今年もマリノスにシャーレを 2020

シャーレを掲げることは難しく、守ることはさらに難しい。連覇に挑む2020年、アウトサイダーではなく本命として、今年もシャーレを掲げよう。座右の銘はシャーレです。

「もう誰にも止められない」後半戦【J1第34節・FC東京戦○3-0】

試合前に買い過ぎた喜作のソーセージを頬張るハーフタイム。1時間並んだ末に買ったから止せばいいのに、友人と二人で4人前を頼んだ。2-0という状況に緊張が緩んだわけではなかったと思うが、ともかく冷えかけたソーセージは喉を通った。

 

試合終了まで、あと45分。この時考えていたのは久保建英のことだった。

なぜか。久保建英が移籍してからFC東京は徐々に下降線を辿ったと私は考えている。それだけ18歳の存在感は圧倒的で、ついに最後まで穴が埋まることがなかった。それに対して、マリノスは夏の移籍市場でギリギリまで小倉勉SDが粘った。獲得したエリキ、マテウスの活躍は今さら書くまでもない。彼らが居なかったならば、真夏の連敗からさらなる泥沼にはまっていた可能性は高い。その強化部の動きが今になって明暗を分けたわけだけれども、久保がスペインへ渡るさらに1年前へと思考を遡らせてみた。

 

あの夏の日、瓦斯に5失点、広島にホームで4失点を喫した後、神戸でのアウェイ戦だった。マリノスの建英として、プロ初の、そしてマリノスでは唯一のゴールを叩き込んだこの試合で、敗れていたらボスは解任されていたと言われる。どこかのチームのように、改革を断行する過程の痛みに耐えきれないというのはよくある話だ。

 

マリノスを褒め称える論調の中には、残留争いに巻き込まれてもブレずに攻撃的サッカーを志向し続けたからだという指摘が多いが、真実は紙一重だったと思う。人は結果が出てから判断するものだ。だから勝てば官軍。「はじめから優勝できると分かっていました」という怪しい言葉さえも説得力を持つ。

久保建英が両クラブにもたらした数奇な浮き沈み。もしも今、建英が敵としてこの日産スタジアムのピッチにいたならば…。あるいは順位は逆のままだったかもしれない。

 

優勝を待ち侘びているのは確かなんだけれども、この強く楽しく気高いマリノスを見られるのがあと45分しかない事実が寂しかった。その寂しさの方が上回っていた。45分、焼き付けよう。最高のチームのラストを、星3つのユニフォームで戦うラストを。

 

スコアは2-0でリード。試合前よりもさらに有利な条件で後半戦を迎えた。

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瓦斯2枚替えで後半スタート

東とナサンホに替えて、田川とユインスを投入してきた。 とにもかくにも、今一度強度を上げてプレスにかかる。そのプレッシャーもあってか、48分には松原健がヘディングでパクイルギュに戻そうとしたボールがそのまま田川へ渡るというミス。田川はこれを左足でダイレクトで打ったが、目の前にいたパギにブロックされてしまう。またもや、このようなチャンスを活かせない。

 

58分には神出鬼没の高萩のヘディングもあったが、これはティーラトンがクリア。マリノスの集中力は素晴らしく、瓦斯に付け入る隙はないように思われた。

 

パギ、痛恨の退場も

もう無風で終わるのかなという呑気な想像を吹き飛ばす、チャンピオンシップをとるための最後の試練がやってきた。

またしてもヘディングのバックパスミス。今度はチアゴ・マルチンスだった。はっきり言って珍しいミス。それを狙う永井とクリアに飛び出したパギが接触し、パギが永井を蹴ってしまう。

当初はノーファウルの判定が、イエローに変わり、さらに副審との競技の結果、時間を置いてレッドに変わるという判定の変更があった。これはもう覆らなかった。DOGSOは、やはり厳しい。エリアの中ならPKとイエローだった。残り時間、10人。わずかに不穏な空間。

 

16年前の優勝決定戦で、榎本哲也が退場してしまった時のようにベンチコートに顔を隠すようにピッチを去るパギだったが、中林洋次には「準備はできていた」という。飯倉の完全移籍を受けて、急きょ広島から期限付き移籍でやってきた男に、突如訪れた初出場、かつ優勝決定のピッチへの出場だ。

 

中林を入れるために下げられたのはマルコス・ジュニオールだったが、この時のマルコスの態度も素晴らしかった。深々とピッチに向かってお辞儀をする姿は部活の高校生のように清々しく、結果としてチームの一体感をさらに高めたようにも思う。

 

「奇跡なんて起こさせない」

 10人になって劣勢になるかと思われた。リードしているのだから、人数が減れば守るのが普通だ。でもマリノスは違う。

 

瓦斯のボール保持時間が増えたところまでは仕方がない。マリノスがラインを下げないから瓦斯もしつこく裏を狙う。ただし足をギリギリ伸ばすと届くところまで、いつもチアゴ・マルチンスが立ちはだかる。中林も落ち着いてゲームに入っていた。和田拓也と並んで、真面目で実直な広島ブランドじゃけえの。

 

4ー0での勝利なんてそんな奇跡は起こさせない、というNHKの試合前に放送された遠藤渓太のインタビューを今見直しても泣ける。ホームグロウンで五輪を狙う生粋のトリコロールには、そんな涙もろい保護者のようなサポーターが山ほどついている。そんなサポーターを歓喜させたのは、言葉だけではなく、実際に狙っていたからだ。パギ退場で瓦斯に傾いた流れを引き戻す一撃を。俺が、決めると。

