銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

何かが生んだ決勝点【J1第24節・FC東京戦】

ファーサイドに走り込んでいたウーゴ ヴィエイラは渾身の力でヘディングした。そのボールは二度跳ねた。まずはウーゴが基本に則って、ピッチに叩きつける。
それから、クロスを上げた扇原貴宏がいる、すなわち逆サイドのゴールポストを叩いたのだ。
ボールはそのまま、ゴールの内側にバウンドを変えて、静かにネットを揺らした。

見守っていた時間、たぶん3秒前後。静寂のような、時が止まったような、その時間の後に訪れるマリノスの歓喜。2戦連続のスコアレスドローが頭をよぎっていた頃、3列目から扇原が飛び込んでくる勇気と、ニアに相手を引き連れたマルティノスの動きと、それを利用してフリーになったウーゴ。ヘディングで、ほんの数センチのズレを計算することなどできない。あのヘディングは狙ったが、コースは狙っていない。見えない力があのシュートをゴールインさせてくれたとしか、私には説明のしようがない。

入らなそうで入った1点。一方で、瓦斯は前半39分の最大チャンスで、高萩が1対1で相対した飯倉大樹のかけひきからループを枠外に外す。また途中出場の中島翔哉が放った国内ラストゲーム、ラストシュートもまたクロスバーに嫌われたのである。瓦斯サポの友人によれば、決定機を決めきれないのがいかにも今年の瓦斯らしいのだそう。
最終スコア1-0の、その差は決めたか、決められなかったの差である。当然のことだ。普段のマリノスも、こういう時に決めきるような強さはない。失点はしないのに、なぜか勝ち点3が積み上がらないという主因は決定力不足なことが多いからだ。

今のウーゴは頼もしいようで、一人で何かできるタイプではない。マリノスはロングカウンターを多用するが、待ち受けているのが齋藤学やマルティノスの時と比べてしまえば、ウーゴはスピードがないからチャンスにすらならない。
剥がせないから、エリア内での強引なシュートも少なくない。
だが、ここぞで決めてくれた。嗅覚とか、カンとかそんな曖昧な表現の能力とともに生きる。言葉は曖昧でも、中身は研ぎ澄まされているのだ。


前節のスコアレスドローこそ惜しかったが、これで8月は月間無失点で終えた。凄まじい結果である。4勝1分で、2位に浮上したが鹿島との差は1縮まったのみで、まだ5差がある。

このように順位ではなく、勝ち点差で語りたいところだが、C大阪、柏、川崎が引き分け以下の結果だったために2位に浮上した。開幕2連勝の首位以来の好位置である。

 

8月で下位との戦いはほぼ終わりで、残り10試合は厳しい相手との試合を多く残す。

なんといっても次は川崎との直接対決、その次は柏。優勝云々を語るには、この2試合で結果を残してからである。

 

試合終了後の選手たちの少なく爽やかな笑顔と、石川直宏との別れとで、8月は幕を下ろした。

 

マルティノスの動きが鈍いのが少し気になる。中澤佑二は凄まじいが膝の状態も心配である。中断期間に夏の疲れを癒してほしい。そして、勝負の秋へと、進む。

 

それにしても興奮する夏だった。