったのだろうか。

ロジックでは金井の心情は分かるし、確かにある筋も通っている。だが戦力以上の何かを失ったのではないかと、たぶん多くのサポーターの「直感」がそうささやいている。しかし、「戦力以上の何か」などという曖昧で無形のものを今のマリノスが保持する余裕がないのはすでに明らか。

ドライかもしれないが、売る側のクラブの宿命である。

 

そんな折に、ブラジルでも煙たがられた上に、クラブを批判するカイケの質の低いニュースが入ってくる。程度の低いニュース。彼の年俸の半分、つまり5千万円だかを払い続けている業の深さを思い知らされ、この日本とブラジルの間でなすりつけ合われる貧乏神がまさかこのタイミングでクラブ愛を考えさせてくれるとは。

この夏の2人目の別れは、意外であり唐突であった。「まさか」の後、理屈では理解し、そしてやるせなさが残った。

 

名古屋との対戦はもう半月後に迫っている。ピッチの上にいる金井貢史でいてほしい。そして、できるなら三度目の加入を待っている。