銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

最高の勝ち方で鬼門突破【YBC準決勝1・鹿島戦】

山中亮輔のフリーキックで始まり、山中亮輔のフリーキックで終わった試合だった。同じ左足から、等しく強烈なシュートが放たれたものの、前者はポストを叩き、後者は曽ヶ端準の手を弾いた後に最高の幕切れをもたらした。

 

神様、仏様、ウーゴ様。この日の昼に、Numberのコラム横浜FMウーゴはGK泣かせのFW。ゴール後、左腕にキスをする理由。 - Jリーグ - Number Web - ナンバーが話題となっていた。「俺はストライカー。もしチームが無得点で負けたら、ウーゴのせいで負けたとサポーターに言ってほしい。そうしたら俺は奮起するよ」ウーゴの男らしい生き様が紹介された、その数時間後、ウーゴのせいで勝ったのだ。

 

誰よりも早く、ゴール前に。目の前に転がることを信じて、懸命に走ったからこそ、そこにボールは来た。そして一撃で仕留めた。曽ヶ端は自分のミスだと言う。そうさせたのは、山中のキックであり、ウーゴの一瞬にかける執念だった。

 

虎の子の一点を守りきれなかった。土居聖真が外しまくった前半と比較すると、後半は鹿島の攻撃を制御できていたのだが、コーナーキックから犬飼の同点ヘッドを許す。DF二人で挟んでいたのだから、これも相手の強さを褒めるしかない。仕方ない、もう一点だ。だが時計はすでに後半48分を指していた。

同点かと思われたら直後に鹿島にビッグチャンスが生まれるが、どうにか飯倉大樹がキャッチ。そこからが早かった。正確なパントが前線に渡り、たまらず鹿島はファウルで止める。このフリーキックの先に、最高潮の結末が待っていたのだ。

 

筆者が期待していた遠藤渓太は、内田篤人に封じられてしまう。内田が老獪で、仕掛けるドリブル、フェイントは読まれていた。スピード勝負でも、内田の壁は厚かった。加えて天野純の不調。前半とくに狩場として狙われていた。残念なことに、天野のロストはたびたび起こり、いずれもが大ピンチにつながった。獲得した9本のCKも大半を彼が蹴ったが質は決して高くなかった。

 

それでも、お釣りがくるほどのフリーキック。壁をあざ笑うかのような軌道。ああ、5年前、最後にこのスタジアムで勝った時、同じく左足で中村俊輔が曽ヶ端の手をかすめてフリーキックを叩き込んだ記憶がよみがえった。

勝てないどころか、得点さえ奪えない、いやヒドイ年にはほぼシュートも打てずに敗戦したことがあった、呪うべきカシマスタジアムでの、最高すぎる2点。「勝ち方」という意味では今季最高の筋書きだったと言える。

だがしかし、天敵の土居がPKを沈めていたらこうはなってない。運も味方したギリギリの勝利だったと言える。鹿島は中2日のゲームだったことを考えると、日曜日の第2戦もそう簡単に行くはずがない。

 

クォンスンテ、チョンスンヒョン、山本脩斗、安部裕葵、鈴木優磨の5名が、直前川崎戦の先発メンバーであり、山本を除けば水曜は出場なしで、つまり休養十分。中2日でメンバーを入れ替えた鹿島のほうが、ほぼ同じメンバーで戦うマリノスに比べると今度は体力面では有利とも言える。

 

0-1でも突破できるのは大きいが、守勢で逃げ切れるほど甘くない。勝ったなら勝ったなりの厳しいゲームマネジメントが待っているのだ。

 

だがマリノスにはハードワークの権化、大津祐樹がいる。あそこまでレオシルバを追い詰め、奪い切る日本人選手がかつていただろうか。掃除人、あれこそ、本来スイーパーと呼ぶような仕事ぶり。日曜も鹿島を大いに困らせてくれることだろう。

 

決勝に王手。だが、まだ何も決まっていない。

劇的勝利を喜びつつも、兜の緒を締める。