マリノスにシャーレを2019

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

変わらずにいるためには変わり続けなければならない【J1第28節・磐田戦◯2-0】

ルキアンはただ者ではない。川又と山田が週中に負傷離脱する不運に見舞われた、後のない最下位磐田だが優れた個の外国人を獲るのは上手い。とは言っても、チアゴ・マルチンスの方が上手だったというメシウマには変わりはないのだが。

 

ルキアンはボールを収める。必ず収めてくれる。その信頼が味方のサイドで果敢に攻め込む時間と、決心をもたらしてくれる。「ボールを奪われない」という能力は大きいのだ。これほどまでとは、驚きだった。

 

磐田が満身創痍なら、マリノスはここに来て離脱していた選手が帰ってきた。ベンチには李忠成、広瀬陸斗の姿もある。松原健と高野遼の怪我に泣いた2選手も、この日またもや大きな仕事をやってのけた。長期離脱は、覇権奪回のラストピースこと、エジガル・ジュニオだけだと言いたいところだが、遠藤渓太があわや大怪我ということもこの試合の趨勢をとても難しくした。

 

季節外れの暑さで体が重いこともあって、中盤の制圧がうまくいかない。前半のボール保持率は、給水タイムまでを切り取れば磐田が幾分上回っていただろう。それでもルキアンらが無理目なシュートを放って単発的に終わってしまうところに磐田の難しさはある。もちろん、試合中はそんな余裕をぶっこいてはいられない。

 

この試合、松原健の相棒に、仲川輝人がやってきた。二人の「ホットライン」だ。関係性の深さでマリノスの右サイドを任せるには随一。先制点は30分、劣勢の中でやってきた。左から攻めかけて、マルコス・ジュニオールのところまで運んだボールが行き場を失って扇原貴宏を経由して、松原に渡る。マリノス相手の守備の基本、「中を閉じる、外はやむを得まい」という考え方を磐田も踏襲していた。

 

なるほど、左右に揺さ振れば、閉じたはずの中央と、ライン際を警戒するDFの間に、わずかだがほころびができる。それを作ったのは左サイドのおかげで、そのほころびを的確に突いたのは松原の正確なスルーパス。ああ、美しい。誰もいないスペースに置かれたボールを触れれば大チャンスだが、そこにはJ最速クラスの仲川がいかんなくスピードを発揮する。この男、サイドから狙って良し。中央で駆け引きさせて良し。

 

その結果、後ろから追いかける形になったDFは身を投げ出して仲川のラストパスを封じるのが精一杯で、まるでそれを見越して当てたかのような、テルの悪魔的ラストパスを見事に味方ゴールへ運んでしまう。「ふふ、味方ゴールに突き刺したのはお前だよ」

 

後半はどちらも、ややペースが落ちた。この点も暑さの影響であり、仙台戦のような天下一武闘会・殴り合い編にならなかったのは運動量が原因ではないかと思われる。

 

驚いたのはエリキのCF適性の高さだ。スピード頼みかと思っていたら大違い。とにかくターンが上手い。磐田のDMFからすれば本当に嫌だったろう。加速もあるし、スラロームで予測の難しい動きをする。この試合、最大の発見であり、味方選手が疲れた時に、キープして「時間」を作ってくれたのはありがたかった。マテウスは前半立ち上がりにマルコスからのマイナス方向のラストパスにスルーをかます(シュートコースがないと判断したのならそれはそれで冷静に見えているのかも)など、この日も不思議なプレーをいくつか発揮。

 

ほぼ予定通り、渓太への交代が行われたのだが、決定機でポストに激突するアクシデントで途中交代を余儀なくされてしまう。しばらく動けずにかなり心配したが、試合後には軽傷であることが報告され一安心。ただブラジルの五輪代表遠征は辞退となった。早く万全のコンディションを整えて、再びのチャンスにかけてほしい。

 

なお、この時に3分近く中断したが、1点を追う磐田側のサポーターからブーイングがほとんど起こらず、さらに渓太が立ち上がった際には拍手さえ起こった。この「民度の高さ」を称賛する、感謝する声が試合後にマリノスサポーターが多く報告していたことは記しておきたい。

 

渓太を入れ、マルコスを渡辺皓太に代え、再び渓太の代わりに高野遼を投入せざるを得なかったのはマリノスには計算外だった。足がつった扇原を下げることもできずに最前線に置いて長いアディショナルタイムをしのぐことになる。

 

だが、仲川の2点目が大きく救ってくれた。それを生み出したのは、三枚目の交代で入った高野だった。渓太のポジションに入った高野のアタッキングサードでのサイドチェンジは、磐田の裏をかいた。受けた仲川はシュートか、クロスか。好セーブで耐えてきた八田が空けてしまったファーをコントロールされたシュートで撃ち抜く。冷静なスナイパー。

 

2-0の勝利。同時刻に瓦斯が鳥栖に逆転負けを喫したために勝ち点差はいよいよ1となった。

 

磐田はJ1残留がきわめて厳しくなった。だが、夏までの迷走していたころとは違う印象を持った。まだ整備されてないかもしれないが、フベロ監督はおそらく再構築できる監督だ。やりたいことがバラバラということはなかった。

 

だが同じ哲学で積み上げてきたものの確かさ、時間の長さでは当然マリノスが上回る。やっている内容は同じことの繰り返しのように見えるが、選手がどんどん入れ替わっても再現、もしくは進化している。それは選手の獲得をはじめ、休まずに手を打ち続けたからな他ならない。

 

変わらずに上位にいられるのは、変わり続けてきたからだ。「マリノス対策」と呼ばれるものをさらに覆してきた。磐田には空費した時間があったのは確かだろう。当然、マリノスがこの先に歩みを止めたならば、容易に入れ替わられることだってある。

 

続けること、変化すること、そして変化し続けること。それなくして、タイトルを争うことなどできないだろう。

 

残り6試合となった。予想以上の混戦となっている。またリーグ戦まで間隔がある。まだまだ進化する。