銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

此の横浜に優るあらめや?!【J1第15節・長崎戦】

こんなに足取りの軽いスタジアムからの帰路はいつ以来だろう?と考えながら、もしも、1-2のまま終わっていたとしたら、ということも考えた。

5得点取った後だから、少しだけ余裕を持って振り返れるが、この試合に至るまでの巡り合わせを考えたら、十分にありえた結果だ。

来い!来い!来い!というゴール裏の歓声と、惜しいというため息が交互にやってくる焦れる展開。「チャンスは作っていたのに、ラストのところで決め切れなかった。中断期間にそこを高めて行きたい」と、監督のコメントが怒りに火を注いだだろう。

失点はあほかというほど軽かった。山中亮輔のせいにするつもりはないが、2つのシーンで彼のボールウォッチャーぶりが目立った。悲しいほどドフリー。あんなん、誰でも決めますやん。

あのまま終わっていたら。私たちはきっと今とは180度異なる気持ちで、ため息と落胆と絶望で、あと1ヶ月半を過ごしていたのかもしれない。

 

仲川輝人は決められる気がしていたのだという。その根拠のないであろう自信こそがストライカーに必要な資質だ。待望の同点ゴールと、逆転ゴールの2発。開幕当初、紅白戦にすら出られなかったのは、戦術理解度が他の選手より低かったからだとアンジェ ポステコグルー監督は解説する。この2ヶ月、最も立ち位置の変わった(変えた)選手だったと言っていいだろう。

 

18歳にして堂々としたプレーを攻守に見せる山田康太が右外のレーンで一人を交わして上がる。クロス、長崎のDFにあたったボールがクロスを待っていた仲川の目の前へ。1失点目の不運と帳尻が合うかのようだ。それを迷いなく、ただし枠外に逸れないように少しだけ大切に振り抜く。

それからわずか7分後だ。今度は松原健だ。仲川にパスをつけると、彼は右サイドに流れる。ほんのわずかDFが松原に引っ張られたのを、仲川は見逃さなかった。狭い、ニアサイドを撃ち抜く。GKの手さえ弾くような速いシュートで。

 

このようなテンポでゴールが決まることを「押せ押せ」という。これまでのマリノスは「押せそう」止まりだった。「もう少し押せば、押せ押せになったかもしれない」だった。その呪縛のような重たく錆び付いた扉を、仲川が押し切ったのだ。

 

扇原貴宏の4点目、ミロシュ デゲネクの5点目は、同点の場面なら惜しいで終わりがちなところ。あれが決まるのは、仲川が一発で押せ押せにしていたからだ。ウーゴ ヴィエイラの6点目は…次にとっておく。同点の場面でウーゴにあれをやられていたら、狂い死んでいた自信がある。

 

お立ち台で仲川は叫んだ。「最高でーす」そうさ、5点も取りゃ最高だ。監督は言った。「もっと点が取れた」。あんたも最高だよ。

 

5点を加えて、暫定ながらリーグ最多得点に躍り出た。にもかかわらず、得失点差はまだマイナス1というアイロニー。公式戦21試合目にして、あのタコ殴りの湘南戦を除けば初めて革命の対価が得られた攻撃的サッカーが結実した試合となった。

 

中断したくない。このまま次の試合をやりたい。ここで止めてしまうのはもったいない。その通りだが言わせてもらいたい。

 

結果という自信を携えて、中断期間という熟成の日々を迎えられるからこそ、マリノスは強くなるのだ。

マリノスが降格に近づくことを怯える日々は終わった。これからは他チームがマリノスサッカーに怯えるのだ。はい、言い過ぎ。

 

この試合をターニングポイントにできるか。それはこれからに懸かっている。