銀皿航海 蹴球7日制

横浜F・マリノスサポーターです。好きな言葉はシャーレです。

バブンスキーの技と、ウーゴ ヴィエイラの勝負強さ【J1第4節・浦和戦】

春の珍事という言葉がある。水戸さんや岡山さんらが無敗で昇格圏を走るJ2。失礼な話だが、古くから番狂わせに対して使われてきた。春、新シーズンが始まる直後には往々にして、下馬評とは異なることが起こる。

 

だが、下馬評を作ったのは神ではなく人。正しいのは下馬評ではなく事実である。

J1における未勝利チームは一気に半減し、3チームに減った。たしかに浦和、G大阪が名を連ねているのはやや意外であったが、それも下馬評が間違っていただけのこと。それくらい今の浦和とG大阪はヤバイ。

 

私の思いは「まだまだ」。今の浦和に通用するのは少し当たり前の感がある。ACL王者の面影は既にない浦和に名前負けしていたならば、マリノスの自信が揺らぎ、こちらの方こそ迷走が始まっていた可能性はある。

 

二度、いや三度、ことごとくシュートを西川周作にぶつけても、最後は腰をひねってファーへのコントロールシュートだ。ウーゴ ヴィエイラ、2試合連発。今度は0-2からの悔し紛れの一発ではない。リーグ戦で今季初めて勝ち点3を奪う、その価値あるゴール。

 

その時、浦和守備陣の注意を惹きつけたのは誰だったのか。ウーゴがヒーローインタビューで言及したように、吉尾海夏がダイアゴナルに侵入したためか、遠藤渓太の動き出しか。それとも、一瞬の隙を探し続けた山中亮輔の恐るべきまでの冷静さだったか。答えは、その全てが揃った時だった。

 

槙野の背後で急速に飛び出すウーゴ。マズイ!と興梠が追うも、もう届かない。そのボールのコントロールは、ウーゴでなければ決して容易かったとは思えない。ピタッ。次に自分が蹴りやすい場所に止める音が聞こえた。

 

何度もシュートを阻まれた西川周作が伸ばした右足のほんの先を、軽やかに転がるボールはようやくこの日の最初の得点となる。そして最後の得点でもあった。あれだけ決定機を外されても信じられ続けるウーゴの実力は、決定力という意味でやはり群を抜いているのた。

 

試合前日、町田に加わった弟のドリアンがJ2初ゴールを決めたことは当然知っていた。チーム1のテクニックを持ち、どう考えてもこの新たなマリノスサッカーの中心に居なければならないのに、ダビド バブンスキーはずっとおかしかった。守備力が弱い、スタミナがない、ボールを持ち過ぎるため一人抜いてもすぐ捕まる。

いずれもバブンスキーの姿を現した表現だと思う。では、どのようにして一皮剥けるのか、あるいは剥けないのか。次戦にはオリバーのベンチ入りが見込まれる中で、外国籍選手枠によって弾かれる可能性もある。その中でバブにチャンスが巡ってきた一因に、おそらくアンジェ ポステコグルー監督が前節までの中町公祐には納得していなかったことがあると思う。それにバブの適正能力からして、監督なら2列目のインサイドハーフで使ってみたくなるはずだ。

 

いつも、私はバブのドリブルのワンタッチに心を奪われる。それくらい彼の閃きあるドリブルは美しい。それから、いつもすぐにガッカリさせられる。せっかく1枚DFを剥がしたのに、直後に豪快にボールを失うからだ。一向に改善されないゲーム体力もバブの課題であり、魅力なのかも。

 

19歳の吉尾海夏が違いを見せた。リーグ戦でも十分やれることを示した。ユンイルロクも今までで一番良かったし、ウーゴにヘディングを落とした動きなどは今までにない収穫。したがって、バブがこれで先発に定着などとは誰も思っていないだろう。

 

マリノスがパス数と成功率と、ポゼッションで浦和に大きく勝った日だ。しかも前半終了時のスタッツよりも差を広げて、さらに勝利が伴ったのだから、嬉しくないはずはない。

 

飯倉大樹を筆頭とした守備陣の貢献を書くゆとりがなくなったので改めよう。

 

