銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

久保建英は覆われた殻を破れるか

サッカー選手としては日本で一番有名なティーンエイジャーであり続けた。FCバルセロナ育ち、将来を嘱望される存在ながら彼の力が及ばない事情で、回り道を選ばざるを得なくなったと言っていいだろう。帰国してJリーガーとしての道を歩み始めたことにより一層、注目される存在となった。

 

「将来の日本の宝」扱いが彼にとっていいのかどうか分からないが、FC東京で出場機会を掴めない中、マリノスへの期限付き移籍を決めた。ポステコグルー監督の目指すサッカーに合いそうだとか(少なくとも健太式瓦斯に比べれば)、実弟がジュニアユースに所属するマリノスは縁もあり生活圏が一致する、などが移籍の理由と言われた。

 

J1に拘った久保都合による移籍だとか、マリノスには久保を育てている余裕などないとか、そんな声が少なくなかったのも事実だ。久保は18歳になる来年には、バルセロナに戻る希望を持っている。だが相手が戻ってこいと言ってくれなければ何の意味もない。そのため、このまま実戦から遠ざかっているままではマズかったのだ。戦力であるかどうかより、そこが注目されるのは久保ならではの立場によるものだ。

 

仙台戦(天皇杯)でのプレーは、リーグ戦の先発を掴むほどだったかと言われると、微妙に思えた。試合に敗れたことで、今季の公式戦の数は伸びなくなった。規定(既に瓦斯時に出場してしまっている)でルヴァン杯には出場できないため、久保建英のチャンスはリーグ戦のみに限られる。

 

まあ、前線のライバルが帯に短し襷に長しで情けないのは事実だ。代表で離脱中の遠藤渓太を除けば、大津祐樹やユンイルロク、オリヴィエ ブマルが久保の先発を妨げるとは到底言いがたい。だからマリノスを選んだとか言われると、身もふたもない。お前の彼女ブスだよな、だからこのレベルで若ければ可愛く見えるよなと他人には言われたくない。

 

松原健が真横に出して、少し浮かせたトラップ。得意の左で蹴る場所に止める美しい動作で、DFは中央のシュートコースを塞ごうと体を寄せる。そこに開いたサイドのコースを狂いなく、久保建英が撃ち抜いた。

直後に仲川輝人と交代予定で、これがラストプレーになるはずだった。そこで結果を残したことは彼の人生にとって大きい。絶賛残留争い中のマリノスにとってもこの上ないゴールであった。

 

うまい。確かにうまいが、怖かっただろうか。守備時の一歩の遅れも気になる。天皇杯からの連戦での疲弊?  実戦から離れていたからゲーム体力が落ちている?  それは今後明らかになるだろう。ただ衝撃的なデビューで飯が食えるなら、ダビド バブンスキーは入れ替わるように大宮に拾われたりはしないだろう。「2試合連続のベストゴール」を挙げたって、夏にはは先発を外れていた。

 

それとも、イニエスタのコースを歩むのか。すなわちバルセロナに戻れるのか。それにはマリノスで違いを示さなくてはならない。

 

本来なら所属するはずもなかったマリノスで何を得、何を残すのか。長くないはずの船旅が始まったところだ。