マリノスにシャーレを 2024

横浜F・マリノスのスポンサーを目指して脱サラした頭のおかしい3級審判のブログです

1点目のそれを見た時に思った、おいおいシティかよ【J1第16節・仙台戦】

スイッチを入れたのは伊藤翔だった。

後ろ向きに受けたボールを何の迷いもなく、ワンタッチで戻す。素早くやりきれ。そんなメッセージが明確に込められていた。

受けたのは喜田拓也。これもワンタッチで、5レーンの最も左を走る遠藤渓太の前方へ送る。ほぼ独走状態で受けた遠藤は、ペナルティエリアに侵入してきた仲川輝人ではなくその後ろにいるフリーの伊藤翔にグラウンダーの、マイナスのクロスを送ったのだ。

 

ダイレクトでシュートを打つも、GK関に当ててしまう。だがそこには、天野純が待ち構えており難なくゴールにバレーを叩き込んだのだった。

 

開始わずか1分あまり。電光石火という表現が相応しいカウンターアタックだった。オートマティズムな連動に加えて、その後も1対1でも仙台の守備は後手に回り続ける。完全に掌握した状態でのフルボッコが90分続いた印象だ。

 

酷暑の中、仙台のプランは後半勝負だったのだろうか。試合への入り方を間違えてしまい、気付いた時には取り返しのつかないことになっていた。再開初戦ならではの落ち着かない感じがマリノスには吉と出て、あちらには大凶と出たのだろう。

 

長崎戦の5得点と、この試合とを連続させて見ると、やってきた方向性は正しく、結果がついてきたという評価があるがちょっと違う気がする。

長崎戦はセットプレーから3得点、この日は作った決定機の多さがそもそも違う。相性とコンディションは仙台の時の方がハマっていた。立ち上がりに得点が続いたのは、1-0になっても仙台が自陣に撤退して、まずは裏を消そうとしたからではないだろうか。それくらいダイレクトパスのみによる遠藤の左サイド突破は、仙台に恐怖を与えたのだと推測する。カウンターを喰らわないためにまずは撤退というのは乱暴だが、事実として5バックとなり裏のスペースを消しにかかっていた。

 

だが、マリノス相手にはやってはならない対処法だったと思える。混乱している上にハイプレスが効いているから、またもやミスを誘発。で、何度か見直して、あ、なるほど!という「約束で決められた効果的なポジション」に選手がいるから、得点につながる。この効果的なポジションを取れることが、戦術の習熟と言えるのではないだろうか。

 

8得点は偶然ではないが、相性によるところが大きいと思う次第。「第1次マリノス対策」を上回ったことで、次は対策が進化するのだろう。

私が名づけていいのなら、今のマリノスを「機動破壊」と呼びたい。もとは高校野球で流行した、健大高崎の盗塁を絡めた上での集中攻撃を讃えたネーミングだが、マリノスの場合は単に足の速い選手を揃えたという意味だけではもちろんない。

シンプルに、縦に早くを、ポステコグルー監督風にアレンジし完全に相手の守備を崩すというコンセプトに立つと、機動破壊という言葉がしっくり来る。

 

天野純が春先に言っていた「手のつけられない圧倒的なサッカー」にたどり着けるのかは不透明だが、中断期間中に積み上げたものに自信を持てたのは何より大きかったのではないだろうか。

 

伊藤翔のハットトリックはマリノス加入後初で、翔さんとウーゴののろけあうようなコメントの応酬も素敵だ。

天皇杯での出来が少し心配だった山中亮輔は凄まじいミドルシュートを叩き込み、仲川は着実に決定力をあげている。遠藤も扇原もイキイキ。セットプレーの余計な失点だけは気をつけたいが、8点も取ると地上波でも取り上げられるんだなぁというのも、収穫の一つ!

 

台風の目になれるか、マリノス。次の2位、瓦斯戦は試金石となる。