次は中断明けで3/31の清水戦まで試合なし。このニューマリノスの複数得点を今度こそ見たいものである。

 

 

 

 

 

 

おつかれさま、愛されしトリコロール

坂田大輔、35歳。J通算458試合出場、77得点。マリノス10年、福岡6年、ギリシャ含めその他2年。れっきとした海外組であり、元日本代表でもある。

福岡退団後も現役続行を模索したが断念。「後悔がないと言えば嘘になる」とコメント、4/1のレベスタで引退セレモニーが行われるという。

ストライカーなのに、滅私で常に全力な男。マリノスの強かった03,04年の連覇を達成した時も、そこに彼はいた。福岡に行ってからも年齢に抗って常に全力。J1昇格にも大いに貢献し、2016年にマリノスと対戦した際はサポーターをずいぶん喜ばせてくれたものだ。引退後は、関東に戻ってサッカーに携わるという。

サンキュー、坂田、サンキューな!と世代別の代表で当時の大熊監督が彼の守備を讃えたエピソードは有名だ。昨夜のタイムラインには、プレーの名場面とともに、サカティー、サンキューと呟く人が多かった。

 

天野貴史、31歳。J1からJ3まで89試合出場。記録よりも記憶に残る選手と言っていいのではないか。とにかく愛された男という印象が強い。松田直樹、中澤佑二、河合竜二、中村俊輔といったひと世代上の先輩たちに可愛がられる写真が多いこと。天皇杯を取った2013年シーズンは選手会長としても、チームを支えた。

 

2012年には左膝靱帯の損傷で全治8ヶ月の重傷を負う。その後は、以前のようにプレーできていなかったように思う。163センチと小柄ながら、また試合に出られない期間の方が長かったにも関わらず、30歳を超えるまでプロとしてプレーしたことは素晴らしいことである。

個人的なベストシーンは、13年のホームの瓦斯戦。あの試合なんでだったか理由は忘れたが、小林祐三に代わって、天野はスタメン出場。トップにチーム加入後初スタメンだった藤田祥史がいて、右サイドから送ったクロスを藤田がヘディングで決めた。それこそ、大怪我から復帰して間もなくだったと記憶している。頑張り屋さんだった。

 

ユースの同期に飯倉大樹がいる。もう何かメッセージは交わしただろうか。天野も生粋の横浜出身者だ。あの明るい性格ならコーチをやっても人気になるに違いない。ぜひ子供達を指導して、マリノスの育成を支えてくれたらと勝手に思っている。

 

血縁でもないのでただのこじつけだが、マリノスには後輩の天野、アマジュンがいる。タカシと言えば、今や金井貢史。二人とも、マリノスで育ち、今のマリノスを支える。昨夜は若手のデビューのことを書いたが、こうして道半ばでスパイクを脱ぐ選手もいる。

 

受け継がれる、トリコロールのたすき。これからもいろんな選手とともに歩き、そして見送るのだろう。その連続。だから寂しく、切なくて、思いは深い。

 

今年は始まったばかりと言うけれど、今年のチームは今年しかない。とあるレジェンドを含め、今年でお別れする可能性のある選手もいる。だからこそ1試合ずつを見守り、記憶に留め、語り継ぎたいものである。

 

二人ともお疲れさまでした。

 

ひょっとするとこの中から10番が…

やはりルヴァン杯は愉しい。

特にグループリーグは、若手の成長の場というリーグ戦では入り込む隙間がないロマンが存在する。若手を1名以上使わなければならないという独特のレギュレーションは、以前のベストメンバー規定に比べれば開き直りを感じる。

そう思えるのも、エリク モンバエルツ前監督が就任した3年前に、直前のリーグ戦からほぼ全取っ替えで臨んだことが大きい。それは突如とした出来事で、当時のマリノスでは非常識な出来事だった。違和感を持ったサポーターも少なくなかったと記憶している。「なぜハナからカップ戦を諦めるのか、捨てるのか」と。

 

だがそのおかげで、サブ組のモチベーションが、かきたてられ、チーム戦力としての厚みが出来た。人は勝手なもので、今年にアンジェ ポステコグルー監督が部分的にしか選手を入れ替えないのを見ると、なぜ全取っ替えしないのか、となる。

