マリノスにシャーレを2019

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

パギさんのキックミスと、オフサイドの判定における4級審判の考察

「Jリーグ ジャッジリプレイ」でも取り上げられたマリノス対湘南のプレーについて、世界の4級審判こと私が見解を述べる大好評のこのコーナー。いや、初めてです。ごめんなさい。今更と思われるかもしれないけれど、仕事の関係で記事に着手してから一週間が経過してしまった…。

 

 

まず見てない方は、YouTubeのリンクから「問題のシーン」をどうぞ。

 


オフサイド判定 古林選手はGKに影響を与えている?【Jリーグジャッジリプレイ2019 #29-2】

 

1, 論点①古林はオフサイドポジションにいたのか

なんでそこに疑問が出るのかなぁレベルだったが、オフサイドラインを引くことで明確に「古林はオフサイドポジションに居た」ことは全員一致した。いや違う、という方はいないはずである。

 

2, 論点②古林はオフサイドの要件を満たしていたのか

オフサイドポジションに居たからと言って、ただちに反則となるわけではない。これ、大事なポイント。ではどんな時に、オフサイドの反則が適用されるのだろうか。JFAの競技規則を見てみよう。

 

https://www.jfa.jp/documents/pdf/soccer/lawsofthegame_201920.pdf

第11条「オフサイド」にある文章を今の変わらないように言い換える。

 

ボールが湘南の選手によってプレーされたか、触れられた瞬間に、湘南の選手がオフサイドポジションにいる場合、次のいずれかによってそのときのプレーにかかわっている場合に罰せられる。


A◦ 湘南の選手がパスした、または、触れたボールをプレーする、または、触れることによってプレーを妨害する。

 

または、
B◦ 次のいずれかによってパギのプレーを妨害する:
1・ 明らかにパギの視線をさえぎることによって、パギがボールをプレー する、または、プレーする可能性を妨げる。または、
2・ ボールに向かうことでパギに挑む。

 

または、

3・ 自分の近くにあるボールを明らかにプレーしようと試みており、この行動がパギに影響を与える。

 

または、
4・ パギがボールをプレーする可能性に影響を与えるような明らかな行動をとる。

 

なおゲキサカ“幻の失点”招いた横浜FM朴一圭、飛び出し続けて大仕事!「ああいうミスがあっても…」 | ゲキサカで議論されているのは、パギのクリア時の話であり、本稿の1項の前提に反している。

このAおよびBの1〜4について、考えてみる。

 

3, 原さんと上川さんの議論が噛み合わないポイント

当然のことながら、今回、古林選手はボールに直接触っていないため、論点は「B」のみ。

 

原さんの主張:

 ・コレはオフサイドの反則が正しい。

 ・古林が居なければ、朴一圭はダイレクトプレーを選択する必要がなかった。

 ・古林が近づいてきたからこそのキックミスであり、古林がボールの「近く」にいて、「影響を与える明らかな行動」を取っていたと十分見なせる。

 

上川さんの主張:

 ・オフサイドを取ったのは誤りであった。

 ・古林はボールに近くない。なぜならばボールに足が届く距離には居ないので、プレーに関与したとは言い難い。

 ・また朴に接触する可能性も乏しく、真横から見る副審からは二人の距離が実際よりも近く見えたのかもしれない。

 ・ただしボールの方向に向かっていることは確か。

 

と、B3、B4の可能性を真っ向から否定し、強いて言うならB2にかなという程度。対して原さんは「現場の感覚で言えば、これは関与していると皆んなが言うだろう」。上川さんは私たち審判が共通認識として持っているオフサイドの定義には当てはまらないとまったく相容れない感じに。

 

4, 私なりの結論

議論がまったく噛み合わない理由は、「主観だから」。これに尽きると思う。確かに審判の教本と言うか、IFABが定めているプレーに関与の定義で言えばもっと狭い、もっと近い状態というのが前提になっているのは、確かにそう。ここ大事なポイントなのだけれど、サッカーの「ルール」についての最高機関は、FIFA(国際サッカー連盟)じゃなくて、国際サッカー評議会と訳されるIFAB(=アイファブ)なのだ。

 

今回、上川さんが言う「プレーに関与」とはこの原則性に基づくもので、ルールを厳密にかつ、精緻に適用するならば、やはり上川さんの言う通りだなのだろう。ルール原理主義的には。あそこまで言うからには上川さんにも、それはそれで絶対的な自信があるとか。

 

だが私はそれでも、「関与」したと言うが正しいと感じた。そこに私が居たのなら、と言うのはあまりにも不毛だけれど、猛然とボールに向かうヒゲモジャを見たら、咄嗟にフラッグ上げるだろう。まあお髭は関係ないのだけれど、ボールに絡む気マンマンなのは間違いなく、その姿勢を感じ取った瞬間に私はオフサイド認定する。

 

ブラジルで蝶が羽ばたくテキサスでハリケーン?が起こる?的な話がある。「バタフライ効果」である。おお、突拍子もなく知的な話が始まった。

 

何が言いたいか。自然界のあらゆる事象は因果関係を持って繋がっている。とするならば、同じピッチで同じ時間にいる有機体同士が影響し合わないはずもない。ボールパーソンの球出しの早さは、数十秒後のゴールに直結する。サポーターの声だって、いやピッチ側の蝶の羽ばたきすら直結する。

 

何が言いたいか。上川さんは遠いというけれども、ブラジルとテキサスに比べて遥かに近い。関与していないはずがないのである。あ、極論ね、極論。私のようにテキサスとブラジルを同じピッチ内に扱う審判もいれば、そうでない人もいる。つまりは主観なのである。主観はコントロール、定義し尽くすことはできない。

 

今回の、「オフサイドを取るべきでなかった」という上川さんの結論は、「映像を後から見た上での」という注釈も番組の中でつけておられる。もし得点が認められたなら、原さんがマリノスの監督だったならばピッチ内は抗議の嵐だっただろう。 

 

つまりキックミスしないようにがんばろう。つまり審判の判定を信頼、リスペクトしよう。

 

で、私たちの歓声は、バタフライよりも効果大だと信じて応援しよう。

 

現場からは以上です。