忘れないように。色褪せないように。形に残るものがすべてじゃないから。
この言葉を、今日の記憶をとどめておきたい。
さあ、途切れたJ1が戻ってくる。僕らはきっとサッカーをものすごい勢いで消費し始めるだろう。何しろいつもの半分の期間で残り33試合のリーグをやるんだ。目まぐるしくなるに決まっている。そうなったら、今の再開直前のえも言われぬ不安など埋没してしまうだろう。
こんな未曾有の、そして二度と起こってほしくないシチュエーションだからこそ、僕たちはサッカーやマリノスの愛を再認識し、それぞれで考えた。この待ちくたびれた心には何重にも毛布がかけられていて、そっとそれをめくると下には、初めてJリーグを観た時の鮮やかな気持ちが蘇る。ただの再開じゃない。リモートだったとしても、Jリーグがそこにある幸せ。「過去の名勝負」を繰り返し見ても味わうことのできない、結末の知れない未来の試合への憧れを胸に、僕たちは再開のホイッスルを待っている。
僕も長く覚えているから、あなたも覚えていてほしい。この愛という言葉でしか言い表せない感情を。
よくやったよ、リモートカンファレンス(呆)
J1再開を前にした、リモートカンファレンス決行。よく企画したよね(呆れ顔)。DAZNの生中継、原さんの選手たちに語りかける内容、声良かったなー。全員のお父さんのような愛がこもっていて素敵だった。例年2月の開幕前に、監督と選手1名を集めて行われるキックオフカンファレンスがあるが、4ヶ月もの中断期間は実質2度目の開幕のようなもの。盛り上げるぞというリーグ事務局側の意志に全クラブが応えたのがいいじゃない。コロナの不安を抱えながらも、それでもなお期待を隠しきれない選手たち。嬉しそうな原さん、いいじゃない。
仲川輝人と山中亮輔の腹の中を探り合うような「試合に出られたら山中選手に負けないようにがんばります」は、完全に棒読み。この2人、ぶつかり合うだろう。2年間のマリノス在籍時は左SBでほぼ常時試合に出て、大きく存在感を高めた山中と、当時はまだ試合に絡むことすらなかったテルも今やMVP、リーグの顔だ。こうしてチームを代表してバチバチやる姿が頼もしく、愛おしいではないか。
直接での下馬評はテルの攻撃力が優る、一対一ではヤマちゃんの対応に難ありとの指摘があるが新米パパの奮起は果たして。
浦和対マリノスはよきカード
そう、マリノスの再開初戦は埼玉スタジアム2002。略して、俺たちの埼スタ。愛称、浦和レッズサポーターからすれば蔑称との怒りを買いそうだが、リーグ戦通算はマリノス11勝、浦和3勝、引分4。得点数はマリノス31、浦和13。ここ3年は、すべてクリーンシートでマリノス3連勝という相性や風水だけでは説明のつかないほどの差がついている。マリノスからすれば初戦で腕が鳴る舞台である。
さは言え、浦和は今季リーグとルヴァンで2連勝。レオナルドってどうよ。私たち他サポはついJ2あがりの怪物というとオルンガに気を取られがちであるが、得点王はこの男である。しかもチャンス数で言うと、彼のいた新潟は柏ほどの機会を彼に与えていない。史上初の3カテゴリー連続得点王を狙うという看板を見逃してはいけない。そこに8年連続二桁得点の老獪な興梠と、開幕は出遅れたが実力のある武藤雄樹がいる。個人的能力は極めて高い。
オリジナル10同士であり、今季ACLの戴を目指すマリノスにとってはアジア制覇2回の相手は絶好の相手。
注目、セカンドボールを拾うのは
GK 西川
DF橋岡 デン* 岩波 山中 *…鈴木?
MF関根 柏木 柴戸 長澤
FW 興梠 レオ
FW エリ エジ 仲川
MF マル
喜田 扇原
DF ブン 畠中 實藤 松原
GK 梶川
スタメン予想は困難だ。浦和は町田とのTMをベースにして考えればいいと思うが、マリノスは動静が伝わっておらず、全然違うメンバーかもしれない。
だがそれはともあれ、一つの注目ポイントは喜田、扇原と、柏木、柴戸のボランチ同士の攻防。ここでセカンドボールを回収すること、また攻守がここで切り替えられるのかどうか。ここでプラスを受けても奪い返されずに前進できるかどうか。ボール支配率にも変わってくるだろう。支配し続けたいマリノスと、ガンバのように?プレスでハメたい浦和。
ここポイントの1つ目だろう。
60分と30分
昨年リーグ戦の時間帯別の得失点を見てみよう。
1〜 16〜 31〜 46〜 61〜 76〜AT 合計
マリノス 得 9 9 13 6 14 17 68
失 10 2 2 6 8 10 38
浦和 得 4 5 6 2 6 11 34
失 5 6 4 6 14 15 50
後半15分以降、トータルでいう60分以降に得点が増えるマリノスと、失点の増える浦和。これが今季も当てはまるなら、マリノスにはありがたいのだが果たしてどうなるか。
ポイントとなるのは、再開初戦でコンディションが向上途上ということと、交代枠の拡大だろう。各国でも同様のことが起きているが選手のスタミナ低下によって、「オープンな展開」になってしまうのが速い。チームによる差はあるものの、おおむね60分からだろう。疲労や、プレーができる範囲の負傷にどこまで先手を打てるか。
(途中まで調べてまとめきれなかったが)ポステコグルー監督の交代は遅めである。1枚目がラスト15分を切ってからということもよくある。ベンチにいる選手のタイプということもあるが、ビハインドでも早めに交代カードを切ることが少ない監督である。
それが今年は5人変えられる。ベンチ7人中5人というのは大きい。選択肢も、選択の時間も広がる。浦和の選手層も厚い。阿部や青木や槙野などが控えているとすると、こうした守備に優れる選手の投入で終盤の失点を減らすこともできるのかもしれない。
「前半60分」と「後半30分」とを分けて、どう戦うのか。交代の采配にも注目したい。
遠藤渓太、天野純らスタメンを奪いにかかる選手たち
今回はベンチスタートと予想したが、遠藤や天野はもちろん先発で出ても何ら不思議ではない。私の予想が当たるなら、まさに60分あたりから出てくるのではないか。そこで目に見える結果が欲しいに決まっている。
また個人的に早く見たいのは、J2からの成り上がり組である。仙頭啓矢、前貴之、杉本竜士、山本義之はまだ公式戦での出場はない。覚悟を持って、前所属のレギュラーポジションよりも大きなものを取りに来た選手たちの熱いプレーは掛け値なしに楽しみである。一足先に實藤友紀がJ1再デビューしそうであるが、シーズンはこれから始まるようなもの。
大量ゆりかご待ちです
中断期間中にマリノスファミリーが増えた。渡辺皓太、畠中槙之輔、實藤、水沼宏太、天野に子供が誕生したが、さらにエジガルジュニオジュニオも生まれている(言いたかっただけ)。みんな、おめでとう!!
畠中家などすでに生後4ヶ月。ゆりかごダンスを待たされた分、一気に浦和さんに食らっていただくかはともかくとして、(山中にもおめでとうと言いたい気持ちはある)さらに張り切っているパパたちの活躍をリモートで後押ししたい。
戻ってくる。ついに。
この喜びに優るあらめや。