変節と言ってしまえばそれまでだが、それだけ見たい若手選手が多くなったとも言える。

 

結果的には実現しなかったが、生駒仁と西山大雅の18歳CB先発の報道(スポニチサン…)に胸踊るのはルヴァン杯ならではである。正直、リーグ戦だとまた別の感情、端的に言えば不安の方が大きかったに違いないだろう。

 

この日先発した吉尾海夏と山田康太、途中から和田昌士がピッチに同時に立った。それぞれがユース三年時に背負っていた番号はいずれも10である。三世代の10が揃い踏み、ユース厨にはたまらないだろうし、まさに冒頭に書いたロマンそのものだと思う。

 

試合はスコアレス、一人少ない相手が引いてブロックで固めていたとはいえ、目に見える結果は出せなかった。だが和田のスルーパスは印象を残しただろうし、吉尾のエリア前での技術は近い将来のリーグ戦デビューを予感させるものだったと言っていいのではないか。

 

できたら、この3名の誰かが、今は途絶えているトップチームの10番を勝ち取ってほしいと願う。

 

あるいは、前夜が誕生日だったあの3番を受け継ぐべき選手に出てきてほしい。高卒、右サイドでデビューなんて聞くと、ねぇ。

 

まだまだ熟成期間だと、結果も大事だが内容がさらに大事だと、そのように監督が言うなら信じて待とう。ルヴァン杯もまだ2試合、今のところ公式戦唯一の勝利のおかげで少し気持ち的には助けられているが、早く結果で自信をつけたい。

 

あれだけ勝ちに見放されていた瓦斯もG大阪もついに勝った。次節のリーグ戦ではG大阪にホームで衝撃の4失点大敗を喫した浦和が相手。叩きたいところだ。

 

でもやはりルヴァン杯の翌日くらいは、目先の話だけでなく、将来の背番号10に思いをはせるくらいにはゆとりを持ちたいものだ。そうだ、仲川輝人の時計も再び動き出した。まだまだ始まったばかりだ。

 

 

代役じゃない扇原貴宏の良さとは【J1第3節・鳥栖戦 展望】

春の嵐で、町の平和を守るべく、周囲の雨水を一身に受ける。新横浜公園は年に何度かある水没の日を迎えた。遊水池としては大きな貢献なのだろうが、台風の季節でもないのによりによって試合前日の練習が出来なくなってしまうのだから、とほほ。

現役のカメルーン代表選手に「ビッグクラブ」と呼ばれ、世界のシティグループに名を連ねる我がマリノスの現状。たとえ小さくても自分たちの城を持たねば。トップリーグを見渡せばなかなかに稀有な存在とは思う。マリノスが真にビッグクラブを名乗るのであれば、まず解決しなくてはならない問題。試合前日の調整がうまく行かずに、リーグ戦で良い試合が出来ないとでもなったら…。

 

マリノスタウンからの移転以降、選手の怪我が多くなったというのは多くの人が指摘している。因果関係がそれだけの単純な話なわけもないが、気になるところ。栗原勇蔵の開幕戦は7分で終わってしまったし、ハムストリングの肉離れで6〜8週間。うむぅ。

 

軽傷とのことだが、喜田拓也の離脱も痛い。間違いなく開幕から2試合で最も重大な役割を担っていた喜田。ボールの奪取力、そして高い確率でビルドアップは彼のポジションを経由する。攻守ともに高いレベルにいないと務まらない。

 

指揮官の選択はダブルボランチ回帰ではなく、扇原貴宏の先発起用だった。正直、今の喜田と比較すると、球際に弱い。水曜の瓦斯戦ではクソ上手い高校生に当たり負けたことも。また鳥栖戦で思い出さざるを得ないのは昨春のアウェイだ。パスも弱かったので扇原だけの責任とは言わないが、エリア付近で後ろ向きにパスを受けたところを狙われてあっさりロスト。これが決勝の失点に繋がったというご縁がある。

 

だが。気持ちよく「乗った」時の扇原のプレーは大変魅力的だ。正確で速いロングパス、サイドチェンジには美しさを感じる。これは喜田には出来ないし、ロングパスがズバッと届き始めると、不思議と守備の集中力も高まるのが扇原というプレーヤーだ。序盤からタカを載せたい。

