マリノスにシャーレを2019

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

「勢いはマリノスにあり」は本当か

「上位3強による優勝争い」と言われてから久しい。23節で3連敗を喫した時は、川崎と広島にも抜かれて5位に転落したマリノス。この時、瓦斯との勝ち点差は9だからほぼ脱落しかけていた。そこから8試合で7勝1敗なのだから、当然マリノスが3強のうち最も勝点を稼いだチームであることは間違いない。

順位変動表を見ていただくと、逃げる瓦斯、一旦は追い抜いた鹿島、猛然と追い上げるマリノスという図式が分かる。瓦斯とマリノスが同じ濃い青で見づらくなってしまったので、読者諸氏のためにマリノスの順位を色付けするようになぞったら、うっかりこの後の順位まで書いてしまったことを深くお詫びしたい。いや、私の意志ではなく、神の見えざる手が書いてしまったように思えてならない。

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追い上げるマリノスを象徴する順位表。うっかりこの後の順位まで描いてしまった…。

アンジェ・ポステコグルー監督が10月の月間最優秀監督を受賞した際に、選考委員の福西崇史はこう言った。「攻撃的な勢いを維持」。
今最も勢いのあるのは、横浜FMだと岩政も言っていた。

「勢いがいい」「勢いがある」…実に曖昧な言葉だ。実態がない。そんな耳触りのいい言葉は危険だ。
2013年、J1第32節が終わった時、マリノスは優勝に王手をかけた。マリノスは勝利し、ライバルが軒並み勝ち点を落としたからだ。勢いはどう見てもマリノスにあった。でも逃した。勢いなんてその程度のものだ。

一体勢いとは、何か。勢いとは、攻撃力をそれとなく言い換えた言葉と定義すると、たしかにマリノスはリーグ最多得点という火力を誇る。得点王を含めて、2桁得点者がすでに3名。なるほど、派手である。未だに最多得点の称号が、私は落ち着かないのだが、皆さんは慣れただろうか。

得点順位 ①横浜FM 60 ②川崎 54... ④鹿島 52 ⑦瓦斯 44

他にもこんなデータがある。

PK得点 ①横浜FM 9 ②神戸 6 ③鹿島 5 ④瓦斯 4
シュート ①横浜FM 420 ②神戸 360... ⑧鹿島 326 ⑮瓦斯 272
FK獲得 ①横浜FM 627 ②名古屋509... ⑤鹿島 449 ⑧瓦斯 413

圧倒的ではないか、我が軍はッ!
このような攻撃力、火力の高さもあいまって、「勢い」があるということだろうか。

1試合平均のスプリント回数でも
①横浜FM 193 ②瓦斯 174 ③湘南 170 ④鹿島166
となる。これを勢いと称するなら、雰囲気としてはありだけれど、わざわざ高い攻撃力のことを勢いがある、と言い換えるだけの必然性を感じない。

では勢いとは、勝利の内容、勝ち方だろうか。「後半アディショナルタイムに劇的な勝ち越し点」とか、「先制、中押し、ダメ押しをした上で相手シュートを3本に抑えたグリーンシート」とか、「得点者がバラバラで5発完勝」とか、そういう勝ち方をしていると、確かに弾みがつきそうだ。「今後に勢いがつく勝利」などという。でも、曖昧だ。
薄氷の勝利は勢いがつかないと定義すると、鳥栖戦、札幌戦のような追い上げられ方、後半に運動量や支配率で相手に上回れる勝ち方は良いとは言えないことになる。

例えば瓦斯も、最下位磐田に押し込まれてなんとか1-0は、勢いがなさそうにも見えるけれど、アウェイ8連戦を勝利で締めくくって味スタに戻るぜというと勢いがつく勝利に思えてくる。

では連勝か。勝ち続けるチームには「勢いがある」。4連勝で、今節にも首位浮上をうかがう2位の横浜F・マリノスは勢いがありそうだ。

でもそれ結果論じゃね? 4連勝中で2位に浮上したチームの方が、残留争いに苦しむチームより勢いがある。ならば、マリノスは絶対に松本に勝つのか。その理屈なら、連勝はどんどん無限に伸びて行くことになる。でもそんなことはない。曖昧な言葉で浮かれてもいいことはない。

一戦必勝とは、そんな戒めから生まれたのではないだろうか。勢いとは奪うでも与えるでもなくて、気がつけばそこにあるもの、程度でしかない。すなわち勝って、勝って、身につける。勝者のメンタリティとは、勝たなければ気がすまない程度の差、執念の差。「これだけやったのだから、負けても仕方がない」という凡百の思考をどれだけ精神の中で隔離できるか。

でも言霊はあると思う。「勢いがある」と言い続ける。するとアルウィンを突破できる。上位チームがことごとくアルウィンでは勝点を落としているのだ。標高が高いのか、松本ホームの雰囲気が素晴らしいのか、それとも鬼才・反町監督の1戦目からの分析・修正が素晴らしいのか。

負けを許さないのではなく、勝つようにあらゆる準備をすること。そのようにして、勝つべくして勝つ強者のメカニズムを説明できずに、周りは勢いがあるねぇ。勢いに乗ってからねぇ、さすが。などと言う。

勝った者が賛辞を受けるのは当たり前で、誇らしいけれど、「勢いがある」はまだ何も成し遂げてないと同義だ。私はそこを間違えずにいたい。

目の前の90分で勝利するのみ。

松本へ車で向かう方はどうか安全運転。法定速度を守って。浮かれてはいけないし、チアゴのようなスピードを公道で出したら一発免停。

来週の前半にも、マリノス強いねぇ、また勝ったの、勢いあるねぇと言われるようであってほしい。
でも違うんですよ、勢いは自らの手で作り出してるんですよ、と心秘かに言い返したい。

勢いなんて曖昧な言葉はどうだっていいから、7連勝で優勝しよう。