銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

塩谷司の電撃移籍を考える

3年連続ベストイレブン。リオ五輪代表オーバーエイジ。特殊な広島のサッカーで花開いた塩谷司は、優勝3回を数える広島の黄金期を支えた当代きってのJリーグを代表するDFであった。
広島に入った時は、森脇の控え。森脇の移籍がきっかけになったかもしれないが、初年度からレギュラーとして定着。それにしても、塩谷に加えて、柏好文、柴崎晃誠、佐々木翔、千葉和彦ら、広島のJ1下位からJ2上位の実力者を引っ張る補強の巧みさは一時、凄まじかった。浦和に抜かれても、また抜かれても、翌年の順位は浦和を上回ってしまうのにはこの強かな補強力があったことは論を待たない。

その塩谷はリオ五輪以降、苦しんでいた。あれ、こんなにミスする選手だっけ。ということが目立っていたと思う。マリノス戦、特に齋藤学には強さを保っていたけど。塩谷が台頭して、学が封じられるようになった頃と、広島から得点を奪えなくなった頃が一致するのは偶然か。ともかく、28歳というまだまだ若い年齢の割には少し角が取れて丸みを帯びてしまったのでは、と思っていた。

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そこに届いたアルアインからのオファー、悩んだ末に移籍を決断したというのはニュースの通りだ。5年契約をまだ3年半ほど残すので、財力のあるUAEのクラブだから、移籍金はたっぷりと入ることだろう。

アルアインと言えば、鹿島から移籍したカイオや、広島で同僚だったドウグラス、代表戦でよく名前を呼ばれている地元のアブドゥルラフマンなどが在籍。ナイキ製の紫色のユニフォームだと、広島から移籍した感が薄いだろう。

今年、塩谷のユニフォームを買ったという広島サポの友人がポツリと言った。「痛いけど感謝しかない…」
惜しまれて、感謝されつつ去る移籍はカッコいい移籍だと思う。0円移籍、誤解を生むような発言を伴うような移籍はどこか寂しく、怒りや呆れを生み、なんだか共に戦った日々さえも色褪せてしまう。
松原健が、新潟サポのスタンドに挨拶に行くも、罵声を浴びたのはその影響がある。FC東京から欧州を経て、鳥栖に戻った権田への瓦斯サポの反応は自業自得だったと私は思う。同じ広島から移籍した槙野や森脇は許せんと、上述の広島サポの友人は言う。
クラブ側都合ではなく、選手の意志でクラブを去る時、その選手の人としての資質が問われる。金銭、タイミングはその次だろう。ぶっちゃけ、今の広島のチーム状況、順位を考えたら塩谷の移籍のタイミングは最悪だろう。「この状況を脱せられると信じている」という塩谷のコメントの他人事臭に私は違和感がある。

 

もちろん、これで国内移籍だったならば、塩谷への風当たりはとてつもなく強かったろう。年齢的にも、浅野拓磨や、マリノスの小野裕二のような「行ってこい!」というのともちょっと違う。反応にやや戸惑う、中東移籍よ。

 

成績不振で監督を代えることを、カンフル剤と呼ぶならば塩谷のような中心選手が去り、その移籍金を元に夏の補強をすることもできる。巧者の広島なら欧州シーズンが始まる前に、よい補強ができるかも。沈滞するムードを変える可能性もあるだろう。

やや特殊なケースだからこそ、今後の選手の移籍時における「反応」を測る試験紙になったかもしれない。

やはりクラブ愛、家族愛だ。