マリノスにシャーレを2019

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

かつての代名詞、風格のウノゼロ。進撃の5連勝、首位ダッシュ©︎横浜駅広告【J1第32節・松本戦○1-0】

同じスコアであっても、美しいウノゼロと、見苦しいそれがある。この日のアルウィンは、前者であったと思う。
何が違うか。闘牛士が、牛をあしらうように一差しで仕留めるような流麗な戦い。「横綱相撲」と呼ばれるように対戦力士の体を受け止めて、がっぷり四つに組んだ上で寄り切るようなこの1点があれば十分であるという試合が、前者の「美しいウノゼロ」に分類されると考える。

露骨な時間稼ぎ。審判への異議、途中交代の遅延、精一杯時間をかけるリスタートのプレー。幾度となくクロスバーに救われただけの相手の決定力不足による完封劇。1点を取ったら、途端に攻める気を失くし、相手が焦って出てきたところに少人数で仕掛けるカウンター。止まる足、激減する運動量、青息吐息。これが私の定義する見苦しいウノゼロである。

リアリスティックに言えば、どちらも勝点プラス3、得失点差プラス1が加算されるだけ。けれども美しきウノゼロの先には、もっとよくなるという未来がある、と私は信じている。

今季32試合目で20勝到達一番乗りを達成したわけだが、この20勝のうち、ウノゼロは4回目だ。13節のアウェイ広島戦、16節のホーム松本戦、18節のホーム大分戦、そして再び松本戦である。容易いウノゼロなどない。だが必然的なウノゼロは存在する。

あまり好きではない表現なのだが、「いとも簡単に」先制点を奪うことができた。またも、またしても仲川輝人。前節の札幌戦で見せた「剛」のスピード狂ゴールに対して、今度は技で見せた一撃だったと言っていい。流れるようなカットインから、利き足ではない左足でそっとコースを狙ったファーストシュートが開始1分25秒でマリノスに先制点をもたらしたのだ。結果から言えば、この一撃は首位浮上のための値千金ゴールであった。

その後は、外周でボールを延々と回し続けるマリノスと、ビハインドにも関わらずそれを許す、つまり積極的にボールを奪いに来ない松本の利害が一致したようにも見えた。1-0では満足していないが無理をする必要のないマリノスと、0-1のままでは困るが2点目を失う方がもっと怖い松本。戦力で劣るチームが狙うのは、0-1の時間を長くして、どこかで1-1になるように勝負をかけることだろう。0-0だったならば、マリノスが焦れたかも知れない。反町康治監督のプランを、かすかな望みを早々に打ち砕いたテルの一撃はあまりにも大きかった。

ただ決して楽ではなかった。17分の松原健が5バックのちょうど中間点をグラウンダーで通して、テルがエリキに送ったボール。自ら回収して撃ったシュートは惜しくも枠外。CKではチアゴ・マルチンスがドンピシャのフリーでヘディングした場面もあったがこれも枠外。一方で、松本の唯一と言っていい決定機は、阪野がゴール前の混戦、あとはヘディングでボールを押し込むだけという危機に、畠中槙之輔が間一髪で頭を出してゴールインを許さなかった場面があった。

対応が一歩遅れたようにも見えたが、真横からヌッと頭を差し出して、そこに当ててしまう執念というか神の手ならぬ神の頭か。

それにしても喜田拓也と扇原貴宏の落ち着きと勝負強さ。あっ、タカのシュートはDFに当たった後にバーを叩き、ゴールライン上に落ちたし、キーボーのダブルタッチによる切り返しは、最後のシュートまで漕ぎ着けるも惜しくもはるか枠の外へ飛んでしまう。試合を決定づける事はできなかったのだが、この二人がいる安心感たるや。

マルコス・ジュニオールは守備での貢献が素晴らしかった。前半20分、サークル付近の相手トラップが大きくなったところ猛然と追うマルコスは足が引っかかって前方宙返りのように背中から地面に落ちた。自陣深くまでのプレスバックの姿は、観る者の胸を打つ。こんなスゴイチェイシング、欧州でもお目にかかれないだろう。

朴一圭の勇敢な飛び出しと、田中隼磨の無謀なチャージのコントラスト。あれは何度見ても警告対象だと思うのだが。とにかくパギは広範囲のエリアを守り抜いてくれた。

堅実な球出しでテルの良さを引き出す松原健。エリキをCFに回してから、右でマツケンとテルの苦労人ホットラインが復活したのも地味に大きい。
一方で左のティーラトンも時には中に絞り、時にはマテウスとともに左サイドの崩しに参加するなど、いろんな役割を一人でこなしてくれる。

エリキとマテウスにはやや消化不良の試合であったかもしれない。でも本当に、フィットしてくれている。フォアザチームの姿勢は、スタンドにも、画面越しにも間違いなく伝わっているよ。勝利への貢献、ありがとう。

途中出場の遠藤渓太は、「足元で受けたがるマテウスに対して、スペースにも抜けられる」と解説の岩政氏に評価されていて、マテウスとは違う特徴で松本守備陣を混乱に陥れていた。空振り2発はもったいなかったが、彼は残りの大一番での結果を残す仕事に期待したい。

残り15分で出場した大津祐樹は、とにかく相手を追い込みまくった。この時間で松本が一番やられたくないことをやり切る強さとチームへの愛は本物だ。
同じくATに出場となった怪我から復帰の渡辺皓太の復帰も大きい。本当に上手いし、足が止まっているなかでこんなちょこまかされたら、相手は嫌だろう。

いつもより外側のボール回しが目立ったから、これを退屈な勝利、マリノスらしくない戦いと捉えることもできる。が、実に強かだったと思わないか。最後に、ようやく松本が4バックに変えて、均衡が崩れかけた。でもマリノスのボール回し、本当に嫌だったはずだ。削り取られる体力、見せつけられる彼我のポゼッションの力の差。

ただし、中に入ったときに、複数人で挟み込むように奪うことは徹底されていて、それを崩したとしてもゴールを陥れることまではできなかった。松本の高い守備意識と我慢強さには敬服する。「これで勝点を拾ってきた」というやり方を貫いたのだ。


試合終了、5連勝。程なくしてFC東京(瓦斯)が引き分けに持ち込むのがやっとだったとの一報が聞こえ、チームの今季初の首位浮上は決まった。9試合前には勝点差が9あったが、逆に勝点で1上回るほどになった。でも、だからと言ってなんだろう。いま首位だからといって、再来週も首位でいられるかは分からない。

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市営地下鉄・横浜駅に仕掛けられた「リアタイ順位表広告」。首位浮上を誇らしげに伝えてくれている

たった数時間でこの更新、手書き。@signsshu さんの早業かつ美しきパフォーマンス。大阪から出張し、マリノスのユニフォームを着て文字を書き、そして崎陽軒のシウマイ弁当だけ買って新幹線でとんぼ帰りという美しき所業。この写真も残しておこう。

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残り3節時。「攻め続けるのみ」はお題目ではない、マジだ。

ムードは素晴らしい。6年ぶりのACLも決まった。が、この勝利に酔いしれている者はいない。頂点を目指す戦い。この道を、チャンピオンズロードと言う。眼前に行く手を遮る者は居ない。

だが追いすがる者がいる。
蹴散らさなければ。
王者だけが歩む道、チャンピオンズロードを渡り切る。

ここまで来たら、あと2つ勝つだけだ。
満員の等々力と、超満員の日産スタジアムへの帰還。横浜を見せつける。