マリノスにシャーレを 2024

横浜F・マリノスのスポンサーを目指して脱サラした頭のおかしい3級審判のブログです

人生はかかる。己の証明のため【YBC第1節・札幌戦 展望】

「カップ戦要員」とは、リーグ戦では試合出場の少ない、もしくはまっまくないメンバーのこと。リーグに比べてプライオリティの下がるカップ戦において、一つはリーグ戦に出場している主力選手の過密日程を避けるために、もう一つはその選手自身が試合勘を養いながらチーム内の下剋上をうかがために。

マリノスで、ルヴァンカップでは当然のように直前のリーグ戦からほぼ全メンバーが入れ替わるようになってからもう5年ほどになります。エリク・モンバエルツ監督が就任初年度に「ナビスコ杯(当時)を軽視するのか」という批判を受けながらもこの改革を断行しました。その後、当たり前となり、昨年は決勝まで進出しました。捨ててなんかいません。あまりにも貴重な真剣勝負であり、新戦力を登用する場となっています。

リーグ戦のメンバーは11人と、サブに7人。すなわち、完全なるターンオーバーならばベンチ外のメンバーにだって必ず先発が巡ってくる計算です。

 

ルヴァンカップでのハイパフォーマンスが評価されて、リーグ戦でのスタメンを奪回する選手は毎年必ずと言っていいほど現れます。でも、近年で最も立場を変えてみせたのは仲川輝人以外にいないでしょう。昨年の3月7日、ルヴァン初戦の瓦斯戦ではベンチ外。いや、何しろ当初は紅白戦にも出してもらえなかったと言います。それがルヴァンのベンチ入りを経て、「人生をかけた」4/18、瓦斯との再戦で初先発。ゴールこそならなかったものの、怪我に泣かされた日々を振り払うかのように右サイドをかけ続け「仲川」の可能性を感じさせました。それが実って3日後のリーグ戦でベンチ入り、さらに3日後には初先発。

 

その後の活躍はご承知の通り。今や仲川のいない右サイドなど考えられないほどになりました。ターニングポイントは一瞬。そこに至るまでの努力と苦労そのものにスポットが当たることはなく、今も同じ気持ちで走り続けているはずです。

 

俯瞰的に見れば、今季の攻撃サッカーをリーグ戦以外のメンバーがどこまで再現できるのかな、が興味です。週末の川崎戦に契約上、出場できない三好康児も今夜はスタメン出場の見込みで、「キーマンである三好がいない時にどうなるの」という最大のトピックの答えには、まだたどり着かなそうです。三好以外の10名の選手は、今季初スタメンとなるでしょう。

 

己の立場を、いや、人生を変えられるか。ルヴァン杯の半分は、そんな野心でできています。

生え抜き最年長のセンターバックには、昨年、開始早々に怪我をした苦い思い出もあります。昨年はスタメン出場の多かった働き盛りの選手たちは名誉挽回のチャンス。初出場の守護神は。怪我で出遅れた左サイドバックの仕上がりによっては、リーグ戦のスタメン争いは再度激化します。

 

野心とは、成り上がりの欲求。その野心で鹿島を上回ったが、さらに湘南の野心が上だった昨秋の後悔。ちょうど日本代表が最強と謳われたイランを降し、決勝でカタールに足元をすくわれたのも、野心の差があったのかもしれません。今夜出るメンバーに、昨年のテルのような覚悟と野心はあるか。

 

ルヴァン杯のもう半分は「若さ」。ご存知、21歳以下の選手起用を義務付ける規定は今年も健在です。若手選手を大量にレンタルに出したマリノスは、原田岳、山田康太、椿直起、山谷侑士の4名のみが該当しますから、このうちの最低1名にはメンバー入りのチャンスが巡ってきます。野心のある若い選手には、これ以上のチャンスはないでしょう。

 

準優勝の悔しさを晴らす方法はただ一つ。ただし、また、一歩ずつステージを上がるしかありません。宿願のタイトルを目指すもう一つの戦い。それが日曜のビッグマッチの行方にも大きく好影響を与えることを願います。