銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

マルティノス 問題児も今は昔

中途で、一度に二人が同じ部署に配属されて来た。一人は実績十分で、外資系からヘッドハンティングされてきたから周囲の期待も高い。

もう一人は、仕事は滅法早いが怒りっぽくて、気分屋という第一印象。

それなのに後者は部署内のエースになり誰からも慕われ、前者は実は不真面目でろくに出社しなくなり、腰掛けのようにサッサと転職活動をして去っていった。

 

マルティノスが来た頃、私はカイケに夢中だった。ブラジルの名門からやって来た、得点力不足解消の切り札。ポストもできて、シュート力もあって、守備もする、1トップにうってつけの人材がマルキーニョスという人材を失ってから空位だった「エースストライカー」の座が埋まる。そう信じていた人は多かった。だから、その後の落胆も大きかった。なぜだ。なぜなんだ。オフザピッチで妻の写真はせっせと投稿するハードワークの欠片も、試合中には見せてくれない。彼の獲得に当たっては、値段が高かったことも一層、怒りと失望に拍車をかけた。

 

それにマルティノスもたいがいだった。初陣となった吹田スタジアムで目の覚めるようなカウンターから決勝点を奪うというデビューを飾ったものの、コケる、痛がる、怒る、の3拍子でカードコレクターの異名を取った。実働時間が短くて、やがて先発機会を失っていく。

あぁ、二人の新戦力で、一人当たれば儲けものとはよく言ったもので、この頃はどちらもハズレという評価を下していた人もいたかもしれない。私も概ねそうだった。

 

チームメイトが代わったのは大きい。ウーゴ ヴィエイラ、ダビド バブンフキー、ミロシュ デゲネクと、新たに加わった3選手は国籍は違えども、英語でのコミュニケーションが取れ、東欧を経験しているという共通項もある。それに彼らは真面目だった。少なくともインスタ職人よりは。

 

中澤佑二は自陣エリア付近での相手ボールを、クリアしたのではなく、明確な意図を持ってウーゴにボールを送った。反転して一人かわしたウーゴに並走するようにマルティノスが走り、そこを齋藤学が追い越していく。

学のランが大宮の守備を、一人、二人と左サイドに引きつける。

 

コースが開いた、マルティノスが中央を突っ込む。いや、まだだ。もう一人寄せてきている。それを軽く右足で切り返して逆をつくと、今度ははっきりとシュートコースが見えた。

右足。素早くて、そしてコントロールされたグラウンダーのシュートにGKの手は届かない。

 

ドヤ顔のマルティノスと、破顔一笑のウーゴの姿が写真に残っている。自分に決めさせてもらいたかったはずな齋藤学も駆け寄っている。

海外移籍が取り沙汰されていた学と、今季加入のウーゴ、そして去年後半は先発を外れていたマルティノスの三人。この三人がいれば、何とかしてくれるが、居なかったかもしれないと考えると…絶句。

 

その問題児だったはずのマルティノス。実は今年早々に出場停止を喰らってからは心を入れ替えたように、一枚の警告も受けていないのである。

そして、キュラソー代表への復帰を果たして、チームを一時去る際には、サポーターを泣かせるような中心選手の自覚たっぷりなコメントを残している。明らかに自信をつけてプレーしている。本当にゲンキンなマルちゃんだ。

判定に不服を示したとしても、今はすぐにチームのためにと意識を切り替えられる。

問題児から優等生へ。

 

この男の精神的充実が、今年のマリノスの最大の補強だったのかもしれない。

 

ゴールドカップでの健闘を祈る!

 

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