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銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

あれは助っ人じゃない、見た人は言うよ、怪物だと【J1第2節・札幌戦】

突き刺さるというよりも、ボール自らの意思でキーパーの手をかすめてネットに包まれることを選んだ。そんな不思議な弾道だった。本人以外、一体何人があの地点からダイレクトでシュートを打つことを予想していただろう。

齋藤学のパスはバウンドしていて、真横から寄せてくるディフェンスがいる。この時点では札幌のブロックを「崩した」とは言いがたい。

それに距離も、角度も、ゴールの可能性が高いとは言えないペナルティライン付近。

エグすぎる…。札幌指揮官の四方田修平は逆エンドからゴールに向かう弾頭を見て、呟いた。固く守り、強さと高さでマリノスゴールを脅かした札幌の健闘はこの指揮官が2年かけた守備の再構築によるところが大きい。ところが決定機をほぼ与えなかった守備は、あの狂気的な弾道の前に散った。札幌が描いていたゲームプランも砕け、マリノスが望んでいた展開に大きく動き出す。

 

ダビド・バブンスキー。2試合連続の先制ゴール。開幕節でのゴールで「今日はボールが僕の言うことを聞いてくれた」と言ったが、そんな謙遜はもう無用だ。間違いなく、この男の足技はヤバイ。

 

恐ろしさを覚えたのは、ゴール後のバブの佇まいである。

彼は興奮していた。確かに興奮していたけれども、事も無げにも見える。中町公祐が昨年の鳥栖戦で美しすぎるミドルを決めた時は、本人が恍惚としていたけれども、バブンスキーは違った。一言で言ってしまえば、育ってきた環境がもう違いすぎる。あれがFCバルセロナ。逆になぜ、これほどの才能が日本に来た? しかもポドルスキーフォルランの価格ではなく。

それはシティグループがバックについてるからだ。全欧州的には知られていなかったかもしれないバルセロナ仕込みの才能は、シティの強化責任者の目にとまる可能性を飛躍的に高めるために日本を経由してビッグクラブに売り込むのも悪くないと考えた。

もう覚悟をしておこう。早晩、欧州に買い戻されるだろう。セルビアよりもよほど有名で裕福なリーグに。アデミウソン以来、2年ぶりに活躍を見れば見るほど別れのことを思って切なくなる外国籍選手が来てくれた。アデはなぜかまだ日本にいるけれど。あぁ、話が逸れた。

 

話を前半に戻す。マリノスは苦しかった。セットプレーの空中戦も、札幌の高さに苦しめられた。しかも高い選手が本当に多い。172cmの兵藤慎剛だけが一際小さく見える。マリノスのブロックを崩すためのパスはズレが多く、ボランチから前に向かうパスは、ほば札幌に阻まれ逆にカウンターを受けていた。かと言って札幌はドン引きではなく、攻撃のための守備になっていた。札幌のホールに行く、行かないもよく整理されていて、それだけに札幌の健闘が光った。

マリノス喜田拓也の素晴らしいボール奪取から富樫へのスルーパスが極上も、富樫がこの決定機をわずかにゴールポストの横に外してしまう。

マルティノスは細かなトラップミスが目立ち、学のドリブルには2名の守備がつき、決して飛び込まない慎重な対応。新井一耀も上がってはいたが金井貢史のような即興性と意外性はない。

 

このように「攻め込みながらもゴールが奪えない」段階よりも、だいぶ下だったので、後半の行方は心配だった。札幌最大のチャンス、CKでのヘディングがポストに跳ね返り、飯倉大樹はバレーボールのレシーブのように反射的にかき出した。あれが決まっていたら、3点は取れなかったろう。兵藤は札幌によく合っていて、前半は彼独特の間でポジションを変えて、チャンスを作っていた。いいチームだった。それにバブンスキーの存在感はここまでなかった。

 

だが後半2分で先制。さらに直後に、学が進藤をひっかけたように見えたがファウルは取られず。エリア内に侵入してフィニッシュも、1対1を止められる。弾き方が悪く、富樫敬真がゴール。これで2-0。

さらに学、天野純と渡ってクロス。そこに一人飛び込んだウーゴ・ヴィエイラが上手に右足であわせて、3-0。これも飛び込む直前にウーゴが守備の袖を引っ張って倒すシーンが写っており、判定は微妙。札幌としてはかなり不運だった。

 

学がその後も決定機を外したことを除けば、至極の後半だった。前田直輝もラストの判断はアレだが、ボールを運び脅威を与えた。不出来だったマルティノスとの先発争いは激化するだろう。

最後にはバブンスキーに代わって、中町公祐が登場。落ち着いて中盤を締めてくれた。

 

開幕2連勝、暫定の得失点差で首位に浮上した。またも勝利の円陣ができて、あわてて加わる飯倉大樹に萌える。

ウーゴ、バブンスキーという戦慄の存在が知られていく。鹿島に通じるか、それを破ったらいよいよ…。

 

だめだ、まだまだ浮かれるのは早すぎる。

次こそ学ゴールで、勝ちたい。個人的なことだが、先週に続いて、私の開幕戦も素晴らしい試合で本当に良かった。

ヤーヤーヤーヤー! もうばっちりである。笑。