大型連休の後半、平日の夕方。
私はZOZOマリンスタジアムにいた。
千葉ロッテマリーンズ対オリックスバファローズ、とんでもない良席で見せていただく機会をいただいたので記録に残したい。

マリノスとマリーンズで響きは似ているし、マスコットはかもめだし。サッカー観戦にも参考になることがあるかもしれないし、ないかもしれない。
MSBSというスポーツビジネススクールで、私は3か月間、スポーツビジネスの基礎から実践を教えていただいた。卒業演習では本物の千葉ロッテマリーンズの営業マネジャーを相手にまわして、活性化策、売り上げアップの策、新たなファンサービスなどを発表するという命知らずなプレゼン。
私の所属ゼミが見事優勝、「最も命知らずだった」称号を得て、そのご褒美でZOZOマリンの公式戦への招待をいただいた次第だった。
審査員を務めたマネージャのOさんに出迎えていただいた。が、開口一番に、「ルヴァンカップ時にスカパーオンデマンドが見られなかったと騒いでいた私のツイート」に触れられ「そもそもスカパーでしか見られないことが別角度から見た課題だ」という独自の視点から指摘をいただいた。
なるほど。確かにネット配信、CS、BS、地元のUHF(千葉テレビ)と多様に見られるプロ野球からするとそう見える。だが球団が独自に放映権を持っているNPBと、リーグで一括管理しているJリーグは条件がだいぶちがうのでは、それは詮無きこと、ということはOさんも理解されて言っている。
でもNPBとかJリーグとか関係なく、スポーツビジネススクール卒業生っぽい会話をするのが、うれしかった。大事なことですよね、これ。
東京から1時間で通える!それがZOZOマリン!!
さて、私は仕事がら幕張メッセを利用することが多く、ZOZOマリンにも馴染みはあったのだが、中で試合を観戦するのは初めてということで、スタジアムの中を案内いただけるという特典も楽しみで、プレーボール2時間前には到着していた。
平日とはいえ大型連休中。緊急事態宣言で人手が減ったという話はあまり聞かないけれども、高速道路はガラガラ。
首都高3号線用賀インターから、湾岸を経由して京葉道路まで。たぶん60kmはあったと思うけれど、ドアツードアで50分!これにはびっくり!
いいですか都内の西部にお住いの皆さん、ZOZOマリンは近いです。
ただし電車だったら2時間くらい。これは車が大正解。なにしろビール飲めないしね。
5千人上限。アルコール販売なし。NPBよ、お前もか
千葉県は緊急事態宣言対象ではない、とはいえまん延防止で上限は5千名。
しかも直前の5/3〜5/5の超かき入れどきの試合がすべて中止となる憂き目にあっていた千葉ロッテマリーンズ。理由は雨天ではなく対戦相手にクラスターが出たからというのだから、もうコロナウィルスを根絶したくなる。
アルコール販売がないボールパークは普通ではない。海老天のない天丼に近い何か。
お弁当屋もキッチンカーも出ているが、アルコールはなし。入場前から早くも一緒のゼミ仲間たちと「酒飲めるようになったらもう一回来ようね!そうだね!」と。ただ頭を切り替えて、今日はスポーツビジネス研修だと、言い聞かせる。
VIP席がすごい


特別に関係者入口から入れていただいた。スタジアムの普段は入れないところをご案内いただく。
最初に拝見したのは、最高級の「サントリー マスターズドリームシート」。
www.marines.co.jp
リンクで座席割など見ていただくとより伝わるが、バックネット裏、どころかグランドと同じ高さで、座り込むような目線。
選手、近すぎ。鳥栖じゃなかった、トスバッティングの音、近すぎ。
年間シート限定で2席280万円なり。70試合あるから1試合1人あたり2万円と言われると、この条件なら急に安い気がしてくる。
普段ならば、ビール飲み放題、おつまみ食べ放題もついてくるのだとか。約150席の特等席が、キャンセル待ちだという! これぞ万円防止!!なんのこっちゃ。



ちなみにマリノスの2020シーズンの最高級SSS席が、駐車券付き20試合で11万2千円。試合単価は5,600円。安い。いつか買うぞ。いつだよ。
席のバリエーションがすごい







その後もスポンサー様用の個室を外から見せていただいたり、座敷仕立ての個室、バーベキュー付きの貸し切りスペースなど、単に野球観戦だけではない家族連れやカップルで思い出に残る仕掛けがいろいろある。Webで予習はしていたけれど、本当に見ると違う。やはりそこで過ごした1日は特別なものになるだろう。
右翼のポール近くで、比較的見づらいとされる席も、ワンドリンク付き、クッション付きでゆったりと見られる「シートMロッソ」、
従来の外野フェンスを狭める形で内側にもう一枚フェンスを建設し、間のエリアを「ホームランラグーン」と名付けてこちらもシーズンシートで売ってみたり。
この席はグランドと同じ人工芝が踏めるのも付加価値…!

