マリノスにシャーレを 2024

横浜F・マリノスのスポンサーを目指して脱サラした頭のおかしい3級審判のブログです

危険いっぱい。大敗もあり得たが、まずはノッてみよう【J1第1節・C大阪戦】

前半3分には中町公祐の強烈なミドルシュートを間一髪、キムジンヒョンが弾き出す。
6分の柿谷曜一朗のゴールはオンサイドだった。あの瞬間のオフサイドラインは(中澤佑二よりも深かった)ボールの位置であり、中澤よりは前にいたがボールよりは後ろにいた柿谷がオフサイドになるのは完全に判定ミスである。

17分、マリノス先制。遠藤渓太が再三にわたって右サイドでチャレンジし、エリア手前の中央でフリーで待っていたのはなんと左サイドバックの山中亮輔。左のシュートはやや当たり損ねたように見えた。だがDFの股を抜くと、GKが届かないコースへゴールイン。2018年のチーム初ゴールは、新しいマリノスの船出にふさわしい、新たな形でのゴールだった。

簡単に言えば、山中、松原健の両サイドバックがビルドアップ時から中央でボールに絡み数的優位を作る。今は同族であるマンチェスターシティを率いるジョゼップ グァルディオラが得意とする戦術だ。「アラバロール」の言葉の元となったオーストリア代表・ダビド アラバは、今はインサイドハーフを務めているらしい。要するにMFの適性がなければ、こんなことはできなかったということか。左サイドの専門家であった山中はアラバになれるのか、このチャレンジには大きく期待したいところだ。

より大きな変化として、ダイレクトパスの多用があった。パス数でも成功率でも大きくC大阪を上回った我が横浜。自陣でのパス回しにミスはつきものだが、それでも守備がはめられずに困るC大阪の様子は痛快でもあった。

失点シーンは確かに中澤佑二のクリアミスが直接原因だ。ここまでなんとか凌いできたので、勿体なかった。もうこれは、「減らす」しかない。こうした危険度の高いミスは、飯倉大樹にも中澤にもこれまでも常にあった。以前のオーソドックスな、セーフティな戦い方よりも、失点のリスクが高まったのである。そんなことは当然織り込み済みで、「殴られる危険が嫌だから殴らない」のではなくて、「殴れ。殴られないように殴れ」が新しいマリノスの基本的な考え方とするならば、まさに、殴られないようにミスを減らすしかない。

おもしろいサッカーだったと褒め称える前に、自ら招いたピンチ、それも心臓停止モノのピンチ数を考えると、1-1は比較的ありがたい結果だった。大敗もありえたと思う。この先にも、4〜5失点という試合が出てきてしまうのではないか。その時に、選手や観客は平常心でいられるだろうか。
ポイントはそこな気がする。これからの数試合でそんな劇的にハマるとは考えづらい。むしろ脆さが露呈するのではないだろうか。その時も、今日と変わらずワクワクの興奮をピッチに伝えたいものだ。改革とは時間を要し、痛みも伴うもの。その先にようやく未来がある。だから少しの失敗に動揺しない。信じ切る。

それにしても、短期間でこのサッカーをチームに落とし込んだアンジェ ポステコグルー監督の影響力よ。代表監督時代に比べれば、選手と接する時間が長かったということだろうか。わずか数日の合宿で寄せ集めの選手たちに、メソッドを理解させることに比べればクラブチームでのミッションは、彼には容易いのかもしれない。

良いところも課題も出た開幕戦。結果だけ捉えれば昨年4戦4敗の相手、しかもこちらは公式戦初戦のアウェイで引き分けは悪くない。内容は思っていたよりも上だった。少なくとも、サポーターの心を掴み、このサッカーに乗っかろうと思わせた。凄いことである。天野純が、完成すれば誰も自分たちを止められないと豪語したくなる気持ちも理解できる。


後半キックオフと同時に、突然マリノスの選手5人が相手ゴールにめがけて走り始めた。面食らうC大阪。山中へのパスがずれてすぐにラインを割ってしまったが、あの後、どうなっていたのだろうか…。ゴクリ。

殴られても良いから、とは言わないが、殴られることを恐れてサッカーするくらいなら、殴って殴って。
シティ仕込みのマリノスサッカーに、日本中が驚くのはこれからだ。