読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

巧いだけでは不足。悔しさの中に見た希望【J1第4節・新潟戦】

反復練習は嘘をつかない。マルティノスの左足で放たれた軌道は、先にゴールを決めて来た外国籍選手のそれに勝るとも劣らない美しさだった。ずっと練習してきたコースなのだと胸を張る。ファインゴールだ。それゆえに勝ちたかったし、ファールの判定に不服をぶつけてボールを放り投げ警告を受けた「平常運転のマルちゃん」には、呆れてしまう。

 

2-0または3-0で勝てた試合というのは、フラットに見た時の総括。やらかし失点も元は決定逸機が重なった結果のもの。こちらには、マルティノスのスーパーゴールよりもはるかに決めやすいはずの機会はあった。

二つあげるなら、ダビドバブンスキー齋藤学に出したショートカウンターの場面と、38分の初先発、ウーゴ・ヴィエイラがダイレクトにインサイドで合わせたボレーだろう。とくに後者はフリーでの場面、当然のように決めてほしかった。ウーゴの決定力を信じているだけにショックである。天野純のクロスは、美しく正確でアシストと呼んであげたい完璧さだった。

その直後に信じられないような、プレゼント失点は生まれた。中町公祐が背中から受けたプレッシャーが原因で、飯倉大樹に長いバックパスを送った。そのボールには強めのバックスピンがかかっていて、飯倉は一瞬出るのが遅れる。触ったのは猛然と突っ込むホニが先で、飯倉は背後を取られてしまい勝負あり。

これ自体は開いた口が塞がらないミスである。中町はなぜ中澤佑二ではなくさらに後ろに下げてしまったのか。手を使えない飯倉だけを責めるのもやや難しく、「どうしようもなかった。あの形を作ってしまったチーム全体の責任」と飯倉は総括している。あの失点を、ケチョンケチョンにけなしても仕方ないが、ただ勿体無かった。結果から言えば、新潟のチャンスはほぼあれだけだったのだから。

 

この日、齋藤学のプレーは浦和、札幌戦から比べると半分以下の出来だった。怪我でコンディションが変わってしまったというか、キレが落ちていた。それに加えて矢野貴章がうまく対応してくる。だから学が決定機を作れない。にもかかわらず、マリノスは左サイドの学預け、学頼みにこだわり過ぎた。

確かに中央に人数を割いて守る新潟の前でトップ下のバブンスキーは埋没していた。サイドの方が攻めやすかったのは理解するが、そのマインドは袋小路にみずから入るようなものだ、と私は思う。攻め手が少なすぎるのだ。調子の上がらない俊輔を頼ってグダグダになっていた頃と変わらない。「学一辺倒」ではさすがに相手だってなんとかする。学のすごいところは分かっていても止められないところだが、いつもいつもそうではない。

では、その時、どうするか。真っ先に思いつくのはバブンスキー。あの視野とテクニックをもっと活用できないか。今のところ、2戦連発ですごいシュートを見せた場面以外の多くは、単独ではなく周りを使う。

新潟戦でも見せたように、持ちたがりでしばしばボールロストしている。迷子の時間も長いよね。一人だけだとバルサの輝きを放つ、単なるうまい選手になってしまう。バブの使い方、とくに中町や天野純のサポートが大事だと思うのだけど、天野は学の周りにいることが多いし、それはそれで効いているからな。

ただ、サイドがマリノスの最大の武器であることには変化はなくても、中央から違う槍が伸びることは重要だなと。このバブ活用のめどが早く立つようなら、下位相手の取りこぼしが減らせる可能性は高い。早よ!と思ったら、肝心のバブ本人が代表で離脱なんだけれども。

 

試合の仕上がりとしては残念だったのだけど、気持ちが揺さぶられるシーンがあったので書いておきたい。松原健がウォーミングアップ終了後に、左胸のエンブレムをドンドン!と叩きながら引き上げた。松原!というスタンドからな声に応えて、「分かってる、マリノスのために戦うぞ」というあの姿勢は、アツイ。

それからもう一人。伊藤翔との交代を告げられた際に同点のために少しでも時間が惜しいと全速力でタッチラインまで戻って来た。また、オフサイドを取られてしまい、新潟のGK大谷がユルユルと準備している時。これも全力で転がっているボールを拾いに行き、手渡したシーン。それを見たゴール裏から大きな拍手が起きた。

ウーゴ・ヴィエイラ。彼の真摯な姿勢は胸を打つ。この日、決定機を決められなかったことなど、些細な問題だと確信している。こうした戦い方を続けてくれれば、間違いなくもっと大きな喜びを我々に沢山もたらしてくれるだろう。

松原も同じ。思いを持った選手のプレーはそれだけで価値がある。

今のマリノスより、夏のマリノスの方が強くなる。それだけは間違いない。ここからだ。