マリノスにシャーレを 2024

横浜F・マリノスのスポンサーを目指して脱サラした頭のおかしい3級審判のブログです

ジェットコースター・トリコロール

素敵な選手を集めながら、銀皿をさらいたい。いいだろう?

と歌うのは、二人の堂本ではなくて、エリク・モンバエルツアイザック・ドル。選手から総スカンと報道された指揮官と、冷酷非情と噂されるの強化責任者だ。

タイの好結果に覆いかぶさるように、番記者が「宮崎キャンプの雰囲気は最高!」などと書くものだから、KinKi Kidsならぬ、禿$コンビの評価は高騰している。

誠にこのオフに、マリノスほど評価が急降下、急上昇したクラブはないだろう。世のマスコミは勝手なものだ。崩壊寸前と書いたり、世代交代は順調と書いたり。

まだ何も始まってない。タイの2連勝はただの練習試合だから誰一人として、本当に喜んでなどいない。だが、あのなぜか曽ヶ端準が混ざって、さもタイトルを獲得したかのような写真はそれなりのインパクトがあった。

さらに中町公祐と遠藤渓太という二人が掲げたのは、まぎれもなく銀皿。あれは国際大会のシャーレ。

何も知らない人は、あれっマリノス強いじゃん。俊輔の抜けたマリノスが、鹿島を抑えてゆうしょーしたの?!となるわけですな。実際には鹿島とマリノスが対戦しない変則な試合方式だなんて思うはずもない。

かくして、主要新聞によって降格候補と断定されていたマリノスへの風向きが変わり始めた。

しかも、$は決定的な仕事を次々とこなした。すでに加入の決まっていたウーゴ・ヴィエイラの方が実績は最上位なのにもかかわらず、その後の二人の肩書きがまた見守る素人たちの心を巧みに刺激した。

バルサカンテラ育ちで天才と呼ばれた男

オーストラリアフル代表に名を連ねるブンデスリーガの長身CB

この頃は齋藤学は移籍有力と見られていただけに、的確かつスピーディーな補強を次々にまとめたことは驚きを持って迎えられた。

何せこの2年、開幕してから慌ててストライカーを探していたチームだ。場当たり主義の当たるも八卦、当たらぬもカイケという手法とは比べるべくもない。

ダビド・バブンスキーマケドニア国籍、ミロシュ・デゲネクは豪州とセルビア国籍を持つ。ウーゴ・ヴィエイラポルトガル国籍だが、モスクワとベオグラードのクラブに所属していた。

昨年加入したマルティノスも、キュラソー島の出身だが、来日直前はルーマニアでのプレーをしていた。

$によるアンテナ、人脈による東欧という共通点。マリノスを選んだ理由として、CFG(シティフットボールグループ)の存在をあげる選手もいる。

ポドルスキを狙うよりも、身の丈と現場のニーズにあった補強ができている。それは緊縮財政により必死に考え、努力しなければならなかったからこその賜物だろうか。

私が加えて感心したのはどの選手も、勤勉さと忠誠心の高さを感じさせる点だ。特に、デゲネクのコメントに感動したサポーターも多かったはずだ。

「皆さんに一つだけ約束します。それは我々のクラブである横浜F・マリノスのために毎日のトレーニング、毎試合で自分のすべてを出し切るということです」

なんや、この真面目さは。

ただ去年の今頃はカ◯ケも真面目で人柄がいいとか言われていた。この時期に不真面目な選手は論外なのだから、喜ぶには早過ぎるだろう。

長年、マリノスの課題の一つに選手層の薄さの問題があった。スタメンとサブあるいはベンチ外の選手との差が大きく、怪我人が出ると、途端にチーム力が落ちてしまっていた。

立て続けに外国籍選手が加入したことにより、厚みが出た。宮崎キャンプの動画を一瞬見ただけで、バブンスキーの足技はバルサ仕込みの本物だと分かる。

このようにして、報道によれば崩壊寸前だったはずのマリノスは高い期待感を持って語られるようになった。

とは言え、新戦力の融合は簡単ではないだろう。またうまく行っているときはともかく、不調の際にチームをまとめられるか立て直せるか、カリスマ性が高いとは言えないモンバエルツ監督がどう舵をとるかも重要なポイントとなる。

東欧のネットワークとフランス指揮官。英国の資本。黒船は実にワールドワイドになってきた。

それでも中心は日本人選手たちだ。ぐっと若返ったチームにあって、中澤佑二中町公祐栗原勇蔵飯倉大樹齋藤学伊藤翔下平匠らは年齢的にも実績的にもマリノスアイデンティティを守り伝えてきた選手たち。最後は彼らにかかっていると思う。もちろん喜田拓也天野純らの生え抜きの若手に加えて、加入してきた若い選手たちはそれを受け継ぐ責を負う。

ジェットコースターは登りもすれば、降りもする。そしてまた結局同じところに帰ってくる乗り物だ。高まってきた手応えと上昇気流を掴んで、降りることなく、そのままジェットコースターから脱却できた時、本当の航海が始まる。

冬に、中町と遠藤が今度は本物の銀皿を掲げる旅の始まりとしては悪くない。何しろ、編成が完了し、開幕までフィットさせる時間がまだ3週間あるのだ。

とはいえ、すべてが順調に行くはずもない。走り出したら止まらないよ。それもまたジェットコースター。

心臓には悪いが、とても魅力的だ。