マリノスにシャーレを 2021

横浜F・マリノスの話題を中心に、いちサポーター目線で愛を語ります。いちお3級審判、不定期で審判やルールネタも。サッカー少年2人の父。

またも劇弾 隠れ2位が隠しきれなくなってきた【J1第17節○2-1清水戦】

再三再四にわたって、クロスは跳ね返され続けた。清水の5枚の最終ラインは均等にボックス内を埋めたうえで、持ち場に来たボールを勤勉に外へかき出していく。セカンドボールはマリノスが拾う。また横からだ、それを辛抱強く、我慢比べなら望むところ言わんばかりに弾く。

なんでもマリノスのクロス数はリーグ最多らしいのだが、それを弾き続ける清水という図式。とくにヴァウド、鈴木、奥井の3名の奮闘は讃えられていい。だが報われはしなかった。

水沼宏太は両手を広げ、レオセアラは雄叫びを爆発させた

前後半で20本のシュート、その20本目は89分という時間だった。シュート数は圧倒していてもスコアはタイ。直前のホーム戦だった柏との試合でも攻めたてながらも1得点しかあげられなかった。

CBの二人と、ボランチの二人が中央で、何度かパス交換しながら食いつかせたところ、畠中槙之輔が縦に刺した。このパスがよかった。
後ろ向きの天野純がシンプルに仲川輝人に落すと縦に運んだ後に、反時計周りに小池龍太、水沼宏太に渡る。

85分に入ってきた水沼は、これがファーストタッチだったのではないかと思う。高い集中力を誇ってきた清水守備陣にほころびを作るために、ほんの一瞬だけじらしてから中をめがけて速くて低いクロスを入れた。

触りさえすればよかったが、守備陣の届かないところのボールは、レオ・セアラにとっても遠かった。だがこれをよく引っかけた。ストライカーの嗅覚というものか。何度も両の拳を震わせるレオ、リーグ戦は2点めだが1回目は趨勢が決まった後にダメ押し点だった。こんな劇的な決勝点は初めてだった。
ベンチにいるメンバーもピッチ内に足を踏みいれて喜んでしまう。それもどうか許してほしい。そりゃ、どれだけ喜んでもいい。清水は前節に勝利していたとはいえ、勝点3以外は受け入れられない試合。
もうまもなく引き分けで終わろうとしていたのだから。

1本目のシュート(エウベル)と20本目がネットに突き刺さった結果の2-1勝利だ。

大然が凄かった 阿道もエウベルも存在感

その1点目のアシストは、左サイドで先発した前田大然。スプリント39本はこの日もトップだったが、もはやその数字では驚かなくなっている。
圧巻だったのは、エウベルへのクロスの正確さだった。スピードは掛け値なしに世界級の大然にもし今日見せたような精度がついてきたらとんでもないことになる。エウベルは本当に難しい体制でのシュートはうまい、GKと1対1になったときだけなぜ正(以下略)。

オナイウ阿道を加えた3選手が、現状のベストとして納得させるだけのプレーを見せてくれた。
マリノスのサイドに前田大然のスタイルは合わないと信じられていたのはほんの3か月前のこと。阿道もそうだ、マルコスのポジションのほうが適性があるのでは、トップはエリキやジュニオールサントスがいないと厳しいと言われたのが遠い昔のよう二人とも自分の強みを生かしつつ、マリノスのサッカーに適応している。環境に変化できる選手はやはり生き残る。

強さの阿道、速さの大然、なんか知らんけど両方あるエウベル。これは恐ろしい。好き。

ダブルボランチの岩田、渡辺という選択

試合前に注目されたボランチの人選は、前節の大分戦に続いて、岩田智輝、渡辺皓太がスタートで出た。ボランチという意味では喜田拓也がサブに回り、扇原貴宏と和田拓也はベンチに入っていない。

驚きをもって受け止められたかもしれないが、前節のパフォーマンスを見れば納得だっただろう。岩田はパスが散らせるだけでなくラスト3分の1により関与できる。渡辺の攻撃参加の回数は言うに及ばず、ボールの回収力という点でも喜田にそん色のない働きを見せた。なにしろ小回りが利くし、ターンは一番うまい。

大分、清水と引いてくる相手が続いたことでこのチョイスが続いたと想像する。

途中、岩田へのパスが立て続けに狙われたことがあり、実際に何度かロストしたことで清水にペースを渡してしまったことがあった。他の選手に比べると次のプレーの判断が遅いかなという気はしたが、何しろボランチ岩田は伸びしろの塊。渡辺、小池との息もあっていた。

開幕直後よりも出番が減っていたのは岩田の停滞もあり、松原健や小池がさらにすばらしいのもあったが、巻き返しは来るだろう。

そして渡辺皓太の時代がもうすぐそこにまで来ているのかもしれない。なんでもやる、この選手。

粘り強く戦ったティーラトン

狙われたでいうと、片山目掛けたロングボールで空中戦を挑まれ続けたティーラトン。清水はこのように「突く」と決めたポイントを徹底してきた。
苦手な空中戦で、だいぶ疲弊はしたことだろう。だが、ブンちゃんの気持ちはまったく揺らがないように見える。競り負けたとしても、その次のアクションで巻き返すという開き直りが見られたのは、すばらしいの一言。

それを補って余りある、正確なクロスの連射。これ自体が得点にはならなかったものの、ボディーブローのように清水守備陣のエナジーを削ぎ落していったことは想像に難くない。ムダな攻撃などない。ブンちゃんの速射砲があったから、水沼のじらしクロスも通ったのだ。

母国・タイの英雄は、W杯予選の招集を断った。隔離期間というデメリットがあまりにも長く、大きいためだ。ただ、簡単な決断であるはずがない。タイでは批判の声もあったという噂も聞く。そんな背景があるからこそ、マリノスで戦い続ける英雄を応援しないわけにはいかない。

決定的か、ボスの去就

この試合前から、喧しかったポステコグルー監督のセルティック監督就任の報道。試合後の会見で「今言えることは何もない、目の前の仕事に集中するだけ」というコメントを残したが、否定も肯定もなかったことで近日中に大きく進展しそうだと言われている。

スコットランドはシーズンが終わったばかりで、8月に新シーズンの開幕がある。(中村俊輔がいたころを思い出すな)
その前に、1年遅れのEURO2020があり、セルティックからは主力4選手が、スコットランド代表入りをしている。

つまり、今が離日、渡欧の絶好のタイミングだ。
ポストポステコグルー体制(通称:ポスポス問題)の対応に迫られているだろう。ハッチンソンHCの昇格があるのかどうか。いずれにしても、この数日で大きな動きが出ることだろう。

まだまだ戦いはこれから

ボスの退団は不可避だろう。マリノスで結果を残して、欧州CLにも出場する名門から声がかかるというキャリアパスはすばらしく、CFGならびに横浜F・マリノスにとっても一つの成果と誇っていい。豪州人の監督が世界サッカー界のトップシーンで評価されている話は聞かない。日本人選手が欧州に挑戦するように、国のプライドもかかった新たな挑戦をボスが受け入れるのはなんら不思議ではない。


とはいえ、マリノスは続く。
名古屋と鳥栖が足踏みをし、川崎はよせばいいのに劇的な勝利をあげた。これ以上離されるわけにはいかないが、もう実質2位だよねと言われることが増えてきた。川崎の独走に待ったをかけるのは試合数の少ないマリノスしかいないとも言われる。

辛抱強く守備を固める相手に、2連勝したこの「辛勝」の意味は大きい。
ACLが始まる6月、こちらは地に足をつけて戦える。
しっかりと追走しよう。