マリノスにシャーレを 2024

横浜F・マリノスのスポンサーを目指して脱サラした頭のおかしい3級審判のブログです

あの1on1に松原健は勝利していた【J1第9節△柏戦1-1】

もしも本当にオルンガが怖いのならば。マリノスは、いや指揮を執るアンジェ・ポステコグルーは、守備に割くリソースを増やす、つまりサイドバック達にも守備での貢献を求めればよかった。今でもそう思う。

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だがボスは言った。相手は関係ない。自分たちのサッカーをやるだけだ。半沢直樹と再び相対した大和田常務が、お前と組むなんて死んでも御免だと言ったのに近い。オルンガだからではない。それがモハメド・サラーでもラヒーム・スターリングだとしても引かないと決めているのだ。オルンガが来るからいつもよりも守備の枚数を増やすなんて死んでも御免。サイドバックがいつものように上がるために、最終ラインに残るのは2枚のセンターバックになるのもいつものことだ。それが誰になるのか。右側の松原健なのか、左の畠中槙之輔か。柏が狙ってきたのは右、彼らから見ると左側にオルンガは流れてきて長いボールを蹴ってきた。

 

そんなの「本職のCBでも難しい」ミッションだって? 長身のオルンガの高さに対策するならば空中戦に強い伊藤槙人の起用もありだろう。だが、当然のことながら、長いボールだけではない。足元でも受けられるし、背後を狙われたら瞬時に反転しなければならない。もし後手に回ったら即命取り。ひりつく1on1の始まりだ。

 

結論から言えば、62分にオルンガの単独突破を許してしまい失点する。そのきっかけに松原のキックミスがあったことは事実である。その後、畠中も左右の揺さぶりに対応できず、CB2枚で失点を防ぐことはできなかった。

 

で、それがどうした。

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強がりでも開き直りでもない。あれを決め切ったオルンガのプレーはやはり見事だった。でも、あのシーンだけだ。それ以外では松原の守備は見事な一言だった。飛車角落ちがどーのこーの書いた人が居たそうだが、どこをどう切り取ればこの日の松原のプレーを悪く言えるだろう。

 

いつもより自分の意識の中で、守備に軸足を置いた部分はあったはず。サイドバック時に攻撃参加するときとはリスクの重みが違うから。ただJ1で本職のCBたちが死屍累々とオルンガに蹂躙される中で、ケニー松原は大健闘した。オルンガが苛立つ素振りを見せたことも一度や二度ではない。先制のシーンだけはネルシーニョが待ち続けていた展開そのものだったが、思い通りに行っていなかったのは先制した柏の方だったかも。畠中がガシガシと縦パスを刺す。1ボランチだった喜田拓也も前を向き、ボールを散らす。前半の間で1〜2点取れていてほしい。GK中村を中心にラストパスを封じるところで集中力を切らさない守りは仙台とも通じるが、ともかく取りきれなかったのはここずっと変わらないマリノスの課題だ。

 

失点直前に入ってきた3人の選手たち。マルコス、エリキ、エジガルジュニオに代わって、扇原貴宏、オナイウ阿道、そしてJ1初出場の松田詠太郎が加わって再び攻撃が活性化される。松田がボールを受けたときの何かやってくれそう感は、4年前の遠藤渓太デビュー時を思い出すではないか。相模原で経験と結果を積んできた分今の詠太郎の方が上かもしれない。

 

右サイドに張った詠太郎にボールが集まるシーンが増える。78分の同点劇の際は、囮となってラインを押し下げてハーフレーンを埋める天野純の足元へ。そのボールを阿道のためのスペースを作りながらパスを渡す巧みなプレーでチャンスをお膳立て。

 

ここで阿道は、DFにコースを塞がれながらもつま先で浮かせるとタイミングを外すような素早い振りでシュートを放った。これが中村の予測を上回ってネットを揺らして同点となった。

 

プラン通りに前線の強力なFW頼みで先制しながら、しかも厳重にゴール前を固めながらもこじ開けた意義は大きい。勝点3を取れていてもなんら不思議ない内容だった。それだけにまた川崎との差が開いてしまうという事実も重いのだけれど、確実に連携は高まり、やらせない致命的かミスも減り前に進んでいる。

 

一部の心ない報道で見られたような感じは私はまったく受けていない。むしろ逆で、とくにケニー松原の奮戦は予想以上で感動的だった。ネジが外れかけたケニーの良さとポテンシャルの高さが存分に出たと言えるだろう。それだけに心ない見方が意外ですらあった。

 

何名かの入れ替わりが進んだ。レンタル移籍を選んだ前貴之、杉本竜士、オビの奮闘を祈りたい。一方で前田大然と松田詠太郎さらにジュニオール・サントスを加えたウィング陣はどの組み合わせがいいのか、楽しみである。

 

チアゴもまもなくと聞く。大分戦からは15連戦も始まる。ここからが正念場である。ブログもこのペースでは到底ダメで、変革が迫られている。でも繋いだ手は離さないのである。