 

乗せるのは、両翼ではないか。再三言われている通り、ブマルの加入で競争となるウイングポジション。今日も遠藤渓太が右に、左にはユン イルロクが入る。ルヴァン杯で良かったイッペイ シノヅカも控えており、リーグ戦2試合で結果が伴わなかったある程度の原因はこの両翼の機能不全にある。「まりびと」でインタビューに答える遠藤の表情に頼もしさを感じたのは私だけではないはずだ。あどけない少年の顔は隠れ、プロとして生きる男の顔に変貌してきた。背番が変わったことも影響したかもしれない。遠藤には迷いなくプレーしてほしい。

逆サイドのユン イルロクの向かいには小林祐三が対峙する。こちらの方が突破するのには難敵だろう。

 

リーグ戦、初勝利が欲しい。それには1点では物足りない。ビクトルイバルボと小野裕二は強力だ。1点では物足りないのだ。

 

扇原から両翼への供給。そこからの仕上げ。これが出来れば、マリノスに一つの形ができる。

 

満員の三ツ沢、肌寒くとも熱気。まもなくキックオフ。

 

 

 

 

「目指すところはまだまだ全然先」

ルヴァン杯初戦で、FC東京に1-0で勝利。これは今季初の白星であるとともに、アンジェ ポステコグルー体制になっての初めての勝ち点3だった。

試合内容は苦しみながらなんとか守りきったという言い方が正しいのではないだろうか。

 

決定機は瓦斯のほうが多かった。サッカー選手としては日本で一番有名な高校生に活躍を許した。選手とサポーターは、「まずは結果が出たことを喜ぼう」という声が多かったが、ボスは結果よりも内容という感じでご不満の様子だ。それはそうだ。C大阪、柏という相手と、瓦斯のBチームでは同列には語れない。こちらもリーグ戦とは半数以上のメンバーが異なっていたとはいえ、内容面でも圧倒していなければならない。指揮官が目指すところが高いのは当然のこと。

 

金井貢史や吉尾海夏の台頭は喜ぶべきことだと思う。また試合前に書いたように、実戦の機会そのものが重要で、今のチームは90分戦う経験値を得るごとに良くなっていく段階。序盤に当たったチームは「あの頃の完成度の低いマリノスとやれてよかった。今だったら…」と言わせたいのだから。

 

まだたった3試合の公式戦。対戦が一巡するまではマリノスの手探りは続くし、対戦相手も手探り。そういう意味では、最初に「二度目の対戦」を迎えるのは、実は瓦斯。4/18にルヴァン杯の第4節で味スタで対戦する。今年からルヴァン杯のレギュレーションが変わって、4チームによる2回戦制のグループリーグになったためだ。なおリーグ戦では17節、W杯中断明けの7月に対戦。今年はPSMを含めると、瓦斯と最低でも5試合やることになる。大杉。

 

個人的な感想だが、瓦斯は少し苦労しそうだ。前も後ろも、選手の質が高いのは疑いないのだが、何がしたいのか、どこを目指しているのかよく分からない。そこにわざわざチャンスを掴みに行った富樫敬真が少し心配だし、本来ストライカーの本能に優れたプレーヤーなだけに、今年のマリノスのサッカーならハマっていたのではという残念な気持ちが強い。高校生とポジションを争うよりもチャンスがあったのではないかなぁ。

 

心配な栗原勇蔵。それに喜田拓也の怪我情報。早くも飯倉大樹と喜田拓也、それに山中亮輔はこの新しいサッカーの顔になりつつある。すでに代えのきかない選手だ。もし、アンカーの喜田がいないとなると、ルヴァン杯の試合前に噂されていたダブルボランチにするのだろうか。すると、中町公祐が後ろに下がる? せっかく攻撃の枚数を多くして、ボコろうというのに勿体ない気もする。

 

そんなことを考えていた夜、ブマル来日の報せ。も、も、もう来たか!

只者ではない風貌。マルティノスのようなスピードがありつつ、屈強だとしたら…。

倒れないマルティノスって、それ最強じゃん。

 

強くなってる感があるのはタマラナイ。明日はようやくリーグのホーム開幕戦だ。中2日という不安な日程すら、楽しみである。