銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

伊藤翔離脱…。失われる得点

今や得点源であり、得点を引き出す男、伊藤翔が右肘の骨折で全治8週間。「この大事な時」にファーストチョイスの1トップを失う打撃はあまりにも大きい。

 

もう今やすっかり定番となったと言っていい、仲川輝人が右サイドを抉った上でニアサイドに走り込む翔さんへのクロス。そして点で合わせてのワンタッチゴールは、マリノスの大事な得点パターンであった。惜しくも枠外だったが、磐田戦でも相手守備陣を凍りつかせたシュートだった。

遠藤渓太のファインボレーによる先制点も実は翔さんの貢献は大きい。大津祐樹の40m級のクロスが入った時、渓太はドフリーでエリア内へ侵入してくるところだった。なぜかと言えば、高橋祥平と大井健太郎の二人のDFが、ニアに走り込む翔さんに恐怖を感じて引っ張られていたからだ。これぞワントップの仕事と言っていい。

 

だが今でこそ、翔さん!翔さん!と惜しまれるが、22試合出場とはいえ、先発は11試合。その大半が、夏以降の数字である。加入5年目の翔さん昨年はウーゴ ヴィエイラの存在もあり、移籍後最低の15試合出場に留まっていた。今年はさらに下回っていた可能性があった、少なくとも夏までは。30歳を迎えたシーズンで出場機会を減らされてしまえば、同じ年に入団した下平匠のように今オフには移籍の道を選んだ可能性もあっただろう。

 

ただ加入2年目以降はほぼ常に、外国人FWの控えの扱いだった彼はなぜ今夏に一躍出場機会を伸ばしたのか。

まずコンディションの良化は見た目にも明らかだった。よく形容詞として「もっさり」などと揶揄されたこともあるが、昨今はキレッキレ状態だった。身体のケアなのか、食事なのか、とにかく夏以降の翔さんは波が少なく好調だった。

もう一つはシュート数27本に、6ゴールという決定率の高さである。22.2パーセントは自身の倍に近い数字で、あのジョーが24%、パトリックが18%だから、得点数が違うとはいえ、これも好調を物語る。いかに心理的に脅威を与えていたかが分かるだろう。

それに加えて、1トップらしく、周囲の選手の数的優位を作るためのおとりの動きができ、守備も頑張る。この5年間で、あるいはプロ入り後でももっとも手応えを感じるシーズンになろうとしていたが、好事魔多しである。

 

翔さんが得点王を快走するルヴァン杯も残りの欠場が決定的となった。グループリーグからずっと欠かさず奮戦していたことも称えられていい。当然、4強進出の立役者に報いるためにも、残りの3試合を勝ち抜きタイトルを奪ってほしい。

 

さて、盟友・ウーゴ ヴィエイラの出番である。覚醒したとの噂がある大津祐樹はインサイドハーフがいいだろう。浦和戦を除くと、パタリと一時の勢いが止まってしまった感のあるウーゴの決定力だが、友情に厚い彼のことだ。伊藤翔さんの不在によって彼のスイッチが再び入り、ケチャドバ状態になってくれないと割に合わないじゃないか。

 

翔さんがいれば生まれたはずの得点は失われる、それは確かだ。だが代わりの選手たちは燃える。ウーゴの奮起は、翔さんの価値を証明することになる。大津、遠藤、仲川、天野純、ブマルら、ここに名前を書き出しても仕方がないが翔さんの思いも背負って、戦い抜いてほしい。