定員は30,118名というから、日産スタジアムの半分にも満たないのだがいろんなニーズに応える席種の数に驚いた。
マリーンズが、スタジアムの指定管理者になっているとはいえ、新たにフェンスを作って構造を変えてしまうのはすごすぎる。
良席ですごい



ついに着席。もう座席の名称を言っても覚えきれないと思うが、大事なシート名なのでよく聞いてほしい。
”濱田重工120周年記念 ダグアウトボックス”
大事なことなので、もう一度言う。
”濱田重工120周年記念 ダグアウトボックス”
Oマネージャが大変お世話になっているスポンサー様。テーブルにもしっかり企業名がある。
サッカースタジアム同様、現在のプロ野球も声を出したり、楽器を演奏したりの応援は禁止。静かなのは寂しい気もするが、「球音」を楽しむにはこれはいい。この距離感だと、投球練習でキャッチャーミットを叩く音や、ベンチの談笑すら聞こえてくる。

先発は、抜群のコントロールで精密機械の異名を取る石川歩、33歳。FC東京ではなく、東京ガスからドラフト1位で入った選手だ。この日ばかりは瓦斯を応援する。
17:45試合開始。140km台中盤のストレートと、決め球のシンカー。珍しく四球を出すものの、オリックスの2mを超える長身モヤを併殺に打ち取る。上々の立ち上がりだ。
スポンサーをちょいちょい出す仕掛けがすごい
野球は、9イニングの表と裏があるので、インターバルが何度もある。それにヒット、アウトと1人ずつプレーが途切れる。なので、スポンサーを露出するチャンスがめちゃくちゃあるのだ。
センターバックスクリーンの巨大ビジョンのほかに、両翼にも補助的なビジョン。選手のプロフィールや成績が常時見られるだけでなく
マリーンズにシングルヒットが出ると「クリーニング専科」、二塁打なら「サッポロ黒ラベル」、四球なら「Zeep」、ファウルボールなら「一番搾り」というのが決まっている。「打球のゆくえにご注意ください」よりも、はるかに大きい字で一番搾り。ちょっと笑ってしまう。
この日だけで「クリーニング専科」を何回見たか分からない。おもむろに企業のWebを見ると、おお、茨城県の企業で鹿島や水戸のスポンサーもやっているのね。横浜方面の露出をお考えならマリノスもいかが。相手チームの攻撃をキレイにクリーニングしますよ、チアゴ・マルチンスっていうんですけどね。

踊るカモメ。いつかマリノスケも共演させてほしいが県境をまたいでの移動はうんぬんかんぬん。
雨がすご…かった、風もやっぱすごい
ZOZOマリンといえば「風」が有名で、バックスクリーンにも風力表示がついている。
試合前は穏やかだったのに、3回ころには雨風がすごくなってきて、そのせいもあって写真が少なめに。(言い訳)
試合が成立する5回までやれるかなあという感じの雨で、オリックス先発の山岡が制球を乱して4回までに5点を奪う展開。
楽勝かなと思われたが、こちらの瓦斯じゃなかった、精密機械、石川も本塁打を浴びて5-3で後半戦へ。
…雨はいよいよ強くなったかと思ったら、さっと波が引くようにあがって、どんどん体感温度が下がっていく。
スタグルやグッズ売り場もすごい

グッズ売り場も場外に専用の建物が1つ、場内も結構広めの店舗がある。選手の名前を冠した弁当や、対戦相手の地元名物を入れたメニューなど、ついついレジ横で手に取ってしまうロッテのお菓子など、ショッピング、グルメ環境もさすが。

一番うなったのは、アルコール販売できないのを逆手に取った、充実のノンアルコールメニュー。ここで飲んだ、ノンアルコールハイボールが、本物のような香りでうまかったーー。(味を占めて、後日、缶のノンアルコールハイボール買ったのだけど、スタジアムで飲んだときの方がおいしかったな)


唐川登場、そして千葉ロッテ勝利
試合は終盤、1点差に追いつかれるも、ラッキーセブンで再びマリーンズが突き放す展開。いっぱい点が入るのはいい。
先発・石川が4点取られながら7回を投げ切ると、8回からは地元千葉出身、かつて高校ビッグ3として甲子園を沸かせた唐川侑己投手が登場。
もう31歳ですって。まじか。生え抜きのヒーローはやはりいいね。

乗ってきたのが、白のメルセデス。ちなみにオリックス側は黒のメルセデス。これもまたスポンサー露出。
最終回も守護神・益田がしめてゲームセット。見事にマリーンズが勝利をおさめた。
両軍あわせて4本の本塁打。なかでも「アジャ」こと、井上の体格同様にどでかい本塁打はすごかった。これが今季初の本塁打でお立ち台も初めて。
めでたしめでたし。

ボールパークはすばらしい、スポンサーもすばらしい
スタジアムでNPBを観戦したのは3年ぶり、こんな間近な席で見られて大変ありがたいことだった。プロの力、ワザというスポーツのもつ迫力はもちろん、
やはりNPBは、別格のコンテンツ。観客も、スポンサーも桁違いに多い。平日夜、緊急事態宣言下、毎日やっていても4,600人集まる。
エンターテインメントとしても確立されているうえに、あぐらをかかずに努力を続けている。
いくつか企業名を紹介してきたが、Jeepとメルセデス、マスターズドリームと黒ラベル、一番搾りと、同一業種の広告が出る。これ、必ずしも競合会社に対して排他的にならず、複数の企業が広告を出すということは、それだけ企業側にとって価値を提供しているということでもある。
子ども向けの企画など、実施したくてもコロナ後までガマンしなくてはならないものがたくさんあるという。
来週には、新たなスター候補である佐々木朗希の一軍登板も予定されているとか。
目下も観客数の制限がどうなるかは予断を許さない。現場もその都度対応をしていかなければならず不平の一つも言いたくなるだろうが、スタジアムのスタッフたちは明るく、5千人弱の客を見送ってくれていた。
マリーンズ、これからも応援したい。ワクワクする環境、雰囲気を作ることはファンにもできること。
日産スタジアムでも、楽しそうに振る舞って、たくさん飲み食いして、ゴールには大いに沸いて、盛り上がっていきたいなと思った。