マリノスにシャーレを 2024

横浜F・マリノスのスポンサーを目指して脱サラした頭のおかしい3級審判のブログです

月と鼈、マルコスとK

文武両道という言葉が大嫌いだった。文武両道を目指すヤツがいけ好かなかった。運動ができるやつは女の子にモテる。せめて成績は悪いべきだし、両方できるやつはそうは居ない。絶望的なまでに足が遅く、運動神経のない私はテストの点数でしか抗えなかった。だから余計にもてなかったし、運動音痴な芸人を集めて笑う番組が遺伝子レベルで許せないのである。鼈(すっぽん)な私は、いつも月を見上げていた。きっとみにくい表情で。

 

子供の頃は、「サッカーが巧ければ巧いやつほど勉強していないのだからろくな大学に行けない。モテるやつほど苦労を知らないから性格は悪いに決まっている」と本気で思っていたし、よもやそんな発想をするネガティブな自分が最も性格が悪いということは想像だにしていなかった。ああ、やだやだ笑。

 

サッカーの巧いブラジル人は巧いほどにヒャッハー体質で、練習を真面目にやらないとか、下手くそな日本人ほどコツコツと練習をするとか、思っていそうな若かりし自分がもし、今目の前にいたら。

 

マルコス・ジュニオールの銅像を作って、その金型で殴打したい。マルコスが挙げた得点の数、13回と、離脱している盟友エジガル・ジュニオの11得点分もおまけ付きで。

 

順応性が高く、勝利への渇望が強く、ゴール前では誰よりも落ち着き、ハードワークを惜しまず、ピッチの外でも努力を怠らない。

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そんな選手が今、優勝争いの只中にあるチームの中心にいる。プロの鑑であり、良い影響しか与えない。

「朱に交われば赤くなる」という言葉は環境によって人は左右される事を表す。間違いなく今のマルコスは、途中加入の陽気なブラジル人選手にも好影響を与えている。(もちろんマルコスだけの功績ではなく、チームの雰囲気そのものがマルコスを鼓舞している)

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とはいえ、マルコスも最初からマルコスだったわけではないと、トリコロールタイムズというホームゲームの際に配布されるマッチデイプログラムのようなフリーペーパーのインタビューで告白している。

 

親元を離れた頃の回想、サッカーに真剣に向き合っていたわけではなかった日々。でも人の導きもあって、今のマルコスの姿勢に変わったのだという。これも環境のおかげだ。環境にまったく依存しない人間などいない。ともかく、実力と人間性を高いレベルで備えるマルコスは生まれた。

 

 

ここで蘇らせる記憶。理解を深めるための禁断の比較。

「ではなぜ、カイケはカイケだったのか。」文武両道を許せなかった狭量な私には理解不能だったろう。不両道もしくは不良道だったカイケ選手の影響が大きい。

 

下手でもいい、一生懸命ならば。

サボり癖があるのは仕方ない、でも彼はやる時はやる。このどちらかなら許せたのだ。でも、実力も、やる気もなかった。いや、ルヴァンカップの大宮戦のあの一撃を除けばね。それでも1億円は、払えない。今なお返して欲しい。プレーのDVDでは人柄は到底分からない。そんな当たり前のことすら、分からなかった。

 

そしてあとから知らされる3年とも、4年とも言われた複数年契約という呪縛。その後はディスカウント・レンタルにより、自らの年俸負担を減らすしかなかった。

彼は、救世主のように崇められて来日した。だが、当然のことながらチームにはチームのやり方があり、馴染めなかった。馴染もうとも思っていなかった。高額なサラリーそのものが目的化してしまい、Jリーグで自己を向上させる気がなかった。周りのブラジル人選手も、彼の態度を改めさせるどころかむしろ引っ張られて行ってしまった記憶すらある。

 

信頼が生まれることはなく、ベンチから外れればチームの試合中にもかかわらずSNSにプライベート写真を投稿。練習にも参加させてもらえず、そして不良債権へ。

 

マルコスの銅像が建つ、ほんの3年前に同じプロチームで起きたことである。

 

で、今。エジガル・ジュニオとエリキ、マテウスも皆レンタルで、当時のカイケが完全移籍だったというパラドックス。いや、アレに懲りた教訓が活かされているのかも。

その中で唯一、完全移籍、つまり完全にマリノスの選手であるのが、マルコスなのだ。

だからこそクラブ史に残る暗黒写真を、あえて今、このブログにも載せよう。ともに笑おう。マルコスがついている俺たちだからこそ、この写真を見つめ直すことができる。

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フィジカルチェックを受ける救世主。ただ笑っているだけなのに人柄も素晴らしいと公式は伝えた。

 

『マルコスはF・マリノスの偉大な選手だったな』と思い出してくれれば。そうなれたら、嬉しいですね。

 

むう。本気で言っている高潔性。

 

あの時があったからこそ、マルコスのありがたみが分かる。アレすらもクラブの引き出しの1つとすればいい。

 

マルコスにも良い時もあれば、悪い時も来るだろう。ただ、このマルコスは、そんな時こそ応援したくなると思うんだけど。

 

2019年の残りも、2020年も、そのまた先も、マルコスにVAMOS!と声援を送り続けたい。

勝利とタイトルの記憶とともに、マルコス・ジュニオールの名を語り継ぐことを誓おう。

 

子供と一緒に撮ってくれた写真は宝物にします。