 

高萩がエリア付近でオフサイド。このオフサイドを取りに行ったラインコントロール自体も素晴らしく、まさかオフサイドを取られると思っていなかったのか、高萩は一瞬集中を切らせる。高萩だけではない、知らない間に裏を取られていた右SBのオジェソクもだ。スタンドからは見えていた。いち早く動き出した渓太と、それを見逃さずにリスタートしたティーラトン。

 

懸命に戻る相手DFを左足裏を倒すフェイントでかわすと、左足で林の腋下を狙った。間一髪、防いだように見えたが、止めきれなかったボールはそのままゴールインだ。3-0。完全に、完璧に行方が決まった瞬間である。

 

「俺たちが横浜、もう誰にも止められない」。圧勝を確信したときにのみ歌われるこの歌が、スタジアムにこだまする。気がつけば、陸上トラックのところにベンチ外だったメンバーたちも降りてきている。出場停止の扇原貴宏ももちろん、怪我を負った大津祐樹もいる。退場処分を受けたパギだけは、もう一度グラウンドレベルから下がる。

 

ああ、優勝が近い。エンディングが近い。

 

 

15年ぶり4回目の優勝なる

試合終了。新チャンピオン誕生。

扇原貴宏は一目散に喜田拓也に抱きついていた。この時に、喜田の涙腺が崩壊したという。

満員のホーム・日産スタジアム、頂上対決に完勝した意義はことのほか大きい。

 

セレモニーの準備で、チャンピオン・YOKOHAMA F・MARINOS と記されたゲートを見ただけでもうこちらは震えが止まらない。そこに選手たちがやってきて、この街にシャーレを!ヤーヤーヤーヤー!の歌声に合わせて踊り出す。こんな幸せな光景って…。

 

明治安田生命のトロフィー、村井チェアマンからは優勝シャーレを受け取る喜田キャプテン。泣いとるやないか。シャーレが横浜の空に輝く。優勝だ、俺たちは優勝したんだ。

 

扇原が、栗原勇蔵が、アンジェ・ポステコグルー監督が次々にシャーレを掲げていく。もう一度、栗原の手に渡ったかと思えば、彼の胸には背番号3。松田直樹のために天に捧げられる。

 

故人だけではない。パギが飯倉の、広瀬陸斗が天野純のユニフォームを着たように、三好、イッペイなど今季在籍しながらチームを去った選手たちのユニフォームも一緒だった。

 

ラスト11試合を10勝1分というのはリーグ史上でも最高クラスの戦績だった。破竹の勢いを生み出したのは、チームとしての一体感と、冒頭にも書いたあくなき補強の決断、そしてそれをフィットされた現場、個々の自信に満ちたパフォーマンスだった。

 

優勝の喜びを余すところなく記録しておきたい、記憶に留めたい。でも冷静な自分よりも、興奮と感動の瞬間風速の方が上だった。簡単に言うと、嬉しすぎてあまり覚えていない。なかなか日常では味わえない類の感動だった。幸せ、それに尽きる。

 

 

さらに幸せな背番号4の別れ

プロ入りから1クラブで引退を迎えられる幸せ。

ホーム最終戦でセレモニーを行える幸せ。

優勝という最高の結果で幕を降ろせる幸せ。

主将が優勝のスピーチで宝物と言ってくれる幸せ。

 

万雷の拍手と、勇蔵コールはひょっとすると優勝そのものの瞬間に並ぶほどの幸福感をもたらしてくれたかもしれない。

よそに移らずにマリノスに残った。試合に出続けることはできなかった。もちろんその葛藤もあった。

 

勇蔵の人間性も、取り組む姿勢も、ドラゴン久保と奥大介の喧嘩をバックドロップで仲裁したことも、500試合近くの公式戦をマリノスで戦ったことも。存在そのものが宝物だと、チームメイトが評した。

 

こんな幸せな結末ならば、オールOK。いいじゃないか。

 

ACL制覇と連覇に挑む

チームは1月11日に始動する。それまで短い休みだ。だがチーム作りは止まらない。ローン移籍中のエジガル・ジュニオ、エリキ、ティーラトンらの交渉によって打つ手も変わってくるだろう。J1レギュラークラスとの交渉も記事になっている。

 

ACLは厳しい組に入った。打倒マリノスで17チームが挑んでくるリーグ戦との両立は困難だ。近年、ACLを取った浦和や鹿島はリーグ戦で苦しみ、リーグを取った川崎や広島はACLでは結果を残せなかった。

 

この二兎を追いながら、二兎をつかめば偉業と言っていいだろう。来季、このサッカーがどのように進化するのか、強敵たちもさらに強くなるだろう。

 

 

仲川輝人、マルコス、喜田、チアゴは2019年のベストイレブンを受賞。この他の選手たちも本当に頑張った。王者にふさわしい。契約満了が発表された杉本大地が先発した4試合のことを忘れない。

 

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私のユニフォームは一足早く星が4つに🤩

我が家はマリノスで一つになれる。友人もたくさんできた。このブログを見てくれる人とも繋がることができた。

マリノスのことを応援してきて本当に良かった。

 

死ぬまでトリコロールを好きでいたい。

そう思っている。ありがとう横浜F・マリノス。おめでとう横浜F・マリノス。