マリノスにシャーレを2019

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

狂気を見た。首位と勝ち点差「4」に【J1第26節・広島戦◯3-0】

「正直に言ってうれしい。」殊勲の決勝点、マリノスリーグ通算1400点のメモリアルゴールをあげた仲川輝人は節目のゴールの感想を聞かれて、そう言った。

 

その価値は「嬉しい」どころではない。結果から書けば、3-0のクリーンシート達成。試合前までリーグ最少失点だった広島から3点を奪った見事な勝利だった。2点目はティーラトンのシュートが川辺に当たってコースが変わりネットを揺らしたもの。3点目は交代出場した渡辺皓太がマテウスにパスを通し、そこから放たれたシュートがDF野上の腕に当たってPKを得たもの。それをエリキが落ち着いて決めた。

 

点数を重ねるごとに勝利の確信が深まり、充足感・幸福感にスタンドは満たされていくのが分かる。先制点の頃に降り始めた雨はほんの少しだけ強まり、PKの頃にはあがっていた。そんなわずかな時間で強さを見せつけた。

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でも私は空恐ろしさを感じていた。狂気じみていたからだ。3-0になってからも、マリノスの攻撃は止まらない。点差に全く満足していない。最後に登場してきた大津祐樹もただ締めに出てきたわけではない。90分走り続けた選手もだ、前線のトランジションも緩めない。

これほどまでに戦う集団になっていたとは。ボスこと、アンジェ・ポステコグルー監督はどのようなゲキを飛ばして、これほどまで闘志に強い火をつけたのか。だが、ボスは「特別な言葉はかけていない」という。2週間ずっと、いやおそらくその前からずっと戦わせてきたのだ。そうでなければ、このチームでは試合に出られない。だから競いあう。試合に出たからハードワークしているのではない。強いられても、命じられても、ハードワークは続けられない。全ては主体。能動性。3-0になっても、マテウスや大津のような飢餓感を持った選手を放たれては、相手はたまったものではないだろう。

 

前線の選手から振り返っていこう。仲川輝人、2桁ゴール達成。年間を通じて、サイドだろうがCFだろうが期待に応える。現状ではもっとも替えの効かない選手ではないだろうか。今日はテルの切り替えの速さが異次元だった。スラロームドリブルでリズムを作ったり、ポストプレーで味方の空間を作ったり、ゴールシーンはテルの貢献度のほんの一瞬しか切り取っていない。中央にいる時間が長くなったためか、マルコスの役割も担いつつある。進化を続ける23。

 

それに対して、マルコス・ジュニオールはフィーリングがあわなかった。前半34分のフリーでわずかに枠から外したシュートなど惜しいシーンでは首を傾げていた。だが「浮遊」しているかのように、時にはボランチの後ろに入ってパスを組み立て、ある時は仲川や遠藤渓太の助けに回る変幻自在さはさすがだった。

またこの試合で彼に拍手を送りたかったのは、青山の挑発を封じたことである。清水戦の前だったら、これほどセルフコントロールできていたかは分からない。マルコスを怒らせてペースを握らさないことが目的になっていた青山は、サッカーをしにきたのか、怒らせるためにレスリングをしにきたのかは知らないが、マルコスが右から左に受け流す度に、青山のプレーはエスカレートするばかり。ここの攻防で調子が悪いながらもマルコスが勝利を収めてくれたのは大きかった。

 

遠藤渓太もU-22の海外遠征明けでコンディションはキツかったはずだが、先制点アシストはこの人。点で合わせる仕事はお見事であり、常に質的優位を見せてくれるのは頼もしい。

 

その点で、タイ代表で2試合を戦ってきたティーラトンはさらに強行スケジュール。ハイネルのスピードに手を焼き、警告を受けて次節出場停止となった代償を払っても、自分の仕事を果たした。2点目は意図した形ではなかったとしても、ゴールという結果が値千金。本当に素晴らしい。

 

扇原貴宏の集中力も、喜田のキャプテンシーも、マリノスの武器だった。5月の広島前回対戦と比較すると、このボランチ同士の質、特に攻守切り替えのスピードが極限まで早くなっているように思う。これは強いはずだ。

 

杉本大地は、4試合目で初のクリーンシートを達成。落ち着いてきたのか、鋭い飛び出しで守備範囲が広がってることを見せてくれた。逆にキックミスが増えたのと、クリアに近いロングキックを選ぶ回数も増えていた。安全運転はいいのだけれど、ポゼッションを手放すことと同じ意味なので、改善していきたい。

 

最後に、攻守で懸命にプレーした松原健。カッコよかった。とくに前半、広島が長いボールで、松原とティーラトンの裏を狙ってきた。柏とハイネルの脅威をシンプルに生かしてくる。でもそれは予想通り。押し込まれても、辛抱強くマツケンは仕事をした。

エリキとのパスの呼吸がかみ合わないこともあった。エリキの独特な好みに対応できなかったのかもしれない。

「ハイライト」には映らない枠外のシュートも2本放った、惜しくもないけど懐かしくて愛おしかった。

 

8節以来のスタメンで、仕事をしてくれた。夏の移籍話も断っていた。ベンチ外でもやれることをやる。同じ方向を向いて。すごいことを言う。26歳、働き盛りでベンチ外がいいわけがない。

マリノスで優勝するため?優勝しても、しなくても、今年で最後にするつもりかもしれない。それは分からない。

 

こんな選手がいるチームは強い。それは間違いない。選手そのものは、お金では買えても、マインドまでは買えない。だから松原の態度が誇らしい。ありがとう、おめでとう。

 

優勝に向かって。鹿島が瓦斯に勝って、上位2チームは勝ち点差が1。瓦斯とマリノスの差は4だ。3連敗で遠ざかってしまった背中が視界に入ってきた。

 

次は、喜田とティーラトンを有給休暇で欠いて、仙台戦。残り8試合、至高の日々を楽しみ、栄冠へ駆け上がる。