4万人を超える観衆が見込まれる。天気は良好、最高気温24度の予想、日曜17時のキックオフはやや遅いけれど、好条件が揃う。
横浜対川崎の同県対決とカードも良くて、昨年に一定の成功をおさめたユニフォーム付きチケットの前売りが良好だからだ。もう一度言おう、好条件が揃う。
それなのに、マリノスさんときたら、4万を超えるような大観衆の試合が苦手。大観衆となると極端に成績が悪くなるのだ。誠に厄介なジンクスを背負いこんだもの。このご時世、娯楽は多い。その中で営業サイドがあの手この手を使って、スタジアムにたくさんのお客さんを集めてくれたわけだ。当然、なかには一見さんも多く含まれる。その人たちが、また再び貴重な週末を日産スタジアムで過ごしてもいいなと思ってくれるかどうか、いやまたこの興奮と感動を味わいたいとリピート来場を熱望してくれるかどうか。そこに直結するのは、この試合の勝敗だけではなく、どう魅力あるサッカーが目の前で繰り広げられたかだろう。
この試合、ジンクスを吹き飛ばすように勝ちたい。何がなんでも勝ちたい。内容と結果で魅了して、人々が等々力ではなく、新横浜を再び訪れるようにする。これが、このようなちょっと特別な試合のミッションである。しかしながら、昨今の川崎は強く、ACLでは余裕たっぷりに8強進出を決めている。
同じミッドウィークにこちらはルヴァン杯敗退が決まっている。戦う舞台も、結果にもコントラストが生まれてしまった。
差があるのはやはり攻撃力だろうか。けが人が続出していた川崎だが、ACLで中村憲剛が復帰し、パスサッカーは鋭さを増すだろう。
一方のマリノスはどうか。
ウーゴ ヴィエイラの1トップに、左右を入れ替えたマルティノスと齋藤学。中央のトップ下には前田直輝が先発の見込みだ。伊藤翔が肉離れで離脱したため、富樫敬真や仲川輝人が控えに入るだろう。繰り返し書いているように、天野純と扇原貴宏の2ボランチは、つまらないミスを避けたうえに、リスクを取って攻撃参加したい。中村を経由するのが特徴な川崎の攻撃を、この二人でよいプレスをかけられるかが鍵となるだろう。
直近の直接対決は、思い出したくもない。
日産では為す術もなく、チャンスらしいチャンスが作れぬまま、0−2で敗戦。等々力での再戦は、ATにマリノスが2点差を追いつく意地を見せるも、最後の最後に川崎に勝ち越しを許す。単に劇的な勝利を演出しただけになってしまった。だが内容では、日産のときの敗戦を大きく上回っていた。
もし、もしも、報道されていたように齋藤学が国内移籍を選んでいたら、その移籍先が川崎だったとしたら、この戦いはどうなっていたのだろうか。齋藤学ダービーと、また阿呆な名前がついていたのだろうか。
歴史は、そうはならなかった。学はマリノスの10と、主将を選んだわけだ。複雑な思いが学の胸中にあるかどうかは知らないが、なおさら絶対に勝ちたい相手だ。
勝ちたい、大観衆の前でただ勝ちたいだけだ。勝利が第一、内容の話は後でいい。ウーゴの決定力で勝負だ。