銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

脅威を与えられなかった刃【J1第3節・鹿島戦】

力不足は否めない。惜しかったシーンはあった。ウーゴ・ヴィエイラが勢いよく抜けた80分の右足が届いていたら。伊藤翔が2回、外からサイドネットを揺らしたそのどちらかでも確かにヒットしていたら。

試合の振り返りにおいて、たらればで始まるものほど虚しい導入はないだろう。結論から言えば、エリク・モンバエルツ監督が振り返るように齋藤学の不在が大きかった試合だった。

他のメンバーでは、脅威を与えることができなかったからだ。鹿島の穴が少ない、学が開けてくれたであろう穴を、開けることができなかった。1人、2人剥がせるというのは簡単だが、とてつもない能力だ。守る方からすればたまったものではない。学が持った瞬間から、守備の綻びは起こる。学がいなければ、その綻びは起こりにくい。

むろん鹿島の守備が固かったのもある。昌子に行く手を塞がれるダビド・バブンスキーを見た時に、個の力の勝負での苦戦を実感した。やはり学にしかできないタスクによって「上手くいっていた」のは事実だ。

加えて、レオシルバの存在。

前田直輝が、天野純が、バブンスキーが。中盤で狩られる。そのため圧倒的に鹿島にボールを握られた。とはいえ、ボールを握られることそのものは構わない。浦和戦も同じだった。重要なのは、奪った後の速さと正確さだ。

金井貢史と学へのホットラインはその鋭さが命である。この日、100試合出場の節目だった金井は目立たなかった。それは学不在の中で、速いパスを出す相手がなく、自身のオーバーラップもほとんど活用されずにいたからではないだろうか。学に影響されたのか天野純の遅さが気になった。遅いから、余計に怖さを与えられなかったという気がする。鹿島に綻びを作るなら、ちょっとしたパニックを作りたかった。

 

本来、試合を欠場した選手を軸に、その試合が語られるなんておかしい。だが監督がはっきりとその影響を会見で口にして振り返ったということは、監督の期待ほどの試合ができなかった証拠と言えるだろう。ただし、これが終盤戦ならともかく、新加入の選手も多い中で、また転換元年と言える中では、やむを得ないことだ。

 

課題の多さは伸びしろの多さ。内容的には塩分濃いめの試合ではあったが、フラストレーションはほとんどなかった。それこそが希望の証でもある。過去2試合より良くなったと感じさせたのはミロシュ・デゲネク。この試合はほぼ安定して、よく中央で弾き返していた。こぼれ球、リフレクションへの反応も速い。慣れとはこういうことかと思う。

初スタメンに燃えた伊藤翔のキープや、最初の守備、惜しかった2本のシュート。結果は出なかったものの、この男の力はこれから必要になる。

遠藤渓太は、もう少し周りを見る余裕と、とにかく仕掛けるという姿勢の両方が欲しい。前田直輝にもほぼ同じことが言えるか。

 

チャンピオンチームに久々のホームでの勝利を献上してしまった。過密日程で本調子とは程遠い鹿島を倒せなかった。またも倒せなかった。惜しかったとかはどうでもいい。

ただし、これが現在地。今のチームが学抜きで勝っていたら、自信になったことは間違いないが、そこまで甘くもない。それは出来過ぎ、望み過ぎだったということだろう。

学欠場はこれからも起こっても不思議ではない。その時に、この日の経験を活かせるようなら、マリノスの未来は決して暗くない。

 

銀皿を巡る旅はまだまだ始まったばかりなのだから、一憂はしない。下を向いてる暇なんてない。ミロシュのロングスローも、天野純フリーキックも、練習あるのみだ。